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遊戯王GX 〜漆黒の竜使い〜

作者:ざびー
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episode9

 海馬ランドの地下。 そこにある地下研究施設に足を運んだ私達を出迎えたのは、蟹のような髪型で静謐な雰囲気の研究者、不動博士。
 自己紹介をし終えた私達は、場所を移動し通されたのは地下研究施設内部のデュエルコート。 そこで中央で、待ち構えるように佇む人物を見て、またしても驚かされた。 紅いジャケットに、長髪の銀髪で片目を隠した男性と言えば、私は一人しか知らない。

「……なんで、ペガサス会長が此処に」

 デュエル・モンスターズの始祖であり、いつだったか誤って決闘盤を額に投げつけてしまったというトンデモエピソードを持つペガサス・J・クロフォード氏が片手を挙げ、挨拶をしつつ私達の方へと向かってくる。

「お久しぶりデース、レンカガール。 学業で忙しい時に申し訳ありまセーン」
「い、いえ……けど、なんでペガサスさんが此処に?実は私何も聞かされず来てて……」

 何か知ってそうな楓さんをチラリと見るが彼女は何も答えてくれそうにはない。
 少し眉を顰めた後、穏やかな笑みを浮かべ、相変わらず似非英国人風の口調で説明をくれた。

「ユーには新たな召喚方を開発していると話しましたね?」
「はい。そのための "チューナーモンスター"……でしたよね?」

 解答は正解のようでイエスと流暢な発音で返ってくる。 しかし、分からない。 I2社に呼ばれるなら、ともかくなぜKC社に呼ばれたのか。

「疑問はもっともデース。 なぜなら、新たな召喚法……シンクロ召喚には、不動博士が研究・開発する次世代の動力源と密接な関係があるのデース」
「シンクロ……?」

 残念ながら文系気質である私には機械に関しての知識などない。 首を捻る私を見てペガサス氏は苦笑しながら続けた。

「百聞は一見にしかず、と言いマース。 実際に体験してもらった方が早いでしょう……もっとも今日はユーにシンクロ召喚のテストプレイしてもらう為に呼んだのですがね」
「……聞いてない」

 ジロッと隣を睨むと楓さんはぺろっと舌を出して戯けて見せた。困惑する私を見て、楽しんでいたに違いない。

 ゴホンと咳払いが一つ。 ペガサス氏が話を元の流れへと戻すと後ろで成り行きを見守っていた不動博士へと視線を合わせた。

「それでは……プロフェッサー不動、準備をお願いしマース」
「はい、わかりました」

 一つ礼をすると博士はその場を後にする。 そして、数分後、戻ってきた彼の腕には見慣れた半円状の機械が装着されていた。

「えっ……不動さ、博士が相手なんですか?」
「えぇ、僭越ながら……。 "シンクロ召喚"は研究を兼ねてテストプレイヤーを務めさせてもらっています」

 そう言い、決闘盤を構える不動博士の立ち姿は歴戦の戦士のよう。 なるほど、新召喚法のテストプレイヤーを任されるだけあって実力も相当なものだと考えていいだろう。 私も気を引き締めると、決闘盤を構える。

決闘(デュエル)!!』

 [レンカ]LP4000
 vs
 [不動]LP4000


「先行はもらいます! 」


手札は上々。 やる気も昨夜のデュエルからだいぶ回復している。 それに、これは真剣勝負だ。 テストプレイだからと言って負けられない。 真っ黒いポンチよのフードを目深に被り、外界からの煩わしい視線をシャットアウトすると集中する。

「いきます! 手札からマジックカード〈紅玉の宝札〉を発動し、手札の〈真紅眼の黒竜〉を墓地に送り、二ドロー! さらに追加エフェクトで〈真紅眼の黒炎竜〉をデッキから墓地に送ります」
「手札交換に、デッキ圧縮……なるほど、堅実な手だ」
「いえ……これだけでは、ないです。 手札から〈|真紅眼の飛竜〉を墓地に送り、マジック〈ワン・フォー・ワン〉を発動! デッキからレベル1〈伝説の黒石〉を特殊召喚し、さらに〈黒石〉のエフェクトを発動! 自身を墓地に送り、デッキから〈レッドアイズ〉を特殊召喚します!


