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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)

作者:sorano
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第46話

~オーロックス峡谷道~



「今の声は……!?」

「あれ?何かどっかで聞き覚えが……?」

声を聞いたユーシスは驚き、エステルは首を傾げ

「―――あそこだ!!」

リィンが見つめる先に仲間達が視線を向けるとそこには甲冑を身に纏った娘とダルそうな青年がいた!



「あ、あれは……!?」

「……甲冑……?」

「―――あの二人は……!」

「不味い……よりにもよって”彼”がいるなんて……!」

謎の人物達にリィン達が戸惑っている中、シャロンとヨシュアは厳しい表情をした。



「――ハッ!」

するとその時娘が跳躍し、リィン達の前に着地した。

「ご機嫌よう―――トールズ士官学院”Ⅶ組”。せっかくの再会のようですが水を差させていただきますわ。」

「俺達の事を……?」

「……一体、何者だ……?」

娘が自分達を知っている事にリィンとラウラは警戒の表情をした。



「フフ、知った顔もいますが……まあせっかくですし名乗らせていただきますわ。”身喰らう蛇”が第七使徒、その直属たる”鉄機隊”―――筆頭騎士を務める”神速”のデュバリィです。我が(マスター)の命により、この地に推参しました。」

「”結社”の手先……!」

娘―――デュバリィが名乗るとリィン達は血相を変え

「第七使徒―――”鋼の聖女”に率いられた結社最強の戦闘部隊ですわね。」

「せ、”聖女”と呼ばれる方がそのような裏組織に所属し、戦闘部隊を率いているのですか……?」

「チッ……厄介な連中が現れたわね。」

「……彼女も厄介だけど、一番厄介なのは………………」

シャロンの説明を聞いたエイドスは戸惑い、セリーヌは舌打ちをし、ヨシュアは警戒の表情でダルそうな男に視線を向けていた。



「”鉄機隊”……だと?かの”槍の聖女”が率いた”鉄騎隊”と関係が……!?」

「フフ、確か貴女は”アルゼイド”の娘でしたか。フフン、気になりますわね?気になりますわよね?―――でも―――」

驚いている様子のラウラに気付いたデュバリィが得意げに答えかけたその時

「あ――――――ッ!?思い出した!確か”影の国”のリウイ達の”試練”の時に出て来てレーヴェにボロ負けした挙句、レーヴェに殺された女騎士だわ!」

エステルが声を上げてデュバリィを指さした。



「え、えっと……?」

「そう言えばリウイ陛下達の”試練”で彼女達が出て来た話があったな……」

「まあ……”影の国”でそんな事があったのですか。」

エステルの話を聞いたリィンは戸惑い、ヨシュアは考え込み、シャロンは目を丸くし

「な、な、なっ……!?ふざけないで下さい!私は生きていますわ!クッ、それにしても”影の国”の話は聞いていますが、まさか私の偽物までいたなんて……!しかもよりにもよってNo.2に敗北をしたなんて屈辱ですわっ!それと”ブレイサーロード”!人が話している最中に割り込まないで下さい!”剣聖”はそんな事も教えなかったのですか!?」

デュバリィは口をパクパクさせた後怒りの表情で怒鳴り、エステルを睨んだ。



「あ、ごめん。あたしの事はいいから話を続けていいわよ。確かラウラさんが気になっている話―――”槍の聖女”や”鉄騎隊”関連よね?」

そして素直に謝罪して話の続きを促すエステルの行動にその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力し

「エ、エステル……」

「そこで謝った上説明を続けるように促したら、一番いたたまれないのは彼女の方だと思うのですが……」

ヨシュアは冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、エイドスは苦笑しながら指摘してデュバリィを見つめた。



「その可哀想なものを見るような目で私を見るのは止めなさい!…………コホン、話を戻しますが……”アルゼイド”の娘!どうやら私達の事を気になってようですが……―――絶対に教えてあげませんわ!」

