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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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アクノロギアvs.イグニール

 
前書き
ギルダーツ風貌変わりすぎだろ(笑)一瞬誰だかわからなかったのは俺だけじゃないと信じたい・・・ 

 
「ドラゴンとアクノロギアが・・・戦ってる?」
「なんでなんで~!?意味わかんないよ~!!」

空中で巨大な体を互いに何度も何度もぶつけるアクノロギアと赤いドラゴン。しかし、なぜアクノロギアと同族であるあのドラゴンが、彼と戦闘を繰り広げているのか理解できていない俺やシャルル、セシリーはただ唖然としながらその様子を見ていることしかできない。

しばらく彼らの戦いを見ていると、二頭は大きく距離を開け、互いに睨み合う。

オオオオオオオオオッ

アクノロギアと赤竜は一歩後退すると、助走をつけ咆哮を上げながら相手に向かって突進する。激しく体をぶつけ合う彼ら。その衝撃で、周囲は風が巻き起こっているようだった。

「「んん・・・」」

空中で激戦が繰り広げられていると、ウェンディとシリル、二人の少女・・・じゃなくて少女と少年が目を覚ます。

「ウェンディ!!」
「シリル~!!」

何事もなかったかのように上体を起こすウェンディとシリル。彼女たちはなぜ自分たちが倒れていたのかわかっていないのか、不思議そうな顔でキョトンとしている。

「なんともないの?」
「うん」
「全然平気」
「よかった~」

心配するシャルルとセシリーに冷静に答える二人。顔色も至って普通だし、大丈夫そうかな?

「無理はするなよ、二人とも」
「「はい」」

念のためドランバルトがそう声かけをするが、シリルとウェンディはニコッと笑みを見せ大丈夫なのをアピールする。その直後、彼らの視線は上空へと向けられる。

「シャルル・・・あれ・・・」
「何?どういうこと?」

攻めて攻められてを繰り返している二頭のドラゴンを見て、たった今意識を取り戻した二人の小さき竜は説明を求める。だけど、誰もそれには答えられない。なぜなら、俺たちも何がどうなっているのか理解できていないからだ。

オオオオオオオオオッ

互いを威嚇するように咆哮する二頭。そのうちの一頭、赤い体をした顔に傷のあるドラゴンの周りを、炎がまとわりついているように見える。

「あのドラゴン・・・炎のドラゴンなのか?」
「一体どこからやって来たんだ」

未解決事項が多すぎて、どう判断すればいいのかさっぱりだ。ただ、アクノロギアと戦っているということは、あの炎のドラゴンは味方と考えていいのだろうか?

「え?ねぇ!!あれ見て!!」
「ん~?」

頭をフル稼働させてこの状況を理解しようとしていると、二頭のドラゴンの真下から、炎の流星が彼らの元に飛んでいっているのが見える。

「ナツさん?」
「だ・・・だよね?」

その流星の正体はすぐにわかった。妖精の尻尾(フェアリーテイル)の炎の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)であるナツ。彼が足に炎を纏わせ、それをブースター代わりにして、空中戦を繰り広げるドラゴンたちに飛び付こうとしているのだ。

人間のそれとは思えないほどの跳躍力でアクノロギアに対峙している炎のドラゴンに飛び乗るナツ。その炎のドラゴンとナツは知り合いなのか、何かを言い合っているように見える。

「ナツさん、何してるの?」
「あんなところにいたら危ないじゃん!!」

ただ、彼が飛び込んでいったのは戦場のど真ん中。それも明らかに人間の域を越えているものたちの元にやって来ているため、仲間であるウェンディとシリルは不安でしょうがないといった感じである。

オオオオオオオオオッ

問答し合っている炎のドラゴンと火竜(サラマンダー)。それを見たアクノロギアは、助走をつけ再び体当たりに動く。

「やかましい!!」

おそらくナツに対して向けられた言葉なのであろう。炎のドラゴンはそう声を荒らげると、アクノロギアの体当たりを間一髪で回避する。
その際宙に体の浮きかけたナツを、そのドラゴンは手を大きく広げ、鷲掴みにする。

「「ナツさん!!」」
「握り潰される!?」
「うわぁぁぁ!!どうしよう~!?」

ドラゴンの手にガッチリとボールドされた火竜(サラマンダー)を見て悲鳴をあげる女子四名。だけど、別段大した問題点はないのではないだろうか?

