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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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ドラゴンとその子たち

 
前書き
マガポケでRAVEを読んでいたらミルディアンという街が出てきて、その地に埋められた超魔法クロノスとか出てきたのを見て、ディマリアの接収(テイクオーバー)時の発言と繋がっててビックリした(笑)
もしRAVEとFAIRYTAILが同じ世界だったらディマリアとジークハルトって同胞だったんだね。 

 
第三者side

シリルとグレイがナツの元に、ウェンディとカミューニがウォーレンの元へとそれぞれ向かっていた頃、イグニールに仕事を依頼されたナツはそれを遂行するためにマルド・ギールと戦闘を繰り広げていた。

「あまり調子に乗られるのも気に食わんな、人間よ」

マルド・ギールは迫ってくるナツを不機嫌そうな目で見据えると、本を抱える手とは逆の方で魔法陣を作り出し、大爆発を起こす。

「マルド・ギールが邪魔だと思っているのはドラゴン。お前ではない」

光る魔法陣を展開させナツを向かって来れないようにしているマルド・ギール。しかし、この男はそんなもので止まるはずもなく、魔法を正面突破してマルド・ギールに迫り来る。

「火竜の・・・鉤爪!!」

オーバーヘッドキックのようにマルド・ギールの頭上から炎を纏いし右足を振り翳すナツ。しかしその攻撃を敵は片手で容易くキャッチしてしまった。

「そしてお前はドラゴンではない」

マルド・ギールは冷たくそう言い放つと、ナツを呪力を帯びた腕ではたき、床へと叩きつける。

「うわああああああ!!」

床に叩きつけられたナツ。彼はマルド・ギールの力によって叩き落とされたせいでそれを突き破り、どこまでも続いていくような地下へと落下していく。

「ナツ!!」

姿が見えなくなった息子を見て心配しているイグニール。しかし、そんな彼に向き合うアクノロギアは容赦することなく、ブレスを発射していた。

「くっ!!」

敵の魔法を間一髪で回避したイグニール。当たる対象を通り過ぎたブレスは、遥か彼方、地平線の向こうへと消えていった。

「まだドラゴンが生きていたとは・・・不快」

今まで人間の言葉を話すことが一切なかったアクノロギア。だが彼は、イグニールという強敵を前に、閉ざされていたその口をようやく開いたのであった。

「ほう、やっと口を利いたかアクノロギア」
「貴様を我が敵と認識。滅竜する」

スイッチを入れ、全力での戦いへと移行するアクノロギアとイグニール。どちらが勝つのか、それは魔導士たちにも予想することはできなかった。



















「うわああああああ!!」

悲鳴をあげながら止まることなく穴の空いた床を落ち続ける火竜(サラマンダー)。その姿を、マルド・ギールは一番上の階層から見下ろしている。

「消えよ、ドラゴンの子よ。(イバラ)

小さくなっていくナツに手のひらを向けたマルド・ギール。その手を向けられた青年に、無数の荊が伸びていく。

「なっ・・・」

次から次へと、四方八方から自らを貫こうとする荊の呪法に、身をねじり必死に交わそうとするナツ。しかし、空中で身動きが取れないこともあり、徐々にその攻撃を避けきれなくなっていく。

「!!」

そして、トドメと言わんばかりに撃ち込まれた荊。それがナツの体を貫こうとしたその時、彼の目の前でそれらが粉々に砕け散った。

「あっ・・・」

砕かれた荊の真上・・・ナツの目に入ってくる三人の人影。それを見た彼は、思わず笑みを溢した。

「スティング!!ローグ!!グラシアン!!」

彼を救った三人組。それは、剣咬の虎(セイバートゥース)滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)トリオ、三大竜だった。

「久しぶり!!ナツさん」
「ギリ間に合ったぜ」

以前とは服装も変え、表情にも柔らかさが見える三人。彼らとナツは地面に着地すると、互いの顔が見えるようにと相手を向く。

「やっぱりお前らか!!」

実はナツは、先程までテンペスターと戦っていた時から彼らがここに来ていることを匂いで感じていた。そのため、彼らがこの場にいることにも大して驚くようなことはしない。

「いるのはわかってたけどさぁ、なんでいるんだ?」
「うちのお嬢――――」
「あー!!いいや!!今はそれどころじゃねぇし!!」
「お前が聞いたんだろうが!!」
「落ち着け、グラシアン」

