八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十五話 英語でもその八
「だからこのままね」
「注意したまま」
「ゆっくりとやっていってね」
「早くジョーンみたいに上手に乗れる様になりたいけれど」
「そうは思ったら駄目なの」
「乗馬は」
「乗馬は人それぞれだから」
だからだというのだ。
「そうは思わないで」
「私なりに」
「していって」
「そう、そういえば」
エルザさんはこうも言った。
「私もここで焦ったら」
「よくないとなのね」
「予知を感じるから」
エルザさんの予知がここで発揮されていた。
「そうするわ」
「予知ですか」
僕はエルザさんの予知を思い出した、そういえばこの人にはそうした能力も備わっている。アボリジニーの人達のそれだろうか。
「その能力でもですか」
「感じるから」
「焦ったらですね」
「よくない」
乗馬においてというのだ。
「ゆっくりといくべき」
「そう、その予知の通りよ」
まさにとだ、ジョーンさんも言って来た。
「ここは落ち着いてね」
「乗馬の腕を磨いていくのね」
「そうするべきよ」
「若し落馬したら」
エルザさんは乗馬において一番怖いことをあえて言った。
「それで大変だから」
「落馬にも仕方があるけれど」
「私まだ落馬の仕方知らないから」
「そのことも気をつけて」
くれぐれといった口調だった。
「今度落馬の仕方も話すから」
「それでは」
こうしたことを話しながらだった、そして。
ジョーンさんはエルザさんにだ、優しい微笑みで言った。
「午後は軽くね」
「馬に乗って」
「その後は厩舎のお掃除よ」
「わかったわ」
「これもかなり疲れるから」
「気をつけて」
「そう、だから体力はそっちの方も残して」
くれぐれもといった口調での返事だった。
「やっていきましょう」
「わかったわ」
「そういえば」
ジョーンさんは今度は僕にも顔を向けて言って来た。
「美和さんこの学園の厩舎はまだ来られてないですね」
「あっ、あるよ」
「そうなのですか」
「乗馬部にも友達がいて」
「それでなのですの」
「その子に案内してもらったんだ」
「お友達といいますと」
僕の話を聞いてだ、ジョーンさんはすぐにふと気付いて言った。
「二年の方ですね」
「そうだよ、二年の浪川君だよ」
「あの方ですか」
「彼に一度見てみるかって誘われてね」
「それで、ですか」
「一度見させてもらったんだ」
ジョーンさんに話した、その辺りの事情を。
「僕もね」
「そうですか、なら」
「うん、一度中に入れてもらって見てね」
その時のことを思い出しながらだ、僕はジョーンさんに話した。
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