艶やかな漆黒の石が赤く神秘的な光を放つ。 光のカーテンへ覆われた視界に一体のドラゴンのシルエットが浮かび上がった。

「ーー来い、〈真紅眼の黒竜〉!!」

〈真紅眼の黒竜〉☆7
ATK/2400

バサリと力強い羽ばたく音が響き、遅れて強い突風が吹いた。 早速私の代名詞というべきドラゴンが現れ、観衆は目を大きくしていた。

「カードを一枚伏せて、さらに墓地の〈飛竜〉のエフェクトを発動します。 通常召喚を行っていないターンの終わりに自身を除外することで墓地から〈レッドアイズ〉モンスターを特殊召喚します。 出でよ、〈真紅眼の黒炎竜〉!」

〈真紅眼の黒炎竜〉☆7
ATK/2400

白いデュエルコートの床に亀裂が走り、炎が噴き出す。 轟ッと風が唸り、火柱を散らし現れたのは既に私のフィールドに存在しているのと酷似した漆黒の竜。 しかし、大きく広げられた翼を真っ赤な炎が彩っている。

「なるほど。 1ターンで最上級モンスターを二体……さすがはプロデュエリストと言ったところですかね……」


不動博士は興味深そうに私の目の前で羽ばたくドラゴンを見る。 そして、口元に小さく笑みを浮かべるとデッキトップへと指をかけ、ドローした。

「わたしのターン、ドロー。 さて、せっかくエースモンスターを並べてもらったのだからこちらも全力でいかねば失礼か……。 まずは通常魔法〈調律〉を発動させてもらう。 〈調律〉はデッキから〈シンクロン〉と名のつく"チューナー"モンスターを手札に加え、その後デッキトップを墓地へと送る。 わたしが加えるのは〈ジャンク・シンクロン〉だ」

その後、デッキトップから〈ドッペル・ウォリアー〉が墓地へと送られた。 知らないモンスターだ。

「いい落ちだ。 わたしは〈ジャンク・シンクロン〉を召喚し、効果を発動! 墓地からレベル2以下のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する。 〈ドッペル・ウォリアー〉を特殊召喚! 」

〈ジャンク・シンクロン〉☆3

〈ドッペル・ウォリアー〉☆2

実質カード一枚の消費のみで不動博士のフィールドにはモンスターが二体並んだ。 一体は"チューナー"、もう一体が効果モンスター。 おそらくこの状況が新たな召喚"シンクロ召喚"のための布石なのだろう。

「……いこうか。 わたしは、レベル2〈ドッペル・ウォリアー〉に、レベル3"チューナー"〈ジャンク・シンクロン〉をチューニング!!」

☆3 + ☆2 = ☆5

ジャンク・シンクロンに搭載されたエンジンが唸りを上げる。 ジャンク・シンクロンが3つの輝くリングへと分かれ、ドッペル・ウォリアーがそれを通過すると2つの星となる。 3つのリングに、2つの星が互いに同調していき、高速で回転する。 臨界点へと達した瞬間、眩い閃光がリングの中央を貫いた。

「ーー集いし星が新たな力を呼び起こす! 光差す道となれ! 」
「ーーッ!」

霧散した光の粒子がフィールドを鮮やかに照らす。 降臨した青い装甲を纏った戦士が突き出した拳が空気を震わせる。

「ーーシンクロ召喚! いでよ、〈ジャンク・ウォリアー〉!!」

〈ジャンク・ウォリアー〉☆5
ATK/2300

「これが……これがシンクロ召喚、ですか」
「あぁ、"チューナー"と"非チューナー"のレベルの和によって召喚されるのがこの"シンクロモンスター"だ」
「まさしく、集いし星……ってことですか」

