八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十六話 出発その三
「そっちは楽しみにしてね」
「わかったわ、じゃあ飲むの楽しみにしてるわ」
「美沙さんもお酒好きだしね」
「日本酒もビールもね」
美沙さんは笑って僕に答えた。
「好きだからね」
「じゃあ合宿に行っても」
「楽しくね」
「やっていこうね」
美沙さんとはこうした話をした、そして。
僕達は食事が終わるとだ、畑中さんにこう言われた。
「今日は皆さんが出られるので」
「だからですか」
「バスを用意しました」
「そのバスに乗ってですか」
「登校されて下さい」
「わかりました」
僕は畑中さんのその言葉に頷いた、そしてだった。
実際に皆でバスに乗った、本当に八条荘の娘が全員乗った。それこそ一人として乗らない娘はいなかった。
それでだ、僕は手を振って送ってくれた畑中さん達に手を振り返してから隣の席に座っている詩織さんに言った。
「暫く八条荘は静かだろうね」
「そうよね、皆いないからね」
「うん、だからね」
「暫く畑中さん達もゆっくり出来るかしら」
「そうだね、それにしてもね」
ここで僕はこんなことも言った。
「畑中さんはいつも僕の傍にいてくれてるんだよね」
「管理人だから?」
「うん、執事としてね」
「それでいつも頼りにしてるのね」
「そうさせてもらってるけれど」
それでもとだ、僕は言った。
「その畑中さんも僕がいないと」
「執事さんだしね」
「暫くは羽根を伸ばせるかな」
「そうよね、畑中さんもね」
「うん、本当に休んでもらわないと」
「駄目だしね」
「そうそう、人は休みもないとね」
いつも働いてばかりだと疲れてしまう、それでだ。
畑中さんには今は休んで欲しい、心からそう思った。それで詩織さんにこんなことも言った。
「今畑中さんどう思ってるかな」
「暫く楽で嬉しいとか?」
「そう思ってるのかな」
「どうかしらね、それは」
「わからない?」
「何か畑中さんってそうした考え持つイメージじゃないでしょ」
「確かにね」
言われてみればだった、畑中さんはだ。
「普通に何でもね」
「そつなくこなされてて」
「不平不満も言わないで」
「執事さんとして完成されてる?」
「そうだよね」
性格的にもだ。
「まさにそうした人だね」
「そうでしょ、だからね」
「そうした楽だとかは思わない人だね」
「そうでしょ、あとね」
「あと?」
「畑中さんは執事だけれど」
毒のだ、本当に八条荘の一切を取り仕切ってくれている人だ。けれど詩織さんはその畑中さんについてこう言った。
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