英雄伝説~光と闇の軌跡~(3rd篇)
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第94話
~狭間の宮殿・最奥~
「フフ………ようやく来ましたね、セリカ。」
セリカ達が最奥に到着するとそこにはラプシィアが妖しげな笑みを浮かべてセリカを見つめ
「アアアアアアアア―――――――ッ!!」
アイドスは周囲に膨大な瘴気をさらけ出しながら叫んだ。
「ラプシィア………!」
「アイドス………!」
自分達の目の前にいる守護者達を見たセリカはラプシィアを睨み、サティアは辛そうな表情でアイドスを見つめていた。
「フフ………貴女達にも会いたかったですよ。女神アストライアと憎きアストライアとの再会を願い、果たした忌まわしき人間の娘よ。」
そしてラプシィアはサティアとエステルにそれぞれすざましい殺気を纏わせて睨み
「何よ!?あんな哀しい別れがあった2人に幸せになってほしいと願って何が悪いの!?あたしは”人”として当然の事をしたまでよ!」
「………その姿………先ほど言った”私が憎い”という言葉………貴方はまさか…………」
睨まれたエステルは睨み返して叫び、サティアは驚きの表情でラプシィアを見つめ
「…………………」
そしてセリカは2人をかばうかのように、2人の前に出て剣を構えた。
「フフ………ねえ、セリカ。君は今、幸せかい?………いや、幸せだろうね。だって君が愛したアストライアが傍にいるからね!」
セリカの様子を見たラプシィアは妖しげな笑みを浮かべてセリカに問いかけた後、凶悪な笑みを浮かべてセリカを睨み
「………否定はしない。ずっと追い求めていたサティアが傍にいるからな。………この”影の国”にずっと留まりたいと思うほどに、サティアが愛おしい………」
「…………」
睨まれたセリカは静かな表情で答え、セリカの答えを聞いたサティアは心配そうな表情でセリカを見つめたが
「だが………それはサティアが望まぬ事………そしていつか生まれ変わったサティアと再会したその時こそが俺の……”俺達”の幸せだ!」
「…………!セリカ………!」
決意の表情のセリカの言葉を聞き、嬉しそうな様子でセリカを見つめた。
「………やっぱりセリカはずるいな………自分だけ幸せになって、哀しい記憶は全て僕に押し付けて………ずるいよ!」
一方ラプシィアはセリカを憎々しげな様子で睨んで、膨大な瘴気や魔力を解放した!
「僕も幸せになりたいよ………だから………今度こそ”一つ”になろうよ!」
そしてラプシィアは全身に膨大な魔力を込めて、身体全体を光らせた後巨大な異形の姿になった!
「なっ………あの姿は!」
「おのれ、ラプシィア………!」
異形の姿となったラプシィアを見たマリーニャは驚き、レシェンテは膨大な殺気を纏わせてラプシィアを睨み
「………っ………!」
「エクリア様………」
「エクリア母様~………」
エクリアは唇を噛んでラプシィアを睨み、シュリとサリアは心配そうな表情でエクリアを見つめた。
……セリカ………アストライア………みんな……一つに………なろう………
そして異形のラプシィアは呟いた後、なんとアイドスと融合し、アイドスの姿も混じった超越した魔力、瘴気を纏わせる異形の姿になった!
「んなっ!?融合やと!?しかもなんちゅう霊圧や……!下手をしたら”神”をも超えてんで!?」
(そ、そんな………”彼女”と融合するなんて………!)
「か、勝てるの………?」
融合したラプシィアとアイドスを見たケビンとパズモは信じられない表情をし、ペルルは身体を震わせながら呟き
「いや……あれは”神”ではない!まさか今の奴は………!」
「”二つ回廊の終わり(ディル=リフィーナ)”………!」
「ちょっ!?”世界”を相手にどうやって勝てっていうのよ!?」
レシェンテとエクリアは真剣な表情で叫び、マリーニャは焦った様子で叫んだ。
「俺達の道を阻む者は相手が神であろうと………世界であろうと阻ませはさせん……!」
「”約束”を果たすその時が来るまで絶対に諦めない!」
そしてセリカとサティアが決意の表情で叫んだその時!
「そう……俺達は”約束”した!”一緒に生きて行く”と!」
「ハハハハハッ!それでこそ我が永遠の好敵手にして盟友………セリカ!」
エステルの神剣―――”絆の神剣”からかつて人間であった時のセリカが現れ、決意の表情で叫び、セリカの傍にはハイシェラが現れた!
