八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十三話 一杯のお茶漬けその十一
「そういうのもあるんだよ」
「そうなんだね」
「だからな」
「それでなんだ」
「あそこじゃドイツ料理も食えても」
「和食があっても」
焼き鳥とかはというのだ。
「ないんだよ」
「それでお茶漬けも」
「そういうのがないからな」
それ故にというのだ。
「本当に日本に来たら」
「食べたいんだね」
「ただ、お米はあってな」
これ自体はというのだ。
「それと雑炊はあるんだよ」
「リゾットだね」
「日本の雑炊とは確かに違うけれどな」
「雑炊はあるんだね」
「ああ、ただ御飯は炊けても」
それでもというのだ。
「お米が違うことは大事だぞ」
「向こうはインディカ米だから」
「お茶漬けにしてもな」
苦い顔でまた言った親父だった、見れば焼酎と焼き鳥はどんどん進んでいて串が串入れにも二十本は入っている。
「作っても違う」
「それでお漬けものもないから」
「梅干だってな」
「だからないって言ったんだね」
「湯漬けにしても違うんだよ」
お茶漬けではなくそちらでもというのだ。
「お茶も違ってな」
「そういうことなんだね」
「日本人は因果なものでな」
「どんな美味しいものを食べても」
「最後は御飯でな」
そしてというのだ。
「お茶漬けの魅力から離れられないんだよ」
「よく言われるね」
「それは俺もだ」
「親父もなんだね」
「そうなんだよ、じゃあ焼き鳥と焼酎を食って」
それからというのだ。
「最後はお茶漬けだ」
「それでシメだね」
「そうするさ」
「じゃあ親父がお茶漬けを食べ終えるまで」
僕は黒くて飲みやすい焼酎を飲みつつ親父に応えた。
「僕は飲んでるよ」
「付き合ってくれるってか」
「そうなるね」
飲みながら親父に横目を向けて笑って言った。
「今回もね」
「そうか、じゃあな」
「最後まで飲もうね」
「そして明日はな」
「うん、明日はね」
「お墓参り行こうな」
「明日からね」
こう話してだ、僕達はお酒と居酒屋の雰囲気を楽しんで。
親父がお茶漬けを食べ終えてだ、親父が僕に言った。
「帰るか」
「今日はこれでお別れだね」
「お金は俺が払うな」
「おいおい、親と子供が一緒に飲んだらな」
親父は焼酎を一本空けて結構酔っている僕に笑って言った。
「親が全部出すものだろ」
「そうなんだ」
「子供が未成年なら余計にな」
「僕もう八条荘の管理人で」
僕は親父にこのことから話しあった。
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