ナツの問いに答えようとしたスティングだったが、聞いた張本人から話を遮られてしまう。それに対しローグがイラッときていたのだが、彼よりも先にグラシアンがキレてくれたため、ローグは彼を宥める役に回ることができたのであった。

「そういやレクターとフロッシュとキセキは?」
「エルザと一緒だ。フェイスを止めるために、制御室に向かってる」
「お嬢とハッピーも一緒のはずだ」

悪魔へと転生したミネルバを救うため、冥府の門(タルタロス)に乗り込んできた三大竜。彼らはそこであったエルザたちにお嬢とフェイスのことを任せ、自分たちはマルド・ギールと戦っていたのであった。ただ、アクノロギアがやって来た際に激しい動悸に襲われ、逃がしてしまったため、匂いを辿りここまでやって来たのであった。

「そっか。ま、あいつらのことだから、心配はしてなかったけどな」

仲間のことを最も大切に思うナツ。それは同時に、彼らを信頼している証でもある。

「ナツさん、一緒に戦おうぜ!!」
「あいつは確かに強いが」
「四人なら、あいつを倒せる」

一通りの情報を話したスティングたちは、自分たちを見下ろしている本を抱えた男を見上げそう提案する。

「そいつは名案だ。だが断る!!」
「「「何!?」」」

てっきり自分たちの意見に賛同してくれるものとばかり思っていた三大竜は、ナツの言葉に思わず目を点にしていた。

「これは俺がイグニールから頼まれた仕事だ。俺一人でやる」
「それはわかんだけどよぉ・・・」
「ふざけんなよこんな時に」

イグニールから報酬をもらうために、あくまで一人での仕事を続行しようとするナツ。それを聞いたグラシアンは頭を掻き、ローグは掴みかかろうとしていたが、スティングが間に入りそれを制する。

「じゃあこうしようぜ。俺たち三大竜とナツさん、どっちが先にあいつを倒すか、勝負だ」
「何!?」

爽やかな笑顔でとんでもないことを言ってきたスティングに、ナツは驚愕しその身を震わせる。

「うぐぐぐぐ・・・先にはやらせねぇ。やらせねぇぞ!!」

彼らとの勝負とあって気合いが入ったナツは、遥か上方で自分たちを見下ろすマルド・ギール目掛けてジャンプする。それを見てスティングたち三大竜も彼の後を追うように飛び立つ。

「こういっておけば共闘できる」
「やれやれ」
「面倒くせぇ奴」

スティングの狙いは競争に見せた共闘。ナツの負けん気の強さを生かし、自分たちが彼に合わせて戦おうと考えたのだった。

そんなことなど知りもしないナツは三大竜よりも先に地上に到達すると、マルド・ギール目掛けて火竜の鉄拳を降り下ろす。しかし、彼のその攻撃は表情一つ変えることができずに回避されてしまった。

「うおおおおおおお!!」

それでも諦めずにナツは再度鉄拳を放とうとする。マルド・ギールはそれに対し、チョップでナツを押し飛ばす。

「うおおや!!」

続けてスティングが光を纏いし拳を繰り出すが、あっさりとはね除けられていた。

「「はああああああ!!」」

二人の攻撃を凌いだマルド・ギール。そんな彼に、影竜と幻竜が挑む。

「甘い」
「「ぐっ!!」

ローグの鉄拳もグラシアンのフェイントを織り混ぜた蹴りも難なく打ち返したマルド・ギール。その二人の後ろから、ナツが炎の蹴りをぶちこむ。

「オラッ!!」
「!!」

ナツが来ていたことに気づかなかった彼は、顔面に彼の攻撃を受けて怯む。

「オラッ!!」

重心が後ろに傾いた冥府の王。その土手腹にローグが拳を入れる。

「ふっ!!」
「っ!!」

連続攻撃を浴び地面を足で削りながら飛ばされていく黒髪の悪魔に、幻竜が低い姿勢から蹴りを入れ、高々と打ち上げる。

「うおおおおおおお!!」

空中で逃げ場を失ったマルド・ギールに、目映い白き光を操る竜が、体を回転させながら彼の体を撃ち抜く。
一切の猶予も与えぬ竜の子たちの猛攻に手を出すことすら許されなかった悪魔は、壁を破りながら飛ばされていく。

「空にドラゴンが二頭、目の前にドラゴンの子が四人・・・まだいる可能性もあるなぁ」

黒い煙に覆われている中から、冷静に状況分析をしている声が聞こえてくる。煙が晴れると、四人の攻撃をまともに喰らったはずの悪魔が、まるで何事もなかったかのように立っている姿が目に入ってくる。

