世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
ディケイド ~仲間意識・感受~
「士はあっち、オレはこっちな」
「わかった。絶対に見つけるぞ」
蒔風と士は現在、アポロガイストを探して街に出ている。
「それにしても士、なんでそんなに必死なんだ?」
「?何言ってんだ、ナツミカンの命がかかってるからな」
その言葉に蒔風の表情が緩む。
「こんな状況だけど、お前いい顔してる」
「はあ?」
「いくらお前が仲間じゃないなんて言おうとも・・・・な。やっぱりお前はいい奴だよ。自覚するのは恥ずかしいかもしれないけどな」
「?・・・・勝手にオレを判断するなよ?」
一瞬だけ士の頭に「?」が浮かぶがすぐに理解し、からかう様に言った。
その顔にはまだ焦りがあるにしろ、決意に燃えた目を持っていた。
「行ってくる、か」
「ぜってー見つけてやろうぜ」
「おう」
追う行って二人は互いの腕をぶつけあい、離れる。
そして二人はアポロガイストを探し始めた。
「さて・・・始めるか」
タンタンターン、ストッ
蒔風が軽快に跳び上がり、ビルの屋上に着く。
そこで自分の周りに正方形になるよう、「龍虎雀武」を突き立てた。
「さぁーて、どこにいんのかなァ?」
そう言って蒔風がポケットから一枚の布切れを取り出す。
四本の剣が光の線で結ばれ、陣が出来上がる。
「東西南北を司る四獣。その力を使ってくそ野郎の居場所をとっとと示せ」
コオオオオオオ・・・・
光がその場に地図を示す。
そして赤く光る点が移動するのを見つけた。
「ここか・・・・・」
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「ぬう・・・・あのディケイドのそばにいた少女・・・あの命がなかなか消えん・・・どういうことだ?」
街中を歩くアポロガイスト人間体のガイがいぶかしむ。
夏海の命を吸い取ったからか、パーフェクターを通してその状況が分かる。
「・・・まあいい。今はこの世界の組織を大ショッカーの傘下に入れることの方が先決だ」
そう言ってガイが視線を移す先には、怪魔ロボット・シュバリアンとその部下、チャップたちがいた。
「クライシス帝国も我が大ショッカーの一員としてみせるのだ」
アポロガイストがシュバリアンに歩み寄ろうとする。
そこでその背後にいる一人の男がアポロガイストに声をかけた。
「オレは誰でしょうか、って宿題は解けたかな?アポロガイスト君?」
「!!」
ガイが振り返ると、そこに蒔風がいた。
いつの間にいたのか、背後に立たれたことも気づけなかった。
「なぜここがわかった」
「方法なんざどうでもいい。今ここにオレがいることの方が問題だろ?」
「・・・貴様はこの世界の・・・ディケイド以上に異物のようだな」
「おお!!よくわかったな。その通り。オレは、異端者だ」
「それで?私のパーフェクターを奪いに来たのか?」
「よくわかってんじゃん・・・だァ!!」
ブゴォ!!
蒔風の蹴りがガイの顎を捕らえようとする。
それを紙一重でかわしたガイが、アポロガイストへと姿を変えた。
「あの女の命が消えないのも貴様の仕業か!!」
「その通りです、大正解!!飴ちゃんやろうか?」
「いらぬ!!」
アポロガイストがフェンシングのような剣・アポロフルーレで蒔風に斬りつける。
それをその場から動かず畳返しで防ぐ蒔風。
そしてそれを蹴り砕いて、アポロガイストの目をくらます。
その隙に足払おうとローキックを放つが、アポロガイストがその軌道上に剣を配置する。
キックに急ブレーキをかける蒔風。
するとその止まった足を軸に、身体の方が回転し、アポロガイストの後頭部にカパァン!と蹴りが命中する。
「ぬ・・・おっ」
カラァン!
「よっし!!」
その蹴りの衝撃でパーフェクターが頭部から落ちる。
それを蒔風が拾おうとするが、アポロガイストが許さない。
巨大な盾、ガイストカッターをフリスビーの様に投げつけ、蒔風の右手を切断しようとする。
ギィイイオオオンン!!!!
恐ろしい旋回音を発し、ガイストカッターが迫る。
蒔風に腕を引く時間はなかった。
その右手が、ガキュウウウウ・・・・という音と共に吹き飛ばされる。
「ぐごおおおおお!!!!・・・っ、なんて重さだよ・・・」
だが蒔風の右腕はまだついていた。
とっさに「天地陰陽」を出したことで、かろうじて切断には至らなかったのだ。
だが負傷はしたようで、右腕からは赤い液体が滴り落ちてきている。
落ちたパーフェクターを再び装着して、アポロガイストが言う。
「ふふふ・・右腕を潰したぞ・・・さて、答えて貰おうか。なぜあの女の死のスピードがこんなにも遅いのか」
蒔風が右腕を抑えながらアポロガイストに言い返した。
「ばぁーか、言うかよ」
「な・・・」
「やれ!!!」
[Attack Ride---SLASH!]