そしてデュバリィは必死の表情で叫んだ後気を取り直し、得意げな表情でラウラを見つめた。

「なっ……?」

「アハハ、せいぜい悔しがるといいですわ!そして、気になって気になって夜も眠れなくなればいいのです!ふんっ、ざまーみろですわ!」

「えっと……」

「……なんだ、この女は。」

「その……貴女は世界の裏で暗躍している組織に所属している方なのですよね?」

幼稚な発言をするデュバリィに冷や汗をかいて脱力したエマは戸惑い、ユーシスは呆れ、エイドスは戸惑い

「うーん……ギルバートとは違った意味で”結社”に向いていない人ね。」

「エ、エステル……さすがに彼女をギルバートと比べたら、彼女が可哀想すぎだよ。彼女、ああ見えても”結社”を抜ける前のレーヴェ相手に一本取った事もあるそうだよ?(まあ、レーヴェの話では100本中1本だそうだけど……)」

エステルの言葉を聞いたヨシュアは疲れた表情で指摘し

「な、な、な……っ!?”ブレイサーロード”!どこまで私を愚弄するつもりですの!?それとNo.ⅩⅢ!誰が”ああ見えて”ですか!?貴方は私を何だと思っているのですか!?」

二人の会話を聞いていたデュバリィは口をパクパクさせた後、二人を睨んで怒鳴った。



「フム……話の腰を折るようで悪いが、私はそこまで気にしていないが。教えたくないのであれば敢えて問いただすつもりはないが。」

「ちょ、ちょっとお待ちなさい!本当は知りたい筈なのに何を余裕ぶっているんですの!?」

ラウラの口から出た予想外の答えを聞いたデュバリィは慌てた様子でラウラを睨んだ。



「……言動はともかく凄まじい使い手みたいですね。」

「ええ、”執行者”ではないものの達人クラスの腕前ですわ。あちらに控えている方は正直、次元が違いますけど……」

リィンの言葉に頷いたシャロンは不安そうな表情で男に視線を向けた。


「コホン……ま、まあいいですわ。折角ですし貴方のほうも名乗って差し上げると―――って、まだそんな所にいたんですの!?」

シャロンの言葉を聞いたデュバリィは隣に視線を向けたが自分の遥か後方にいる事に気付き、信じられない表情で叫んだ。

「ふわああっ……その程度の敵ならお前さん一人で十分だろ?」

「ああもうっ……No.Ⅰの貴方がそんな事でどうするんです!?」

男の答えを聞いたデュバリィは呆れた表情で声を上げた。

「な、No.Ⅰ……?」

「シャロンやレオンハルト教官達と同じ―――”執行者”のナンバー!?」

「し、しかもNo.Ⅰって、あのレーヴェより上じゃない!」

「”No.Ⅰ”を冠していると言う事は相当お強いのでしょうね……」

一方デュバリィの叫びを聞いたエマは戸惑い、アリサとエステルは驚き、エイドスは真剣な表情で男を見つめた。



「ええ……わたくしのナンバーは”Ⅸ(ナイン)”でヨシュア様のナンバーは”ⅩⅢ(サーティーン)、そしてレーヴェ様のナンバーは”Ⅱ(ツー)”。ナンバーは執行者の強さを示すものではありませんが……それでも彼は特別――――”結社最強”と言っても過言ではありません。」

「……彼と渡り合える結社に属する人は恐らくもう一人の”結社最強”にして”第七柱”―――”鋼の聖女”くらいだと思う。」

「ハハ、”鋼”とどちらが上かは試した事がねぇけどな。さっきのレースは悪くなかったしちっとは相手をしてやるか。」

シャロンとヨシュアの言葉を聞いて不敵な笑みを浮かべた男は跳躍し、デュバリィの隣に着地した。



「俺はマクバーン―――”劫炎(ごうえん)”なんて呼ばれている。うだうだ問答するのは面倒だ。相手をしてやるから―――とっととかかって来な。」

男―――マクバーンは名乗った後自分の足元から黒い”何か”を噴き出し始めた!



「っ…………!?」

「こ、この凄まじい気当たりは……」

「”焔”…………!?」

マクバーンの様子を見たリィン達は警戒の表情でそれぞれの武器を構え、デュバリィも続くように自分の武装―――大剣と盾を取りだして構えた!