「我が城を好き勝手に飛び回りおって・・・マルド・ギールは久しく忘れていた感情を思い出した。怒りだ」

手に持っている本を掴む手に力が入る。何に対しても動じず、冷静を装っていたマルド・ギールだったが、ナツたちに攻められていることに怒りの感情が甦り、今まで見せたことのないような表情を見せる。
それを見てさらに意識を集中させる三大竜の後ろでナツは笑みを浮かべていた。

「よかったなぁ。これで人間に追い付いた」

怒りを力に変えてきた火竜(サラマンダー)。本気モードになろうとしているその男を、彼は待ち構えていたのだった。























「ようやくここまでたどり着いたか」
「意外と距離があるじゃナァイ」

ナツやグラシアンたちが戦闘を繰り広げている頃、ウォーレンの元へと急ぐウェンディたちは、ようやく原型を留めていない冥界島(キューブ)のすぐそばまでやって来ていた。

「見て!!」
「何々~?」

上空を指差すシャルル。その先には雲で隠れることもありはっきりとは見通せないが、アクノロギアとイグニールの姿が見える。

「まだ決着はついていないようだな」
「着くのか、あれ」

自分たちでは割って入ることすらできないドラゴン同士の潰し合い。ドランバルトとカミューニは、その戦いにそう言うことしかできなかった。

「ウェンディ、体の調子は?」
「うん、大丈夫」
「無理しないでね~」
「わかってる、ありがとね」

アクノロギアがやって来たと同時に倒れたウェンディをシャルルとセシリーは心配し、声をかける。本当はシリルのことも心配なのだが、どこかに飛んでいってしまったため、どうなっているかわからないのが正直なところなのである。

オオオオオオオッ

響き渡る咆哮の聞こえる方を見上げた少女たち。彼女たちの目に映るのは、終末の使者。

「まさか、アクノロギアにまた出会すなんてね」
「もう一体のドラゴンは何者だろう」
「さ~?僕たちも初めて見るドラゴンだよ~」

熾烈を極める二頭の戦いを見上げるウェンディたち。だが、それどころではないとウェンディがドランバルトに視線を向ける。

「急ぎましょう、早くフェイスのことを伝えないと」
「ラクサスも治療してぇしな」
「あぁ」

ドラゴンのことを気にしても仕方ないと考え、ドランバルトはウェンディやカミューニたちを連れ、念話の使い手であるウォーレンのいる場所へと向かったのであった。





















「みんな!!リサーナも!!よかった無事で!!」
「ルーシィ!!」
「一人か!?」

ここは崩壊した冥界島(キューブ)のとある場所。そこでは、大量発生しているラミーを倒したエルフマンやリサーナたちと、ガジルやレビィと別行動を取っていたルーシィが合流していた。

『またエロい格好を』
「心の声、漏れてんぞ」

ビキニのような衣装に身を包んでいるルーシィを見てニヤニヤしているウォーレン。彼の声は念話となっており、周りの全員の頭の中にダダ漏れになっていた。

「みんなと会ったり、別れたりで・・・」

そう言った途端、表情を暗くさせるルーシィ。この時彼女は、星霊王召喚の代償として鍵を壊してしまったアクエリアスのことを思い出していた。もう会えなくなってしまった大切な存在のことを思い、彼女は落ち込んでいた。

「どうしたの?」
「何でもない。大丈夫!!」

突然しゃべらなくなったルーシィを心配し声をかけるリサーナ。それに金髪の少女は無理矢理に作った笑顔で答える。

「他の連中はどうした?」
「ガジルとレビィちゃんは、ジュビアをポーリュシカさんのところに運んでる。
グレイは何かすごい力を手に入れたって・・・
ナツはその・・・どうやって説明したらいいか・・・」

今自分が持っている情報の中で一番解説をしにくい話題。それがナツのことである。ルーシィはどう説明すればいいか、頭を悩ませていた。

「もしかして、空中で今戦ってるのって・・・」
「ナツがずっと探してた、あのイグニール」
「どっから来たんだ?」
「えぇっと・・・」

イグニールはナツの体内に秘術を使い眠っていたのだが、ルーシィはそれをどう説明すればいいのかわからず、懸命に言葉を選んでいる。

「けど、ナツの味方ってことは、俺たちの味方だよな?」
「アクノロギアと互角に戦ってるんだろ!?」
「少し希望が見えて来たんじゃねぇのか!?」

彼女の説明を待たずにテンションをあげるウォーレンとジェット、ドロイの三人。彼らが盛り上がっていると、そこに数人の魔導士たちがやって来る。

「まだフェイスが残っています」
「ウェンディ!!」
「シャルル!!セシリー!!それにあんたらは評議院とBIG3の・・・」

彼女たちの元へやって来たのは、ウェンディやカミューニといったメンバー。彼らも無事だったことにルーシィたちは安堵していたが、その後ろにいる三人は少女のある部位を見て驚きを隠せずにいた。

