Blue Rose
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第十三話 人間だからその十二
「徐々にでもね」
「だから明るくなったらな」
「笑ってね」
「余計に明るくなれるな」
「明日は今以上に明るくなるよ」
「そうなるんだな」
「もっとね、そしてね」
そのうえでというのだ。
「前向きにやっていくよ」
「そうしろよ」
「龍馬がいてね」
「優子さんもいるしな」
「それで神様も仏様もいるから」
「ああ、宗教か」
「僕そうしたものも信じてるからね」
優花もまた牛丼を食べているがその勢いは龍馬に負けている。これは精神的な状況ではなく優花自身の食べる勢いが龍馬よりも劣っているのだ。
「だからね」
「それでか」
「姉さんにも言われたよ」
「俺や優子さんだけじゃない」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「神様や仏様もいるってね」
「優子さんも言ってるんだな」
「わかるんだ」
「子供の頃とかよく三人で神社とかお寺とか行っただろ」
優子に連れられてである。
「だからな」
「その時にわかったんだ」
「あの人信仰心篤いだろ」
「うん、そうだね」
「俺もこれでもな」
「神様とか仏様とか信じてるんだ」
「優子さん程じゃなくてもな」
それでもというのだ。
「俺だってそうさ」
「そうなんだね」
「ああ、それなりにな」
こう優花に話した。
「俺だって信仰心はあるさ」
「無神論って訳じゃないのね」
「完全に神様とか仏様とか信じない人も珍しいだろ」
「そうかな」
「世の中科学だけじゃ説明つかないだろ」
優花をじっと見ての言葉だ。
そしてだ、言葉と言葉の間に優花自身のことも入れてだ、そのうえで言ったのだった。
「わかるよな」
「うん」
優花も龍馬の言葉の中にあるものを読んで頷いた。
「そのことはね」
「そうだな、そもそも世の中って万能なものないだろ」
「科学にしても」
「何でもかんでも科学で説明出来たらな」
それこそというのだ。
「苦労しないさ」
「そういうものだよね」
「これ優子さんも言ってるだろ」
「うん、医学でもね」
「現代医学が全てじゃないか」
「それで完璧じゃないって」
「完璧だったらな」
それこそとだ、また言った龍馬だった。
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