私のドラゴンを前にしても、そのモンスターが放つ存在感をありありと感じた。けど、未知の敵を前にして恐れるどころか心が躍った。

「けど、私のドラゴンも負けてないです」
「ふっ、ならば届かせるまで!〈ジャンク・ウォリアー〉と〈ドッペル・ウォリアー〉の効果を発動! 〈ジャンク・ウォリアー〉はシンクロ召喚時、わたしのフィールドに存在するレベル2以下のモンスターの攻撃力を自身に加算する。 さらに〈ドッペル・ウォリアー〉はシンクロ素材として墓地に送られた時、フィールドに二体の〈ドッペル・トークン〉を召喚する! ……そして、召喚される〈ドッペル・トークン〉のレベルは1だ」
「……つまり」
「ドッペル・トークンの攻撃力がジャンク・ウォリアーへと加算される! パワー・オブ・フェローズ!」

〈ドッペル・トークン〉☆1
ATK/400

〈ジャンク・ウォリアー〉
ATK/2300→3100

ポンポンッと白煙を上げ、黒覆面の小人が二人現れ、さらに〈ジャンク・ウォリアー〉が放つ覇気が増大し、一瞬でレッドアイズの攻撃力を超えてしまった。

「バトルだ! 〈ジャンク・ウォリアー〉で〈真紅眼の黒炎竜〉を攻撃! スクラップ・フィスト!」
「っ! レッドアイズ!」

[レンカ]LP4000→3300

攻撃力の差は歴然。 レッドアイズがジャンク・ウォリアーの強烈な拳によって呆気なく砕かれる。 しかし、ただではやられるような私ではない。

「私のドラゴンが破壊されたことで手札の〈霊廟の守護者〉のエフェクトを発動します! このカードを特殊召喚し、さらに破壊されたのが通常モンスターなので〈真紅眼の黒炎竜〉を手札に戻します」
「なるほど、場を埋めつつ手札を増やすか……わたしはカードを一枚伏せてターンエンドだ」

[不動]
LP4000
手札4枚
魔法・罠伏せ一枚

〈ジャンク・ウォリアー〉
〈ドッペル・トークン〉
〈ドッペル・トークン〉


「ドロー! 手札からフィールド魔法〈混沌の場〉を発動!」
「えつ……ちょ、レンカさんそんなの入れてたんですかっ?!」

魔法の発動とともに周りの空間が歪む。
一部煩い人が居るが今は無視しよう。 それがいい。

「〈混沌の場〉のエフェクトにより、〈暗黒騎士ガイア〉を手札に加えます。 さらにマジックカード〈融合〉を発動! 〈真紅眼の黒竜〉と〈暗黒騎士ガイア〉を融合! 翔けろ、〈天翔の竜騎士ガイア〉! さらに〈ガイア〉のエフェクトにより〈螺旋槍殺〉を手札へと加えて、発動します。 さらに手札・フィールドからモンスターが墓地に送られたことで〈混沌の場〉に魔力カウンターが2つ置かれます。そして、〈紅玉の宝札〉を発動し、手札から〈黒炎竜〉を墓地に送り、二枚ドロー! さらにデッキから〈真紅眼の黒竜〉を墓地に送ります」

〈天翔の竜騎士ガイア〉☆7
ATK/2600

魔力カウンターが4つ溜まり、空間に緑色の光が灯る。

「〈混沌の場〉のエフェクトを発動! 魔力カウンターを3つ取り除き、儀式魔法〈黒竜降臨〉 を手札に加えます。 そして、〈融合回収〉を発動し、〈融合〉と〈真紅眼の黒竜〉を手札に戻し、再び〈融合〉を発動! 手札の〈真紅眼の黒竜〉と〈沼地の魔神王〉を融合! 来い、〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉!
「まさか……こう易々と超えられるとは、ね」

〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉☆8
ATK/3500

連続融合を決めてみせ、私のフィールドには二体の融合ドラゴンが並ぶ。 若干だが博士の表情が引き攣っている気がするが気のせいだろう。

「バトルです。 〈メテオ・ブラック〉で〈ドッペル・トークン〉を攻撃! メテオ・ブラック・フレア!」
「それは通させはしない! 罠発動、〈くず鉄のかかし〉! その攻撃を無効にする!」

メテオ・ブラックによって放たれた隕石岩は、鉄屑によって作られたかかしに阻まれ、ジャンク・ウォリアーへは届かない。 攻撃を終えたメテオ・ブラックが定位置へと戻るとの同じくして、鉄のかかしはカードの裏へと隠れるようにして博士のフィールドへと消える。

「〈くず鉄のかかし〉は発動後、再びフィールドへとセットされる」
「繰り返し使える、と言うことですか。 厄介ですね。 ですが、ジャンク・ウォリアーにはこのターンで退場してもらいます! 〈天翔の竜騎士ガイア〉で〈ジャンク・ウォリアー〉に攻撃!」
「なにっ!?」

無謀と思われる突撃に周りから驚きの声が漏れる。 しかし、それはすぐに感嘆の声へと変わった。

「〈天翔〉の攻撃宣言時、相手モンスターの表示形式を変更します。 〈ジャンク・ウォリアー〉を守備表示に変更してバトルです! スパライラル・シェイパー!!」
「くっ……!」

〈ジャンク・ウォリアー〉
DEF/1300

暴力のような突風を受け、ジャンク・ウォリアーが腕をクロスし守備態勢をとり、そのガードの上から高速で飛来した竜騎士の双槍に貫かれる。

「ここで〈螺旋槍殺〉のエフェクトが発動! 〈竜騎士ガイア〉に貫通効果を与えます!そして、〈天翔の竜騎士ガイア〉は〈竜騎士ガイア〉として扱います!」
「ぐ、うぉぉぉ……!」

[不動]LP4000→2700

攻撃の余波を受け、博士の研究者にしては体格のよい体が揺れる。 先制ダメージはもらってしまったが、これでおあいこだろう。

「〈天翔の竜騎士ガイア(竜騎士ガイア)〉が戦闘ダメージを与えたことで〈螺旋槍殺〉のさらなるエフェクトが発動します。 二枚ドローして、手札の〈黒竜降臨〉を捨てます……っと、モンスターを残してしまいましたか。 私は残り二枚の手札を伏せてエンドです」
「……わたしもジャンク・ウォリアーがこんなにもあっさり倒されるとは思ってもみなかったよ」

冷や汗を拭いながら、不動博士はそう語るがまだ余力を残しているように思える。 幾ら高レベルのモンスターを並べても盤面は容易くひっくり返る。 相手が未だ謎の多い召喚を使用するなら尚のことだ。 油断せずに態勢を整えるとターンを終える。


[レンカ]
LP3300
手札0枚
魔法・罠伏せ3枚
〈混沌の場〉魔力カウンター:6
〈螺旋槍殺〉

〈霊廟の守護者〉
〈天翔の竜騎士ガイア〉
〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉


ターンが巡り、再び不動博士のターンが始まる。 彼のフィールドには、レベルもステータスも低く効果のないトークンしかいないが、しかし不動博士の扱う"シンクロ召喚"にはそれを大きなプラスに変える力を持っている。

「ドロー。 二枚目の〈調律〉を発動! 〈クイック・シンクロン〉を手札に加え、〈ジャンク・ウォワード〉が墓地へと送られる。 さらに手札の〈レベル・スティーラー〉を墓地に送り、レベル5のチューナー〈クイック・シンクロン〉を特殊召喚する!」
「……っ、またシンクロ召喚ですか」
「あぁ、もちろん。 わたしはレベル2の非チューナー〈ドッペル・トークン〉2体にレベル5のチューナー〈クイック・シンクロン〉をチューニング! 集いし怒りが忘我の戦士に鬼神を宿す。光さす道となれ!シンクロ召喚!吠えろ、〈ジャンク・バーサーカー〉!」