「フフ、参りますわよ。我がマスターより授かりし神速の剣―――とくと喰らいやがれですわ!」

「ま、こんな場所までわざわざ付き合ったんだ。一分くらいは保ってくれよ?」

「嘗めるな……!」

デュバリィとマクバーンの言葉を聞いたユーシスは二人を睨み

「――――リィン君!”執行者”の方はあたしとヨシュア、エイドスが相手するから君達はもう一人の方を相手して!ヨシュア、エイドス、行くわよ!」

「了解!」

「はい!」

エステルはリィンに視線を向けた後ヨシュアとエイドスに号令をかけた。



「なっ!?おい、お前達と再会してからずっと気になっていたがその女は何者なのだ!?何故”空の女神”と同じ名前で呼ばれている!?」

「ハアッ!?”空の女神(エイドス)”ですって!?」

「へえ……?”空の女神”と同じ名前か。クク、別にいいぜ?俺をアツくさせてくれるんならな。」

一方エステルの言葉を聞いたユーシスは驚いた後リィン達に尋ね、デュバリィは驚き、マクバーンは興味ありげな表情でエイドスを見つめた。

「ハ、ハハ……」

「気にしたら負けよ……」

ユーシスの疑問にリィンは冷や汗をかいて苦笑し、アリサは疲れた表情で指摘し

「………………フフ、何度も言っているように私は”ただの新妻”ですよ?」

マクバーンの言葉に少しの間黙り込んでいたエイドスだったがやがて微笑みを浮かべて異空間から膨大な神気を纏った神槍――――”空の神槍ウル”を取りだして構えた!



「なあっ!?な、ななななな、なんですの、その”槍”は!?(マスター)の”槍”と同等――――いえ、それ以上の”力”を感じますわよ!?」

「クク……ハハハハハッ!面白くなってきたじゃねえか……!」

エイドスが持つ神槍を見たデュバリィは狼狽え、マクバーンは声を上げて笑った後異空間から膨大な瘴気を纏う魔剣を取りだして構えた!

「な―――――」

「こ、高位次元の…………違う!」

「ええ―――この世界で存在するはずがない剣だわ!」

それを見たリィンは絶句し、エマとセリーヌは信じられない表情をし

「”魔剣アングバール”…………お前らが良く知るレーヴェの阿呆が使っている”ケルンバイター”の対となる剣だ。クク、こいつを使うつもりはなかったが……止めだ。ひとまずこいつを使って楽しめる相手とわかったなら、そこから”本気”を出してやる。」

「あ、あんですって~!?」

「レーヴェの剣と同じ………」

「………………」

マクバーンの説明を聞いたエステルは驚き、ヨシュアとエイドスは真剣な表情で魔剣を見つめた。



「この際本物の”空の女神”かどうかなんてどうでもいい…………俺が”本気”を出す相手として相応しい相手なのか、見せてみろや!」

そしてマクバーンは狂気に満ちた笑みを浮かべてエイドスを見つめて叫び

「何て狂気…………!」

「ヴァルターでさえも比べ物にならならいくらいの戦闘狂ね……」

「フウ、”ただの新妻”だって言ってるじゃないですか。何度も言っているのに皆さん、どうしてわかってくれないのでしょう?」

「ふ、ふざけるんじゃありませんの!その”槍”を持つ貴女のどこが”ただの新妻”なのですの!?」

「ア、アンタね……!せめて時と場所を考えて発言しなさいよ!」

「お願いしますから、戦闘前くらいは脱力する発言をするのは止めてください。」

それを見たエマは驚き、エステルは警戒の表情をし、呆れた表情で呟いたエイドスの言葉を聞いたその場にいる全員は脱力し、エイドスの言葉を聞いたデュバリィは身体を震わせながら指摘し、セリーヌは口元をピクピクさせながら疲れた表情をしたヨシュアと共に指摘し

「ハハ……―――アイドス!アイドスはエステルさん達を手伝ってくれ!」

「―――わかったわ。」

「―――ヴァレフォルさん!ヴァレフォルさんは私達を手伝って下さい!!」

「オッケー!”盗獅子”のヴァレフォルに任せて♪」

気を取り直したリィンはアイドスを、エマはヴァレフォルを召喚した!



「―――トールズ士官学院”Ⅶ組”並びに協力者一同……―――全力で目の前の障害を迎撃する!」

「おおっ!!」

そしてリィンの号令に力強く頷いた仲間達は戦闘を開始した!



エステル、ヨシュア、エイドス、アイドスは”結社最強”の戦力である”執行者”――――”劫炎”のマクバーンと、リィン達は”鉄機隊”の筆頭騎士―――”神速”のデュバリィとの戦闘を開始した! 
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