「お前は………!」
(ほう!話には聞いていたがまさか過去の我が現れるとはな………!ハハハハハッ!面白い!)
「セリカ……!」
かつての自分を見たセリカは驚き、過去の自分を見たハイシェラは興味深そうな表情をした後大声で笑い、サティアは驚きの表情でかつてのセリカを見つめた。
「セリカ!かつての記憶が蘇った今ならわかるはずだ!”俺達”は世界の全てから否定されていないと!」
「…………!」
「ええ……貴方は一人ではないわ、セリカ。」
かつての自分に見つめられて言われたセリカは今までの旅で出会い、協力してくれた仲間達を思い出して目を見開き、サティアは過去のセリカの言葉に頷いて優しい微笑みを浮かべた。
「さあ、エステル!絆の神剣を掲げてくれ!」
「う、うん!」
「皆!エステルの剣に貴方達の”絆”を祈って!」
そして過去のセリカに言われたエステルは頷いた後、”絆の神剣”を天へと掲げ、さらにサティアはエクリア達を見回して叫んだ!するとセリカは”ラクスハイシェラ”を、過去のセリカは”約束の神剣”を、サティアは”天秤の十字架”を、エクリア達もそれぞれの武器をエステルが掲げる絆の神剣にそれぞれ刃を合わせて天へと掲げ
「絆の神剣よ!今こそ我等と結ばれた”絆”達をこの地に!!」
全員同時に叫んだ!すると絆の神剣と合わさったそれぞれの武器は”絆の神剣”と共に強烈な光を放った!すると!
「何が正しく、正しくないのか………そんなのは人それぞれ………なんでそんな事に気づかなかったんだろうな………」
「……フフ………ようやくあたしの事を思い出してくれたわね、セリカ。」
かつて人間であったセリカに”飛燕剣”を教えた師匠であり、バリハルトの戦士ダルノスとバリハルトの神官であり、セリカの姉―――カヤが現れ
「僕の弱さと欲望が多くの人々を不幸にした……何故、あの時言えなかったのだろう……”ずっと一緒にいてほしい”と……」
「お、お師範様っ!?」
”腐海の大魔術師”アビルースがまだ魔に呑まれていない姿――――セリカと共に旅をした時の若き魔術師の姿で現れ、アビルースの登場にペルルは驚き
「なるほど………あれが”災厄の種”の真なる姿か。」
「”世界”は変えさせん。後世達が我等の叡智を語り継ぐために!」
「ルリエンよ………我等に力を…………」
さらに空の勇士、リ・クティナ、白銀公が現れ
「あの時は別れたけど………最後の最後で貴方の力になるわ、セリカ!」
「それは我も同じ!”深凌の楔魔”の第三位、ラーシェナ……我が盟友、セリカの為に参る!」
「”神殺し”セリカよ。今こそ真の決着を付ける時だ!」
かつてのセリカと共の旅をし、別れた商人の少女シャマーラと邪龍との決戦の際、セリカに自らの全てを託して逝った”深凌の楔魔”の第三位、ラーシェナ、”レウィニアの赤き盾”――――レクシュミも3人の後に現れ
「へへっ……また、あたいの力が必要な時が来たようだな!」
「ハア………あたしがあんたとした性魔術の貸しと今回の貸し………いつか絶対返してよね!」
ミルフェの町の自警団隊長カウラは口元に笑みを浮かべ、カウラの相棒、ウェンディスは溜息を吐きながら現れ
「セリカさん!貴方達に呼ばれて私達も来ました!」
「勿論、あたし達も力になるよ!」
放浪のエルフの双子、シェンナとシェスタはそれぞれ無邪気な笑みを浮かべて現れ
「フフ……妹と共に戦うなんて………”本物”の”私”が知ったら、どんな顔をするのかしらね。」
「レ、レア!?」
「えっ………!?」
レシェンテと同じ”古神七魔神”の一柱にしてセリカやレシェンテを守る為に敵を巻き込み自爆して逝った”蒼玄”のレアに気づいたレシェンテとサティアは驚き
「全く………相変わらず厄介事に縁がある奴だな、お前は。」
「フフ………まさか再び貴方と共に戦う日が来るとは思いませんでした、セリカ殿。」
”レウィニアの白き薔薇”レヴィアは苦笑し、メルキア帝国第三皇女マウアは微笑みながら現れ
「………それが貴方の真なる”願い”ですか………神殺しよ………全ては水の流れるままに………」
(ムッ、お主は!?ハハハハハハハッ!まさかお主まで現れるとはの!……水の巫女!!)
