八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十三話 一杯のお茶漬けその十二
「お給料貰ってるから」
「お金はあるか」
「だからね」
それでというのだ。
「自分の分は支払うよ」
「おいおい、また大人なことを言うな」
「自分の分はね」
「払うか」
「それ位のお金は普通にあるから」
それでというのだ。
「気にしなくていいよ」
「そう言うか」
「うん、だからね」
「まあそうは言ってもな」
「ここのお金はなんだ」
「俺が出すさ」
やはり笑って言う親父だった。
「だからいいさ」
「親だから」
「子供に自分の分でも払わせるとかな」
親としてだ、親父は僕に笑って返した。
「俺の流儀じゃないからな」
「いいんだ」
「ああ、全部俺が出す」
親父はこのことは引かなかった。
「わかったな」
「そこまで言うんだったら」
「御前も親になったらな」
「その時はだね」
「お金は御前が出せ」
僕の子供にというのだ。
「いいな」
「わかったよ、じゃあ今はね」
「俺が出す、そして御前の子供にはな」
「僕が出すよ」
「そういうことでな」
こうしたことも話してだ、そしてだった。
僕は親父と一緒に店を出た、それから。
親父は僕に笑顔で手を振ってだ、こう言った。
「よし、じゃあな」
「また明日だね」
「今日はホテルに帰って寝るか」
「遊びには行かないんだね」
「それもいいけれどな」
今日はというのだ。
「これで休むさ」
「親父にしては珍しいね」
「明日は早いからな」
「だからなんだ」
「もうホテルで休んでな」
「明日だね」
「御前と墓参りだ」
笑って僕に言って来た。
「それに行くからな」
「じゃあ明日ね」
「また会おうな」
「それじゃあ明日お墓参り行って」
「俺はイタリアに戻るな」
「すぐに来てすぐに戻るね」
「俺らしいだろ」
明るく笑って僕にこうも言った。
「それも」
「まあね、いきなりなのがね」
「俺だからな」
「迷惑なことにね」
「ははは、そう言うんだな」
「いつもそう思うから」
僕は笑ってだ、親父に言った。
「それはね」
「まあ皆から言われることだな」
「そうだよね、親父は」
「ああ、その通りだしな」
「まあいきなりじゃない親父も親父じゃないし」
こうも言った僕だった。
「まあいいか」
「そうも言うんだな」
「それじゃあね、行こうか」
「明日な」
「また会おうね」
こう親父に言ってだった、僕はその親父と別れて八条荘に帰った。そうしてそのうえで畑中さんに事情を話した。
するとだ、畑中さんは僕に微笑んでこう言ってくれた。
「それはいいことですね」
「お墓参りはですね」
「はい、それも止様もご一緒とは」
「会って話して決めたんです」
「義和様から言われてですね」
「そうです」
その通りとだ、僕も答えた。
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