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Blue Rose

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第十三話 人間だからその十三

「もうそれ以上は進歩しないよな」
「そうなるよね」
「やっぱりな」
「科学もだね」
「万能じゃないさ」
 こう言うのだった、再び。
「とてもな」
「そういうことだね」
「何でも万能だったら」
「もう何もいらなくて」
「世の中ずっとよくなってるだろ」
「科学の力で」
「それで何でもわかってるさ」 
 それこそという言葉だった。
「この世の中に万能、完璧なものなんてな」
「ないね」
「絶対にないさ」
 龍馬は断言さえした。
「若しあったら世の中もっとよくなってるさ」
「その通りだね」
「ああ、そもそも人間が万能で完璧か」
「違うよね」
「絶対に違うさ」
「完璧な人間なんていないしな」
「万能な人も」
 優花も言う。
「いないね」
「人間だとな」
「神様でもね」
「神様仏様にしてもそれぞれの仕事があるだろ」
「唯一神の宗教もあるけれどね」
「そうした宗教の神様でないとな」
 それこそというのだ。
「万能でも完璧でもないさ」
「そういうものだね」
「ああ、じゃあな」
「人間は完璧じゃない」
「そういうものだろ、そして完璧じゃない人間の世の中だからな」
「世の中もだね」
「完璧じゃないさ、科学だってな」
「そういうことだね」
「ああ、だから科学で何でも説明出来ないさ」
 それこそというのだ。
「けれどそれでいいだろ」
「そういうことね」
「ああ、じゃあこれ食ったらな」
「うん、帰ろうね」
「牛丼の後でな」
「いや、牛丼食べてると」
 優花は自分の牛丼を食べつつ微笑んで言った。
「元気になるね」
「牛丼食えるだけ元気になってな」
「そして牛丼を食べたら」
「余計に元気になるな」
「そうだよね」
「じゃあもっと元気になろうな」
「うん、明日は今日よりもね」
 優花はまた微笑んだ、そして龍馬もそれは同じだった。二人は優花の身体のことを知ってもだった。今も友人同士だった。


第十三話   完


                       2016・3・12 
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