「「「つーか・・・その髪どうしたんだぁ!?」」」
「はいそれ三回目」
「もうやったからやらなくていいよ~」

リサーナやユキノといったショートヘアの女性たちのそれと変わらない髪型になっているウェンディを見て、ウォーレンたちは涙を流し絶叫している。
そんな彼らの悲しみなど気にすることもなく、カミューニとセシリーが冷たくいい放つ。

「今はそれより、大量のフェイスをどうにかしないと!!」
「「「大量!?」」」

ウェンディの活躍によってフェイスを破壊されたことを知っていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)の面々。だが、まだ大量にフェイスを残されていることを知ると、絶望に苛まれたような顔になってしまう。

「何千基ものフェイスが出現してるんだ。なんとかして食い止めなければ、大陸中の魔法が消滅してしまう」
「そして、冥府の門(タルタロス)の使う呪法が、この世を支配することになるのよ」

シャルルたちからことの真相を聞かされ押し黙る面々。それからウェンディは、ウォーレンに自分の考えた作戦を伝えたのであった。




















ドラゴンたちの咆哮が鳴り響く中、怒りに満ちていたマルド・ギールは大きく息をつき、昂る感情を落ち着ける。

「感情は思考を鈍らせる。長らく制御できていたつもりだったのだがねぇ」

マルド・ギールはそう言葉を漏らすと、どこかに向かって歩き始める。

「マスターEND、しばらくお待ちを」

男はそう言うと軽く会釈をし、ENDの本を岩の上に置く。

「怒りという感情は特に良くない。時に自分が自分でなくなるからだ」

マルド・ギールは地面を強く踏みつけると、崩れた瓦礫の中から大きな椅子が姿を見せる。

「さて、自分という個が相違するとはどんな状態であろうか、考えただけでおぞましい」

そう言って彼はドカッと現れた椅子に深く腰を掛け、ナツたちを見据える。

「マルド・ギールはマルド・ギールだ。冥王と呼ばれ、マスター無き冥府の門(タルタロス)を預かっている。この感情は再び忘れなければならない。貴様らの存在と共に」

目付きを鋭くさせ、表情を怒りへと染めるマルド・ギール。彼の解放された力に、大地が大きく揺らいだ。



















ウェンディside

「つまり、ウォーレンの念話の力で、大陸中の魔導士にフェイスを止めるよう呼び掛けるってことか」

私が思い付いた作戦を皆さんに提案してみます。私たちだけじゃとてもフェイスを止めることはできません。だけど、大陸中の全ての魔導士が力を合わせれば、きっとなんとかできるはずです。

「作戦はわかったけど、無理だよ。俺の念話は精々5㎞しか届かねぇ。大陸中の魔導士になんて、とても無理だよ」
「そんな・・・」

しかし、ウォーレンさんからそう言われこの作戦が出来ないことが判明します。5㎞じゃとてもとても全ての魔導士にフェイスのことを伝えるなんてできません。

「何千基ものフェイス・・・」
「もう起動しているんだ。発動まで間もないはず」
「どうすりゃ・・・」

リサーナさん、ドランバルトさん、エルフマンさんがこの危機的状況にそう言います。

「クソッ!!クソッ!!俺のショボさが情けねぇ!!」
『いや、まだ諦めるのには早い』

自分の頭を小突き悔しさを滲ませるウォーレンさん。そんな私たちの頭の中に、聞き覚えのある声が響いてきます。

「この声!!」
「マスターだ~!!」

その声はマスターの声。今この場にはいないってことは、念話でどこからか私たちに語り掛けているということでしょうか?

『こちらにも奥の手が残っている。妖精の尻尾(フェアリーテイル)最終兵器、ルーメン・イストワール!!』

まだ残されていた最後の切り札。それがなんなのか、私たちには予想もつきませんでした。






 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
次はフィードアウトしてたシリルとグレイが出てくるかな? 
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