サイボーグ軍人
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2部分:第二章
第二章
「だからだ」
「それではいいのですね」
「それで」
「そうだ、すぐに頼む」
こうも言う彼だった。
「それではだ」
「はい、では」
「はじめさせてもらいます」
こうして彼はある部屋にその白衣の男達と共にいった。それから一月後だ。軍務に復帰した彼は外見はこれまで通りだった。しかしである。
何かが違っていた。雰囲気からしてだ。しかしどう変わったかはわからなかった。その彼が軍務に復帰して暫くしてだ。戦争がはじまったのだ。
ポーランドとの戦争だ。それがはじまったのである。ドイツは所謂電撃作戦によって瞬く間にポーランドを蹂躙していった。彼もそれに参戦していたのだ。
だが彼はそれまで務めていた参謀ではなかった。
前線指揮官として参戦してだった。前線で自ら戦っていた。
前からポーランド軍の戦車が来る。ポーランド軍も僅かだが戦車を持っていたのだ。
ハルトマンの方に来る。周りが咄嗟に叫ぶ。
「少佐!大変です!」
「退いて下さい!」
「今そちらに戦車が!」
「大丈夫だ」
しかしだった。ここで彼が部下達に対して言うのだった。
そしてだ。己の左手を右手首に添えてだ。そうしてだ。
「ファイエル」
こう落ち着いた声で言って何とだ。その右手首を離した。
そこからミサイルが放たれる。それは誘導式で敵の戦車に向かってだ。一撃で戦車の重厚な装甲を完全に撃ち抜いてしまった。
撃ち抜かれた敵の戦車は動きを止めた。そしてその直後に炎に包まれてだ。爆発してしまったのだった。ここまでまさに一瞬だった。
それを見てだ。ドイツ軍の将兵達は唖然となった。
「な、何だ?」
「今のは何だ?」
「一体」
「私の身体に備わっているものだ」
こう言ってみせるのである。
「我が愛する祖国が私に授けてくれたものだ」
「ドイツがですか」
「少佐に」
「ドイツは勝つ」
彼は言った。
「私にこの力を授けてくれたこの技術によってだ」
言いながらまたミサイルを放つ。そのうえで戦車を再び粉砕するのだった。
次の日にはだ。空から敵機が二機来た。それに対してだ。
一旦飛んだ。それからだ。
何と両手を前にしてそのまま飛びはじめた。そしてその体当たりで敵機を真っ二つにした。
それで一機倒してだ。もう一機の上に来てそこから足のところからあのミサイルを今度は爆弾として落としてだ。敵機を上から粉砕したのである。
この日は空の敵を退けた。何と彼は空も飛べたのだ。
「凄いですね」
「まさか空を飛べるなんて」
「それもまたですか」
「そうだ、私に備わっている力だ」
それだというのである。
「そしてだ」
「はい、そしてですね」
「他にも」
「それはおいおいわかる」
あえて今は言わないのだった。だが彼の活躍により彼がいる部隊は見事な武勲を挙げた。そうしてその次の日もそれは同じであった。
足からもミサイルを出し指からは高圧電流を放つ。空からの爆弾には螺旋状のビームを放ちそれで爆発させる。手足が伸びてそれで敵兵を接近戦でも倒す。指は手裏剣にもなれば伸びた腕の指からも高圧電流が放たれる。目からは冷凍ビームだった。
そのうえだ。敵兵が接近してきてもだ。
「甘い」
即座に敵兵の懐に飛び込んで鉄拳を無数に叩き込む。それで粉砕し敵の兵士達が動きを止めると左手首を外してだ。そこからはマシンガンを放って敵兵を撃つのだ。
彼はまさに無敵だった。ポーランドとの戦争は一月で終わった。ドイツ軍が戦車や装甲車、それに航空機を駆使した電撃戦で収めた勝利だった。
そしてその中にハルトマンもいた。彼もまた見事な武勲を挙げたのである。
その強さは圧倒的だった。彼一人で千人の部隊を倒したこともある。当然ながらこのことは政府の首脳部にも伝わったのである。
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