ヘタリア学園
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第五千六百四十話 光太夫さんも見た
第五千六百四十話 光太夫さんも見た
エカテリーナさんは漂流してきた日本人と会ったことがあります、日本はロシアにその人のことも聞きました。
「大黒屋光太夫さんを覚えておられますか」
「井上靖さんの小説にもなってるね」
ロシアはこう答えました。
「そうだったね」
「はい、そうです」
「よく覚えてるよ、僕も会ったしね」
エカテリーナさんと一緒にです。
「いい国だけれど農奴がいることが、って言ってたよ」
「それは即ちですね」
「当時の僕は農業国だったからね」
「人口の殆どが農奴だったということですね」
「そのことを指摘されるとね」
ロシアとしてはだったのです。
「僕も言葉がなかったよ」
「僅かの貴族と大多数の農奴」
「そんなよくあるお話だったからね」
当時のロシアはそうした社会だったのではないかというのです、光太夫さんの言葉をどうしても忘れられないロシアなのです。
第五千六百四十話 完
2016・6・4
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