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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第59話

~アーライナ領域~



「なっ!?こ、これは一体……!」

異空間に転移させられたクロチルダは周囲を見回して驚いた。



「な、なに……これ……」

「か、”火焔魔人”……」

「戦闘能力不明……」

一方変わり果てたマクバーンを見たアリサとセリーヌ、フィーは信じられない表情をし

「っ……!」

「下がれ、ルシア……!」

息を呑んで身体を強張らせているルシア夫人を庇うようにシュバルツァー男爵はルシア夫人の前に出た。



「これは……人の手で倒せるとは……」

「くっ……ここまでだったなんて!」

「まさに”化物”じゃねえか……!」

「―――ですが、リウイ陛下自らが彼の相手をするのならば勝機はあるかと。」

「ハハハハハハッ!久方ぶりに見たな、君の”本気”を!」

一方マクバーンの圧倒的な強さを感じ取っていたラウラは不安そうな表情をし、サラ教官とトヴァルは厳しい表情をし、クレア大尉は冷静に戦力の分析をし、ブルブランは高々と声を上げた。



「クク、その”剣”ならコイツとも渡り合えそうだな?」

するとその時リウイの持つ魔剣を見て凶悪な笑みを浮かべたマクバーンは異空間から”魔剣アングバール”を取りだした!

「なっ!?あれはまさか……―――”魔剣”!?」

「ああ。―――”アングバール”。”匠王”によって造られた”レーヴァテイン”の元となった”ケルンバイター”と対になる魔剣だ。」

「レーヴェさんの剣と……!」

魔剣を見たプリネは驚き、レーヴェの説明を聞いたツーヤは目を見開いた。



「クク、そこにいる阿呆のと違って俺との相性が”良すぎる”せいかコイツはこんな風になっちまうけどな……」

レーヴェに視線を向けたマクバーンが凶悪な笑みを浮かべると魔剣は黒き焔の剣と化した!



「キャアッ!?」

「きゃああっ!?」

「うわああっ!?」

魔剣がさらけ出す瘴気を感じたセレーネやアリサ、エリオットは悲鳴を上げ

「黒き焔……!?」

「クッ、化物が………!」

ガイウスとユーシスは信じられない表情をした。



「……………………」

「さて……始めるとするか?ま、この”力”の前には抗うだけムダだと思うがな。」

静かな表情で剣を構えているリウイに対し、マクバーンは不敵な笑みを浮かべた。

「―――”雑魚”が。”その程度の力”、俺達の世界では良くてせいぜい下級の”魔神”クラスだ。」

「あん……」

しかしリウイが呟いた言葉を聞き、眉を顰めた。するとその時!



「――――我が深淵に眠りし光と闇の力よ………今こそ目覚めろっ!オォォォォ――――――――――ッ!!」

リウイが雄たけびを上げるとリウイの全身から膨大な闘気や魔力、そして”神気”がさらけ出され始めた!

「あ、ありえない……あの”空の女神”以上の”正”の霊圧と同時にそれとほぼ同等の”負”の霊圧を纏った”魔人”が存在するなんて…………!名付けるとしたら”神魔人”かしら……!?」

「――――!リウイ陛下は”魔王”と”女神”の血を受け継ぐ方……だからこそ”正”と”負”、両方の霊圧を出せるのかもしれないわ……!」

「め、滅茶苦茶だ……!」

「何て”風”だ………!」

リウイがさらけ出す凄まじい霊圧を感じたセリーヌは信じられない表情をし、ある事に気付いたエマは目を見開き、マキアスは疲れた表情をし、ガイウスは真剣な表情でリウイを見つめ

「こっちも戦闘能力不明……けど、あれなら……」

「ああ……あの”魔人”とも互角―――いや、互角以上に戦える……!」

苦笑するフィーの言葉を聞いたラウラは力強く頷いて口元に笑みを浮かべてリウイとマクバーンを見比べ

「ほええええ~!何だかビックリ人間大会になってきたね~!」

「ミ、ミリアムちゃん……」

「時と場所を考えて発言してくださいよ……!」

目を丸くして驚いているミリアムの言葉を聞いたクレア大尉は冷や汗をかき、セレーネは呆れた表情で指摘し

「これが”英雄王”の”本気”か……!」

「ったく、こっちもこっちでもっと”化物”ね……!」

トヴァルは驚き、リウイが勝利する可能性が高いと判断したサラ教官は口元に笑みを浮かべてリウイを見つめた。



「なあああああああああっ!?」

「ハハハハハハッ!素晴らしい対決となったではないか!」

「呑気に笑っている場合じゃないでしょう!?むしろ、敵に”劫炎”相手に互角以上に戦える戦力がいることによって、私達が不利になった事がわからないの!?」

「おいおい……嘘やろ?こんな超展開とか勘弁してや……”空の女神”は俺らをとことん嫌っているみたいやな……」

「……あれが”英雄王”の”力”か。」

「……戦闘能力不明……ただし、マクバーン様より高い可能性大………」

「クッ…………………!?(どうする……!?この謎の空間からの脱出方法はわからない上、”英雄王”達を相手に撤退するなど容易ではない!メンフィルがこの”絶好のタイミング”で介入するなど、想定外だ!一体どこで、私達の情報が漏れたのだ……!?)」

