八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第七十三話 一杯のお茶漬けその五
「それはね」
「わかった、じゃあな」
「そういうことでね」
「よし、親父とお袋に顔を見せるか」
親父は何処か楽しそうにこんなことも言った。
「久し振りに」
「お祖父ちゃんと祖母ちゃんにね」
僕にとってはそうした血縁になるのでこう言った。
「そうしようね」
「ああ、二人共喜ぶからな」
「喜んでくれるね」
「絶対にな、ただあそこはな」
「あのお墓はね」
「うちの家にな」
それにとだ、親父は僕に話した。
「八条家の他の人達のお墓もあるからな」
「そうだよね、あそこはね」
「うちの一族のお墓だからな」
僕達八条家のだ。
「だから色々なご先祖様がいる」
「そうした場所だね」
「中には凄い恋愛をして死んだ人もいるんだ」
「確か義統さんって人と」
「奥さんがな」
「凄い恋愛をしてね」
「そして奥さんが若くして死んだけれどな」
親父はまた正面に顔を戻して言った。
「凄かったそうだな」
「僕もその話は聞いてるよ」
「結構うちの一族は色々な人がいるんだよ」
「そうした人もいて」
「海軍にいた人もいてな」
「僕の大叔父さんのお父さんだよね」
そうした人だったと聞いている。
「確か」
「ああ、戦争に行ってな」
「凄い活躍したんだったね」
「海軍士官としてな」
「それで帰って来て」
戦争に生き残ってだ。
「海上自衛隊とも縁があって」
「そっちの仕事もしたんだ」
「そうした人もいたね」
「ああ」
その通りという返事だった。
「そうした人もいた」
「そうだったね」
「それで俺もな」
「親父も?」
「あと八十年位したら入るからな」
笑ってこう言った、ここでは。
「墓参り宜しくな」
「八十年って」
「御前は百歳近いか」
「九十七歳だよ」
本当に百歳近い。
「その時は」
「ははは、もういい歳だな」
「いい歳っていうか」
それこそだ、そんな年齢だとだ。
「もう老衰してもね」
「おかしくないな」
「そうだよ、九十七になったら」
というか九十歳を超えたらだ。
「もう何時でもね」
「そうだな、けれどな」
「親父あと八十年は生きるんだ」
「そのつもりだよ」
「僕でその歳だよ」
九十七歳だ、僕は今は十七歳なのでそこから八十年経てばだ。
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