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話しているうちに

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第六章

「勉強しないと」
「そうだな、じゃあ俺もな」
 大輝は真剣な顔になってだ、腕を組んで言った。
「恋愛の本とか読むか」
「変な本買ったら駄目よ」
「買う本も色々なんだな」
「中にはいい加減な本もあるから」
「じゃあどんな本がいいんだ?」
「それはね」
 留美は大輝にそうした本のことも話した、その他にもだった。
 二人で色々と話をした、何時の間にか二人は顔を見合わせば、それどころか時間があれば会ってそしてだった。
 一緒に話した、そして。
 何時しかだ、周りは二人にこんなことを言いだした。
「あんた達付き合ってるの?」
「いつも一緒にいてあれこれと話してるけれど」
「最近学校で話題になってるぞ」
「カップルになったかってな」
「えっ!?」
 周りに言われてだ、当の二人は。
 仰天してだ、こう言い合った。
「何か最近ね」
「ああ、俺達がな」
「付き合ってるってね」
「そんな話になってるな」
 学校の屋上で話をするのだった。
 留美は驚きを隠せない顔でだ、大輝に言った。
「あんたあれよね」
「ああ、ずっと言ってるよな」
 大輝も応えて言う。
「御前のお姉さんにな」
「そうよね」
「だからずっとこうして御前と話してるんだよ」
「私も相談に乗ってるけれど」
「それがか」
「周りに誤解されてるのね」
「そのせいか」
 大輝は噂が出た状況を理解して言った。
「皆言うんだな」
「そうよね」
「やれやれだな、けれどな」
「けれど?」
「不思議と悪い気はしないな」
「そうね」
 留美もこう言うのだった。
「実は私もよ」
「そうか」
「ええ、そう言われても」
 それでもというのだ。
「実際はね」
「ああ、だよな」
「そんなことないでしょ」
「何でそうなるんだ」
「けれどね」
 ここでだ、留美も言うのだった。
「私もね」
「悪い気はしないか」
「そうよ」
「何でだ?」
 大輝は首を傾げさせ考える顔になって言った。
「俺達そう言われても悪い気しないんだ」
「事実無根の噂なのにね」
「確かに俺達幼馴染みでな」
「色々とお話してるわ」
「俺のことでな」
「もっと言えばあんたがお姉ちゃんに告白して付き合う為にね」
「そうしてるだけだよ」 
 だからいつも一緒にいて話をしているというのだ。 
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