一方デュバリィは驚いて声を上げ、高々と笑うブルブランにクロチルダは怒りの表情で指摘し、ゼノは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、レオニダスは厳しい表情をし、アルティナは不安そうな表情をし、ルーファスは窮地を脱する策を練っていたが全く思い浮かばず唇を噛みしめた。



「―――確かに貴様のその”力”は”魔神”に迫る”力”。だが誇り高き我が父と優しき母の”力”を受け継ぐ俺からすれば脅威ではない!」

リウイは膨大な霊圧を魔剣に込めてマクバーンと対峙し

「ハハ、いいだろう!だったらアンタにとって俺が脅威ではない存在なのか確かめさせてもらうぜ!」

「―――力に溺れた雑魚が。貴様の死を代償に”上には上がいる”事を教えてやろう――――!」

二人は戦闘を開始した!



「フッ、”100本目の手合せ”の時からどれだけ成長したのか、確かめさせてもらうぞ。」

「キ―――――ッ!相変わらず私を愚弄する事に関しては天才的ですわね!ここで会ったが百年目ですわ!大いなるマスターの弟子は女の色香に負けて”結社”を抜けて腑抜けた貴方なんかよりも、”鉄機隊”の筆頭騎士たるこの私が相応しい事をとくと思い知りやがれですわっ!」

レーヴェの挑発に乗ったデュバリィはレーヴェとの戦闘を開始した!



「おい、レオ……さすがに相手が相手や。”万が一”の時の事を考えて、今の内にフィーに伝えておいた方がええんちゃうか?」

一方自分達が相手する敵であるファーミシルス達と対峙しているゼノはレオニダスに視線を向けて提案した。


「ああ…………――――フィー、俺達がお前を置いて消えた理由……今の内に伝えて置く!」

「え…………」

ゼノの提案に頷いた後に答えたレオニダスの突然の言葉にフィーは硬直した。



「お前を置いて消えた理由……それは他ならぬ団長の遺言によるものだ。」

「え―――――」

「2年前の”リベールの異変”の際、結社に雇われてリベールに向かう前に団長がオレ達に告げたんや。自分が死んだら、お前を団から抜けさせるようにってな。」

「あ…………」

ゼノの言葉に呆けたフィーはサラ教官と出会うまでの過去を思い返した。



「元より団長は、お前が団に居続けることに反対だった。相手は”英雄王”率いるメンフィル帝国軍とぶつかり合う可能性が高いと告げられていた為、良い機会だと判断されたのだろう。」

「オレらの動きをギルドが嗅ぎ付けてたのはわかってたからなぁ。お前が”紫電”に拾われるよう仕向けろっちゅう指示やった。」

「…………………」

二人の話を聞いたフィーは複雑そうな表情で黙り込み

「フィ、フィーさんの育ての親の方がそこまでの事を……」

「どうやら伝え聞く以上に大した人物だったようだな。」

セレーネは信じられない表情をし、ガイウスは静かな表情で呟き

「フフ、まさかそこまで誘導されていたなんてね。さすがに喰えないオジサンだわ。」

サラ教官は苦笑した。



「で、もう一つお前が気にしていた事――――他の団の連中が何しとるかっちゅー話やけど。」

「そちらはお前に教えるわけにはいかん。」

「……っ………」

レオニダスの答えを聞いたフィーは唇を噛みしめて真剣な表情でレオニダスを見つめた。

「当然だろう。既に我らは袂をわかった。”部外者”に団の現状を教えられる道理はあるまい。」

「ま、どうしても知りたいっちゅうんやったら、悪いけど他の団の連中を探して聞き出してくれ。―――さすがにこいつら相手は幾らオレらでも”荷が重すぎる”わ。団長の後を追う前に成長したお前と会えて嬉しかったで。学院でできた友達を大切にしぃや。”紫電”、オレらの代わりにフィーの事、頼むわ。」

「―――達者で生きろ、フィー。」

自分達の勝率は限りなく低く、殺される確率が非常に高い事を悟っていたゼノは苦笑し、レオニダスは静かな笑みを浮かべてフィーを見つめ

「レオ……ゼノ………」

「フィー………」

「………………」

二人の”遺言”と言ってもおかしくない別れの言葉を聞いて辛そうな表情で顔を俯かせているフィーを見たラウラは辛そうな表情をし、サラ教官は目を伏せて黙り込み

「エヴリーヌ!お願いだからせめてエヴリーヌ達が相手する人は殺さないであげてよ!フィーの家族なんだよ!?」

エリオットはゼノと対峙しているエヴリーヌを見つめて声を上げた。



「やだね。リウイお兄ちゃんやエヴリーヌ達の”敵”は”殺す”。エヴリーヌ達はずっとそうしてきたし、仲良くする事が絶対無理とわかっている敵に情けなんてかけていたら殺されるのはエヴリーヌ達。」