〈ジャンク・バーサーカー〉 ☆7
ATK/2700
再び空中を鮮烈な光のラインが通過する。 怒号と共に大戦斧を担いだ紅い狂戦士がフィールドへと君臨する。

「さらに、チューナモンスター〈ジャンク・アンカー〉を召還し、効果発動!手札を一枚捨てることにより、墓地から非チューナーの〈ジャンク〉モンスターを特殊召還し、そのモンスターとでシンクロ召喚を行う。 なおその際、シンクロ素材となったモンスターは除外される。 私は手札の〈ジャンク・チェンジー〉を捨て、〈ジャンク・ウォワード〉を特殊召喚し、チューニング! 現れろ、〈ジャンク・ウォリアー〉!!」

〈ジャンク・ウォリアー〉☆5
ATK/2300

1ターンに二度のシンクロ召喚を行い、博士のフィールドには赤と青、二体の強力なモンスターが並ぶ。 しかし、やはり私のドラゴンの攻撃力には及ばない、と思っていた矢先、今まで静観していたジャンク・バーサーカーが吼えた。

「〈ジャンク・バーサーカー〉の効果発動! 墓地から〈ジャンク〉モンスターを除外することで相手モンスターの攻撃力をその分だけ下げる! 〈ジャンク・シンクロン〉を除外し、〈天翔の竜騎士ガイア〉の攻撃力をダウン!レイジ・ハウル!」
「っ! そんなっ!?」

〈天翔の竜騎士ガイア
ATK/2600→1300

バーサーカーに威圧され、ガイアがたじろぐ。 だが、博士の猛攻はこれだけでは終わらない。

「さらに! 〈ジャンク・ウォリアー〉と〈ジャンク・チェンジャー〉を除外し、〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉の攻撃力をダウンさせる! レイジ・ハウル!」
「ワンターンに、一度だけじゃないんですか?!」

〈メテオ・ブラック・ドラゴン〉
ATK/3500→1200→0

二度目の咆哮。 怯んだメテオ・ブラックにすかさずバーサーカーの大戦斧による一撃が叩き込まれる。

「バトルだ! 行け、バーサーカー! メテオ・ブラックを破壊しろ!」
「っ! キャァぁ!」

[レンカ]
LP3300→600

爆発染みた衝撃が伝わり、衝撃の余波でスカートが捲れそうになるのを両手で必死に抑える。 これだから、大ダメージをもらうのは嫌いだ。
フードの奥から恨みを込めた視線で博士のことを睨みつつ、リバースカードをオープンした。

「トラップカード〈オプション・ハンター〉を発動します! これにより私は破壊された〈メテオ・ブラック〉の元々の攻撃力だけライフを回復します。 まだ戦えます!」
「なるほど。 そうやすやすと倒れてはくれないか」

[レンカ]
LP600→4100

「〈ジャンク・ウォリアー〉で〈竜騎士ガイア〉を攻撃する! スクラップ・フィスト!」
「くっ……!」

[レンカ]
LP4100→3100

鋼鉄の拳が竜騎士へと叩き込まれ、あっけなく爆散する。 かなり早い退場だが、しっかりとその役割は果たしたと言えよう。 慰労と感謝の言葉を二体のドラゴンに内心で投げかけつつ、デュエルに視線を戻した。

「まさか、今の攻撃が耐えられるとは思ってもいなかった」
「私もこんなにも簡単に、しかも正面からドラゴン達がやられるなんて思ってもみなかったです。 凄いですね、シンクロ召喚って」
「いや、まだこれが秘めたポテンシャルはこんなものではないがね。 私はこれでターンエンドだ」