「いや、大丈夫だろう」
「あぁ、心配するこたぁねぇよ」
「「「「え?」」」」

心配している四人にドランバルトと俺がそう言う。たぶんあのドラゴンは、ナツが落ちそうになったのを拾い上げただけなんだ。ただ顔が怖いから、危ないように見えているだけであって。

オオオオオオオオオッ

そんなことを考えていると、空から大きな咆哮と共に、アクノロギアに地を焼き消すほどの威力を秘めた炎のブレスが放たれる。その力は絶大で、アクノロギアは一瞬のうちに炎に包まれていた。

「す・・・すごい・・・」
「なんて威力なの・・・」

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のそれを遥かに上回るドラゴンのブレスに、シリルとウェンディは驚いて呆然としている。その熱は、遠く離れている俺たちにも届くのではないかというほどだ。

グアアアアアアアアッ

なおも吹き付けるドラゴンの炎。それをまともに食らっているアクノロギアは、悲痛な叫びを上げている。そして・・・

ドゴオオオオオン

けたたましい爆発音とともに、アクノロギアは地面へと叩き付けられた。

「アクノロギアを・・・」
「た・・・倒したの?」

以前自分たちが敵いもしなかった相手を一瞬で蹴散らしたように見える炎のドラゴン。シリルもウェンディも、それを見て言葉を失っている。

「いや」
「まだだ」

だが、彼女たちの期待は外れてしまう。

オオオオオオオオオッ

地面を抉り取ったその中から、漆黒の翼を広げ咆哮をあげるアクノロギア。その体には、傷ひとつついているようには見えない。

「なっ・・・」
「そんな・・・」
「効いてない!?」
「ウソでしょ~!?」

あれだけの炎を食らったにも関わらず、まるで何事もなかったかのようにピンピンしているアクノロギア。その姿に少年たちは驚愕する他なかった。

アクノロギアは翼をばたつかせると、炎の竜がいる高さまで一瞬のうちに飛び上がっていく。それに対し、炎の竜もやる気満々の様子だ。

「ねぇ、ナツさんとあのドラゴン・・・何か話してない?」
「え?」

すると、シリルが炎の竜とその手の中にいるナツが何かを話し合っているように見えるらしい。遠くて俺にはわからんが、シリルが言うんだからおそらく間違いないだろう。

「あ!!」
「投げた!!」
「「「「はっ!?」」」」

しばらく二人が会話をしていたと思われる時間が過ぎると、シリルとウェンディがそんなことを言う。よく目を凝らしてみると、確かに炎のドラゴンの手に握られていたはずのナツの姿がない。

「もしかしてあのドラゴンって・・・」

どこかに向かって投じられたナツを見て、シリルが顎に手を当て何かを考え始める。彼はわずか数秒ほどしか考えていなかったのだが、何やら結論に至ったらしく、炎のドラゴンが青年を投げた方向を真っ直ぐに見据える。

「俺、ちょっと聞いてきます」
「はっ!?」

あまりに唐突にそんなことを言われたので、何のことを言っているのかわからなかった俺は思わず間抜けな声を出す。

「ナツさんから色々聞きたいことあるんで!!ウェンディとラクサスさんをお願いします!!」

ペコリと頭を下げたシリルはそう言うと、すぐさま目的地に向かって走り出す。

「おい!!シリル!!」
「待て!!」

俺とドランバルトが彼を呼び止めようと叫ぶが、少年は聞こえていないのか・・・いや、たぶん気付いていないフリをしてそのまま見えなくなってしまった。

「っざけんなあいつ!!」

ラクサス頼むって・・・あいつがこいつ動けなくしたんだろうが!!責任もって最後まで付き合えよ!!

「落ち着いてください!!カミューニさん」
「そうよ、ここはシリルに任せましょ」
「僕たちはラクサスくんを運ばないと~」

苛立ちが頂点に達しようとしていた時、ウェンディとシャルル、セシリーにそう言われ、なんとか怒りを納める。

「後でなんかやらせる。絶対ぇやらせる」

この借りを返す何かをシリルにやらせようと決意した俺。んで、これからどうするんだっけ?

「ドランバルトさん!!急いでウォーレンさんのところに行きましょう!!」
「あぁ。わかった」

さっきからちょいちょい話に出ていたウォーレン。どうやら彼女たちの目的はその人物らしく、ドランバルトの瞬間移動(ダイレクトライン)でこのまで来ていたようだ。

「お前も来い、カミューニ」
「言われるまでもねぇよ」

これだけの騒ぎでも一切目覚める様子のないラクサスを担ぎ上げる。それから俺たちは、ドランバルトの魔法でバラバラに砕け落ちた冥府の門(タルタロス)の本部へと向かった。






















シリルside

「もしかして・・・あのドラゴンって・・・」

現在上空でアクノロギアと熱戦を繰り広げている炎のドラゴン。それが火竜(サラマンダー)の異名を持つナツさんと仲良く話していたってことは・・・
俺の頭の中に浮かび上がっている一つの推測。それを確認するために、あのドラゴンに投げられたナツさんの元へと全速力で向かっている。