「―――そういう事や。”戦場”は強い奴が生き残るのが昔からの”掟”や。」

エリオットの嘆願に対し、エヴリーヌは迷う事無く静かな表情で非情な答えを口にして全身に膨大な魔力や闘気を纏って弓を構え、エヴリーヌの言葉に頷いたゼノもブレードライフルを構えた。

「さてと……わざわざ待ってもらった事に関しては感謝するで。」

「うふふ、レン達でも空気を読む事くらいはするわよ。それじゃあ始めましょう?楽しい楽しい”お茶会”を♪―――ハアッ!!」

ゼノの言葉に可愛らしい微笑みを浮かべて答えたレンは”魔人化(デモナイズ)して大鎌を構え

「ふふっ、ちょっとは楽しませてよ!」

セオビットは凶悪な笑みを浮かべて聖と魔の力が宿る剣を構えた!

「団長や俺らの仲間達をぎょうさん殺して”西風の旅団”を滅茶苦茶にした罪、今ここで纏めて償ってもらうで……!オォオォォォォオオオオ―――――ッ!!」

「フフ、この私がわざわざ別れの言葉を言うのを待ってあげた事、心から感謝しないさい。――――貴様の其の首、もらい受けるわよ、”破壊獣”!!」

「ぬかせ……!その言葉、そっくりそのまま貴様に返す――――”空の覇者”!団長の仇、今ここで取らせてもらう……!オォオォォォォオオオオ―――――ッ!!」

そしてファーミシルスやレン達はそれぞれクラフト―――ウォークライによってその身に黒き闘気を纏った西風の旅団の猟兵達との戦闘を開始した!



「戦う前に名乗っておきましょう。我が名はシグルーン・カドール。”カドール伯爵家”当主ゼルギウスの妻にして未来のメンフィル帝国の”皇”となられるリフィア・イリーナ・マーシルン皇女殿下の親衛隊の副長ですわ。そしてこの子は愛馬のルチア。メンフィルの逆鱗に触れた愚か者達はどうなるか、貴女自身の身に刻み込んでさしあげましょう。」

「―――メンフィル大使リウイ・マーシルンの側室の一人にしてルアシア王家の長女、シルフィエッタ・ルアシア。これより光と闇の共存を目指すメンフィルの理想を阻む”敵”を制圧します!エフィ……ルリエンよ……どうか私達に勝利の加護を!」

「使徒第二柱、”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダ――――”盟主(マスター)”より託された”幻焔計画”を成就する為にも、何が何でも切り抜けさせてもらうわよ……!」

「リウイ・マーシルンとペテレーネ・セラの娘、プリネ・カリン・マーシルン……―――――これより”怪盗紳士”ブルブランを”滅します”!」

「プリネ皇女専属侍女長にして親衛隊長ツーヤ・ルクセンベール!我が主と共に目標を”滅します”!」

「ソロモン72柱の一柱にして”一角候”アムドシアス!我が好敵手に別れのレクイエムを捧げよう!」

「クク、世界に存在する全ての”美”を盗み終えるまではこの”怪盗紳士”ブルブラン、決して朽ちる事はない事を教えて差し上げよう!」

シグルーン達やプリネ達はそれぞれ名乗った後クロチルダとブルブランとの戦闘を開始し

「覚悟はできたか、メンフィルの憎き敵アルティナ・オライオンよ!貴様はメンフィルの次代の皇帝たるリフィア・イリーナ・マーシルンである余自らの手で裁いてくれる!子供だからと言って容赦はせぬぞ!」

「――――リフィア皇女専属侍女長にして八葉一刀流、六の型奥義皆伝、エリゼ・シュバルツァー……我が師の一人”剣仙”ユン・カーファイ様より授けられたこの”白凰”の刃にて大恩ある祖国メンフィル帝国と我が主リフィア・イリーナ・マーシルン皇女殿下への忠義、貫かさせて頂きます!」

「っ……!クラウ=ソラス、迎撃を……!」

「――――――」

リフィアとエリゼもアルティナとクラウ=ソラスとの戦闘を開始した!



「―――”カドール伯爵家”当主にしてリフィア皇女殿下親衛隊隊長ゼルギウス・カドール。これより我が主リフィア殿下の望みを叶える為……そして我が仲間エリゼの為にも貴公をここで捕縛し、帝都ミルスに連行する!」

ルーファスと対峙したゼルギウスは膨大な闘気を纏って剣をルーファスに突きつけて宣言し

「貴族連合軍”総参謀”にして”アルバレア公爵家”長男ルーファス・アルバレア……相手が何者であろうと、我が誇りと信念は誰にも邪魔させぬ!」

ルーファスも騎士剣をゼルギウスに突きつけて宣言した後ゼルギウスとの一騎打ちを開始した!



今ここに!異世界の英傑達による貴族連合軍の裏の協力者達を”一網打尽”にする戦いが始まった……! 
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