八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十三話 一杯のお茶漬けその八
「凄く大きな人になれよ」
「西郷さんか伊藤さんか」
「あの人達は凄かった」
正面を向いてまだお酒が入っているコップを右手に持って揺らしながらだ、親父は僕に微笑んでそのうえで話した。
「だからな」
「それじゃあね」
「約束はしなくていいさ」
「そこでいつもそう言うんだね」
「こんなの約束することじゃないからな」
本当にいつもこう言う、親父は。
「御前が誓え」
「僕自身にだね」
「ああ、俺を超えるってな」
「そうするものだね」
「誰に誓わなくてもいいんだよ」
それkそというのだ。
「御前自身がどうかなんだよ」
「要するにだね」
「そうだ、じゃあいいな」
「わかったよ」
「まあそんなのすぐだな」
「すぐかな」
「今日の御前見てわかったさ」
僕を見ての言葉だ、今度は。
「俺なんか本当にだ」
「もうすぐになんだ」
「すぐに超えるな」
それこそというのだ。
「それでもっとだ」
「器をだね」
「もっと大きくなれ」
親父を超えてさらにというのだ。
「西郷さんを目指してだ」
「出来ればだね」
「まあ西郷さん伊藤さんは無理か」
「あの人達みたいな器は」
「ちょっと以上に難しいな」
流石にというのだ。
「あの人達はまた別だよ」
「ううん、確かにね」
「海みたいな人達だったからな」
「西郷さんはともかく伊藤さんについて色々言う人いるけれど」
「それは違うな」
「伊藤さんは実際にだよね」
「ああ、凄く大きいしな」
それにというのだ、親父は。
「能力も凄かったしな」
「最初の総理大臣、そして日本の元老として」
「相応しい人だった」
まさにという言葉だった、親父の言葉も。
「俺はそう思う」
「僕もね」
「ああ、ああした人になりたいって思うだろ」
「親父は西郷さんよりもだね」
「伊藤さんの方が好きだな」
「女好きだったし」
「ははは、そこが本当にな」
僕の横目の皮肉にも笑って返す。
「いいんだよ」
「女好きなところが」
「余計にな」
「あの人凄かったらしいね」
「明治天皇から咎められる位な」
「そこまでだったんだね」
「陛下もわかっておられたんだよ」
その明治帝もというのだ。
「それで受け入れられてたんだよ」
「それ言ったら明治天皇も凄い方だね」
「理想の君主だな」
「そう言っていいよね」
「あの方はまた別格さ」
明治天皇はというのだ。
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