「あれ・・・?」

おおよその地点しかわかっていないので、何となくで進んでいる俺の目に、一人の青年の姿が飛び込んでくる。

「グレイさん!!」
「ん?」

俺が見つけたのは黒髪の妖精、グレイさん。彼を見つけたとすぐに俺は仲間の元に駆けていく。

「無事だったんですね」
「おめぇもな」

相変わらずの上半身を露出した格好に、傷だらけになっている体。だけど、その中で俺はある部分に視線が止まる。

「その腕・・・」

彼の右腕に色濃く刻まれている模様。それは、俺の左腕にあるそれとほとんど同じものだった。

「あぁ、これか」

俺の視線に気付いた彼は、顔の前にその腕を持ってきてそれを見せつけてくる。

「親父からもらったんだ。冥府の門(タルタロス)を潰すために」
「親父?」

グレイさんのお父さんがどこかにいたということなのだろうか?でも、それがなぜその魔法を手に入れることになったのかはイマイチ理解できていない。

「お揃いですね」
「!?」

言葉に詰まったので、自分の腕にある模様を見せる。グレイさんはそれを見て、大きく目を見開いた。

「なんでお前がそれを・・・」
「捕まってる間に色々されまして・・・」

全裸にさせられたかと思えば、妙な魔法を組み込まれて・・・なんだか遊ばれまくっている気がするのは俺だけなのだろうか?

「その魔法・・・使えんのか?」
「一応・・・」

これ単体では使うことはできていないけど、滅竜魔法と合わせてならなんとかいける。たぶん水天竜の時と同じ感覚なのかな?まだ覚えたばかりだから、全然わからないや。

「グレイさんはどうなんですか?」
「俺も似たようなもんだ」

頭をかきむしりながらそう言うグレイさん。なんでも彼はつい先程手に入れたばかりらしく、一度だけしか魔法を使っていないらしい。でも、彼がもともと使っていた氷属性と同じ魔法なため、飲み込みは早かったようだ。

ドガァン

俺たちが互いの事情を話し合っていると、外から大きな爆発音とけたたましい振動が伝わってくる。そちらを向くと、なかなか決着のつかないドラゴン同士の戦いが、さらに熱を帯びているように見える。

「にしてもすげぇな、あのドラゴン」
「本当ですね」

エクリプスから出てきたドラゴンは、アクノロギアに比べると数段力が落ちているように感じた。たぶん彼らがあの暗黒の翼と戦っても、ものの数秒で負けてしまうのは目に見えている。
だがしかし、あの炎のドラゴンは違っている。島一つを一息で消し去るほどの力を持っているアクノロギアと、真っ正面からぶつかり合うことができているのだ。それも、力負けすることなく、互角の戦いを演じているのである。

「何者なんだ?あいつは」

どこから現れたのかも、味方なのかも正確にはわからないドラゴンを見て眉間にシワを寄せる氷の魔導士。俺は、そんな彼に自分の推測を話してみることにする。

「もしかしたらあのドラゴン・・・ナツさんのお父さんなのかも」
「何!?」

俺の言葉を聞いて首を捻りこちらを向くグレイさん。彼は当然信じられないといった感じだったが、そう考えると辻褄が合うんだよねぇ。
炎のドラゴンっていうことも、ナツさんと話をしていたということも、アクノロギアと戦っているということも。

「もしそうなら、一体どこから来たってんだよ」
「それをナツさんに確かめようと思って・・・」

どこから来たのかわかれば、ヴァッサボーネにもグランディーネにも会えるかもしれない。その想いでここまでやって来たのだ。

「そうか。なら、俺もついて・・・ん?」

俺の意図を汲み取ったグレイさんが一緒にナツさんを探しに行こうとした時、彼は何かを見つけそちらに歩いていく。

「なんでこんなとこにこんなもんが」

そう言って彼が拾い上げたのは、ナツさんが普段から身に付けているマフラーだった。

「落としたんでしょうか?」
「かもしれねぇな」

実はこのマフラー、ナツさんが冥府の門(タルタロス)に捕らえられていた際に奪われてしまったものらしい。それがこの四角い島が破壊されたことで、保管場所からここまで飛んできていたみたいなのだ。

「ったく、大事なもんだって言ってたのにな」

そんなことなど知るよしもない俺とグレイさんは、ナツさんのマフラーを片手に彼のいるところへと歩き出したのであった。












 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
大魔闘演武をあまり省略しないでやったためか、かなりテンポが早く感じるのは私だけなのだろうか?
次はナツとマルドギールの戦いをやっておこうと思います。 
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