レヴィア達が現れた後に現れたレウィニアの土着神にして守護神―――水の巫女が微笑みながら現れ、現れた水の巫女に気づいた剣は大声で笑った。
「フフ………懐かしい方達に加えて、主の新しい仲間の方達も現れるなんて………こんな嬉しい出来事、生まれて?はおかしいですね。………まさか死んでから体験する事になるとは思いませんでした。」
「私だって………初めて………貴方も一緒に…………あそぼ………」
リタは微笑み、ナベリウスはリタの言葉に頷いた後ケルベロスを召喚し
「うぐっ………ひっく………あの時の………優しいお師範様だ………!」
(ペルル………)
ペルルはアビルースを見つめながら涙を流しながら笑みを浮かべ、ペルルの様子をパズモは微笑みながら見つめ
「フフ……かつて貴方を”守護”をしていた天使としての最後の義務を果たすわ。」
「わ、私だってご主人様の元・使い魔として頑張ります!」
「芸術や美を貴様如きが呑みこむ所業………美と芸術を愛する魔神たるこの我が絶対に許さんぞ!」
ニルは微笑みながらエステルの身体から出て、同じように自らエステルの身体の中から現れた決意の表情のテトリと憤るアムドシアスと共に武器を構え
「例え相手が神であろうと世界であろうと………」
「主と共に立ち向かうのがあたし達の役目!」
「それが私達”神殺し”の”使徒”の生きる意味!」
エクリア、マリーニャ、シュリはそれぞれ決意の表情で武器を構え
「サリア、皆の為に頑張りますです~!力を貸して下さ~い、シュヴェルトライテ~!!」
「今度こそ跡形もなく消し去ってくれる!………ラプシィア!!」
サリアはシュヴェルトライテを召喚し、レシェンテは殺気を纏わせて敵―――二つ回廊の終わり(ディル=リフィーナ)を睨み
「ご主人様~。ボク達を呼ばないなんて酷いですよ~!」
「まさか我が先祖まで現れるとは………フフ。呼ばれてはいないが我も共に戦わせてもらうぞ。」
「ハハハハハハッ!かつてないほどの素晴らしき戦の予感だの!当然、我も参戦するぞ、セリカよ!」
「クー――――ッ!!」
「グオオオオオオオ――――ッ!!」
セリカの使い魔リリエムとリ・クアルー、ラクスハイシェラに封じられている魔神ハイシェラもそれぞれ独自の判断でセリカの傍で自ら現れ、さらにクーは自らエステルの身体から現れ、カファルーは雄たけびを上げながら現れた後ラーシェナに視線を向けた。
「……………」
次々と現れた仲間達の中から誰かを探すようにセリカが視線を見回していると
「フフ………誰を探しているのかしら?」
「こんな形でまた会えるなんてね………セリカ。」
「!!クリア………!ロカ………!」
マーズテリア聖女ルナ=クリアとマーズテリアの神官戦士ロカがそれぞれ優しい微笑みを浮かべながら現れ、2人に気づいた”神殺し”セリカは目を見開いた。
「ア、アハハ………もう何が何やら………」
「つくづくとんでもないな、エステルちゃんの神剣………下手をしたら”至宝”をも超えるんとちゃうか?」
一方次々と現れたセリカ達の仲間達を見たエステルは苦笑し、ケビンは表情を引き攣らせてエステルが持つ神剣を見つめ
「…………………」
一方”神殺し”セリカは何も語らずかつての仲間達を見回した後、静かに両目を閉じた。すると
「さあ、セリカ………」
「今こそ”俺達”の真の決着を付ける時だ!」
サティアと”バリハルト魔法剣士”セリカがそれぞれ決意の表情で”神殺し”セリカを見つめ
「………ああ……!行くぞ………みんな!!」
”神殺し”セリカは両目を見開いて力強く頷いた後、全員を見回して号令をかけ
「おおっ!!」
仲間達全員は力強く頷き、セリカと共に敵に向かっていった!
今ここに!”絆”による奇跡の決戦が始まった………!
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