そう言うと、ふっと薄く微笑みながら博士はターンエンドを宣言した。

[不動]
LP2700
手札2枚
魔法・罠伏せ一枚
〈ジャンク・バーサーカー〉
〈ジャンク・ウォリアー〉

再びやってきた私のターン。 手札は0で、モンスターは一体のみと状況はかなり悪い。 だが、私はデッキトップに指をかけると躊躇することなく、ドローした。

「行きますよ! まずは〈混沌の場〉に置かれた魔力カウンターを三つ取り除き、デッキから〈黒竜降臨〉を手札に加えます。 さらに、〈天使の施し〉を発動します! 3枚ドローし、2枚を捨てます。 さらに〈黒竜降臨〉を除外し、デッキから〈レッドアイズ〉と名のつく魔法・罠カードを手札に加えます。 〈レッドアイズ・インサイト〉を手札に加え、発動!デッキから〈真紅眼の飛竜〉を墓地に送り、〈レッドアイズ・トランスマイグレーション〉を手札に加えます」

手札を増やす片手間に墓地で真価を発揮する〈黒竜降臨〉と〈儀式魔人プレサイダー〉を墓地に送っておく。

「そして、儀式魔法〈レッドアイズ・トランスマイグレーション〉を発動! 場の〈霊廟の守護者〉と墓地の〈儀式魔人プレサイダー〉を生贄にし、蘇れ! 黒竜の魂よ! 我が身に宿れ、黒炎の力よ!儀式召喚! 刮目して見よ、〈ロード・オブ・ザ・レッド〉!」

足元から轟々と炎が吹き出し、私の姿が観衆の視線から遮られる。デュエルディスクの嵌った右腕を横に一閃させ 炎の幕を振り払えば、〈真紅眼の黒竜〉の意匠が施された鎧をまとう私が現れる。

〈ロード・オブ・ザ・レッド〉☆8
ATK/2400

「融合の次は儀式召喚ですか〜、毎度見てて思いますがよくそんなの回せますよね」
「そこ、煩いです!」

驚愕と呆れの入り混じった表情で呟く楓さんを一瞥を加えつつも、デュエルに集中する。

「まずは厄介なかかしから処理しましょう。 墓地の〈伝説の黒石〉のエフェクトを発動し、それにチェーンして〈ロード・オブ・ザ・レッド〉のエフェクトを発動させます! 〈ロード・オブ・ザ・レッド〉のエフェクトにより、セットされた〈くず鉄のかかし〉を破壊し、さらに〈真紅眼の黒竜〉をデッキに戻すことで墓地の〈黒石〉を手札に加えます」

地面から火柱が立ち上り、セットされたかかしを溶解させる。 苦々しい表情を見せる博士を確認しつつ、次の手をうつ。

「〈闇の誘惑〉を発動し、2枚ドローし、手札に戻した〈黒石〉を除外します。 そして、〈真紅眼の黒竜〉をコストに〈紅玉の宝札〉を発動します。 2枚デッキからドローし、さらに〈真紅眼の黒炎竜〉を墓地に送ります」

手札を依然として3枚に保ったまま、デッキを掘り進めていると、外野から不躾な会話が聞こえてきた。

「……なんかレンカさん、以前に増してドローが神がかってるというか、えぐいというか」
「恐らく、デッキがレンカガール本人の想いに応えているのでしょう。 負けたくない、と」
「なるほど……心境の変化って奴ですか。 まぁ、思い当たりがないというわけではありませんが」

……心境の変化。 確かに以前に増して負けたくないという想いは強くなったと思う。 そして、その原因はやはり葵さんとの一件だろう。 あんな無様な負け方は金輪際したくない。 だから、今は目の前にいる敵を倒そう。 そう心に決め、不動博士を見据える。

