八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十七話 江田島その二
「それはです」
「もう呉よりもね」
「遥かに前です」
「そうよね」
「あの街はまた別です」
軍港やそうした場所ではなく、だ。
「そうした造りの街です」
「平安京ね」
「そうです、あの街は」
「京都はそうした街で」
「はい、そして呉や舞鶴、横須賀もそうですね」
軍港であった街はだ、今は自衛隊の街だ。
「軍事目的です」
「自衛隊ね」
「そうです、ただ自衛官の人達は」
「当然ながら呉にも多いわね」
「かなりおられます」
実際にだとだ、小夜子さんは美沙さんにすぐに答えた。
「むしろ江田島よりも」
「海自さんの基地があって」
「横須賀と並ぶ大きな基地です」
「やっぱりそうね、北海道じゃね」
美沙さんは自分の出身地のことを話した。
「陸自さんで」
「陸自さんの主力がおられますよね」
「札幌の雪祭りとか頑張ってくれるいい人達よ」
「海自の方々もですよ」
「いい人達多いのよね」
「そうです、ただ」
ここで小夜子さんは首を少し傾げさせてこうも言った。
「少し海軍を引きずっていますね」
「そうなの」
「はい、帝国海軍を」
「海自さんなのに」
「海軍のことをよく言われます」
「じゃあ江田島でも」
その江田島の話もだ、美沙さんはした。港がもうすぐ目の前のところまで来た。マリンブルーの海がもうそこに見えている。
「あそこでもなのね」
「あそこは特にですね」
「海軍がなのね」
「色濃いです」
「兵学校だっただけに」
「まさにその理由で」
「海軍ね。八条グループもね」
八条学園を経営しているそのグループだ。
「あのグループ自体海軍と縁があったわね」
「はい、結構」
「その縁で私達も江田島に行くのかしら」
「その線もあると思います」
「実際になのね」
「八条グループは自衛隊、特に海自さんに生活用品も入れていますので」
自衛隊の人達も生活がある、だから当然ながら生活用品も必要になる。服や靴、石鹸にタオルに他に色々とだ。
「ですから」
「その縁でなのね」
「今も海自さんの場所に行って」
「勉強もなのね」
「しています」
「海軍精神を学ぶとか」
「いいと思いますよ」
その海軍精神を学ぶこともだ、小夜子さんは美沙さんに話した。
「それもまた」
「海軍ね」
「はい、その心を」
「格好いい感じはするわね」
海軍精神についてだ、美沙さんはまずはこう言った。
「確かスマートで目先が利いて几帳面」
「それがまさにですね」
「海軍精神ね」
「そして最後まで諦めない」
「それよね」
「確かにいいと思います」
「それでその海軍精神をなのね」
美沙さんもそのコバルトブルーの海を見た、もうその先に江田島が見えると言えば言い過ぎだろうか。けれど実際にそう思える場所だ。
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