その電子音と共に、ディケイドがアポロガイストに襲いかかる。
「ぬ!!ディケイドまで現れおったか!」
「貴様ら!何をしている!!」
そこれようやくシュバリアンらクライシス勢もこちらに気づく。
そしてこちらに攻め込もうとするが、ひとりの戦士にそれを阻まれる。
「ここは通さんぞ、クライシス!!」
「RX!!邪魔をするな!!!」
仮面ライダーBLACK RXの登場。
ここに見事な混戦の形が出来上がる。
「ぬううう!!!邪魔をしおって!!!迷惑な奴なのだ!!!」
「これに懲りたら頭のそれ寄こせ!!!」
「それはできない相談なのだ!!!」
ドカッ!!バン、ドン!!!
蒔風とディケイドがまとわりつくチャップ共を千切っては投げを繰り返す。
「蒔風」
「なんだ!?今そこはかとなく忙しいんだが」
「失ってから気付いたんだ。オレは、誰かのために戦うこともできる、ってな」
「士?」
「仲間なんて明確なものはまだわからない。だが・・・失いたくない奴はそれなりにいるからな!!!」
「それはっ!!どぉりゃ!!よかったな。また強くなったぞ、お前」
蒔風とディケイドが次々と雑兵やアポロガイストが新たに呼びだした怪人を圧倒していく。
そんな攻防のさなか、アポロガイストはあくまで任務を遂行するようで、蒔風らから離れシュバリアンに声をかける。
「クライシス皇帝に伝えろ。手を取り合いライダーどもを殲滅し、共に世界を手に入れるのだと!!」
「だまれ!!貴様らの手は借りん!!」
シュバリアンが鋼鉄の爪でアポロガイストを斬り裂こうと振るうが、簡単にかわされる。
「確かに伝えた。よい返事を待っている。大ショッカーは寛大だからな」
シュウウウウウンン・・・・・
そう言ってアポロガイストはその場に戦力を残しオーロラで離脱しようとしていた。
「まて!!」
「こ、の・・邪魔だ貴様ら!!!」
蒔風とディケイドがアポロガイストを追おうとするが、多くの敵に阻まれてしまう。
「ぬ、士君、蒔風君!!!フッ!RX!バイオ、ライダー!!!」
その状況を見たRXがバイオライダーへと姿を変え、その体を液状にして敵を絡めとる。
一カ所にかき集められた敵を相手にしながら、RXが叫んだ。
「事情はユウスケ君から聞いている!!行け!!」
「すまない!!」
「そうさせてもらう!!」
蒔風とディケイドがオーロラに突っ込む。
だがアポロガイストのために開かれたそのオーロラは侵入者を拒んだ。
バチバチと少しだが弾かれる。
そのオーロラをまず蒔風が通り抜けた。
翼人だからであろう、少しだけ静電気のようにはじけたが、なんの問題もなく通る。
だがディケイドはなかなか通れない。
蒔風が手を貸そうとしたそのとき、ディケイドの背中を何者かが押した。
「まったく、仕方ないなぁ。だけど助けてあげよう。ほら、行きたまえ。これだけのハンデでも、僕は勝てるぐらい強いからね」
その言葉と共にディケイドはオーロラを破り、世界を越えた。
「士!どうしたんだ?」
「いや・・・なんでもない」
そういいながら二人が周りを見渡す。
夜だ
漆黒に包まれた夜の公園に二人はいる。
「どこの世界だ?」
「ここまで情報がないと流石にわからん」
そんな二人の元に、ひとりの男がやってきた。
街灯の逆光で顔が見えない。
「・・・・!?お前は・・・世界の破壊者ディケイド!!」
その言葉と共に、男がさらに掛け詰め寄ってくる。
その男は・・・・
「南光太郎!?だったら、ここはまだRXの世界なのか!?」
「いや・・・違う、ここは!!」
ギュバッ!!
光太郎が両こぶしを握り、右頬に寄せて力を溜める。
バチバチバチバチ・・・・
バッバッ!!
グオオオオオオ・・・・・
「変、身!!!」
ズバッ!!!
一定のポーズをとり、その腕が力強く振るわれ、変身の掛け声をあげる。
しかしそのライダーはRXではなく。
「仮面ライダー、BLACK!!!!」
「RXじゃない!?」
「やはりかよ」
BLACKが二人に言う。
「世界の破壊者ディケイド!!この世界をお前の好きにはさせない。その仲間と共に、オレが倒す!!!」
仮面ライダーBLACKが構える。
ああ、この世界でもめんどくさいことになりそうだ。
蒔風はそんなことを考えていた。
to be continued
後書き
アリス
「次回、ブラックの世界」
ではまた次回
おのれディケイドォォォォオオオオオオ!!!!!
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