八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十七話 江田島その十
「そこの医学部を出てドイツに留学したね」
「凄いエリートだったのは聞いてましたけれど」
「夏目漱石よりもね」
鴎外と並び称されている彼と共にだ。
「エリートだったかもね」
「漱石よりもですか」
「漱石もイギリス留学してるけれど」
だから当時かなりのエリートだったことは間違いない、この人も。
「鴎外の方が上かな」
「そこまでですか」
「うん、当時のドイツは医学の最先進国でね」
「そのドイツに留学したんですね」
「その医学を学ぶ為にね」
「本当に凄いエリートだたんですね」
「もうエリート中のエリートだったんだよ」
それこそというのだ。
「その鴎外の書もあるんだ」
「江田島には」
「うん、他にも有名な人の書とかあるよ」
明治の元勲達のものもだ。
「他にも海軍の資料が一杯あるよ」
「大和とかは」
「模型があるよ」
大和の模型の話もだ、僕は話した。
「凄く大きなのがね」
「大和の模型っていいますと」
一年の中でプラモ好きの子が言って来た。バスケ部以外にプラモ部にも所属していてそちらでも楽しんでいる。
「あの一メートルある」
「あの高いのだよね」
「あれですか?」
「いや、あれよりもね」
「大きいんですか」
「もうずっとね」
それこそだ。
「大きいんだ」
「そうですか」
「プラモとかよりもね」
市販のだ。
「ずっと、いや比較にならない位に」
「大きいですか」
「驚くよ」
前もってだ、僕は彼に言った。
「その大きさには」
「じゃあ期待してます」
「うん、ただ君プラモ部で」
「特に軍艦が好きで」
「それでなんだ」
「大和好きでして」
「大和って人気あるね」
軍艦好きの人の間でとだ、僕は言った。
「何かと」
「格好いいですし」
後輩の子は笑顔で僕に話した。
「奇麗ですからね」
「その姿が」
「はい、大和の姿が」
まさにそれがというのだ。
「凄く奇麗ですから」
「確かに言われてみると」
「大和って奇麗ですよね」
「そのシルエットとかね」
「格好いいだけじゃなくて」
「僕もそう思うよ」
奇麗だとだ、僕も答えた。
「あの船はね」
「だから人気あるんです」
「軍艦好きの人の間でも」
「はい、ただ」
「ただ?」
「プラモ部も今回の合宿に来てまして」
僕達と一緒にだ。
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