「バトルです! 〈ロード・オブ・ザ・レッド〉で〈ジャンク・ウォリアー〉を攻撃! 黒炎剣!」

[不動]
LP2700→2600

手のひらを正面にかざせば、一振りの炎の剣が錬成され、一直線にくず鉄の戦士向かって飛翔する。 灼熱の剣に貫かれたジャンク・ウォリアーはその身を炎に包まれ消滅し、その際の熱が博士にダメージとして伝わる。

「この瞬間、儀式召喚の生贄に使用した〈プレサイダー〉の効果が発動し、デッキから一枚ドローします……おや、面白いのが来ましたね」

訝しんだ表情を見せる博士達に対し、ニヤリと不敵な笑みを浮かべながら今引いたばかりのカードを見せつける。

「永続魔法〈未来融合 フューチャー・フュージョン〉を発動します」
「んなっ?!」
「私は〈F・G・D〉を選択し、融合素材として〈真紅眼の飛竜〉、〈真紅眼の黒竜〉、〈真紅眼の黒炎竜〉、〈伝説の黒石〉二体を墓地に送ります。 そして、〈ロード・オブ・ザ・レッド〉の効果により、〈ジャンク・バーサーカー〉を破壊します!」

五体ものモンスターが墓地に送られ、私のデッキもごっそりと減った。 だがあくまで未来融合は布石でしかない。

「さらに〈異次元からの埋葬〉を発動し、除外されている〈真紅眼の飛竜〉と〈伝説の黒石〉を墓地に戻します。 そして、私はこのターン、モンスターを召喚していないのでエンドフェイズ時に〈飛竜〉のエフェクトが発動されます。 三体の〈真紅眼の飛竜〉を除外し、墓地から蘇れ! 三体の〈真紅眼の黒竜〉!!」

白い床がひび割れ、炎が上がり、突風がそれを煽る。 力強い羽ばたきによって炎のカーテンを散らしたのは、三体の漆黒のドラゴンだ。 私のデッキのエースが真横へと並び、真紅の瞳で博士を睥睨する。

「……ここまでするとは、いよいよ私も危うくなってきたな」

冷や汗を浮かべた不動博士がポツリと心情を漏らす。

「私はこれでターンエンドです」


[レンカ]
LP3100
手札2枚
魔法・罠伏せ二枚
〈未来融合 フューチャー・フュージョン〉

〈ロード・オブ・ザ・レッド〉
〈真紅眼の黒竜〉
〈真紅眼の黒竜〉
〈真紅眼の黒竜〉


「私のターン……ドロー!!」

三体のドラゴンが放つ重圧を振り払うように、白衣の裾を翻しながら強くデッキからカードを引き抜く。 不動博士の手札は3枚。 今まで以上に真剣な眼差しの博士を見ながら、油断なく彼の出方を伺った。

「〈調律〉を発動し、〈ジャンク・シンクロン〉を手札に加え、デッキトップより〈チューニング・サポーター〉が墓地へと送られる。 そして〈ジャンク・シンクロン〉を召喚し、効果発動!」
「その瞬間、〈ロード・オブ・ザ・レッド〉の効果で〈ジャンク・シンクロン〉を破壊!」
「構わない。 〈ジャンク・シンクロン〉の効果により、墓地から〈チューニング・サポーター〉を特殊召喚する」

破壊されたジャンク・シンクロンと入れ替わり、中華鍋を被った小型のマシンが現れる。残る手札は二枚。 必ずシンクロへと繋げてくるだろう。

「手札から〈死者蘇生〉を発動! 私が特殊召喚するのは、〈クイック・シンクロン〉! さらに〈機械複製術〉を〈チューニング・サポーター〉を対象に発動。 デッキから二体の同名モンスターを特殊召喚する。 いくぞ、私はレベル1の非チューナ〈チューニング・サポーター〉三体にレベル5のチューナ〈クイック・シンクロン〉をチューニング!」
「四体でシンクロ召喚ですかっ!?」

驚愕するのをよそに、一際強い閃光が奔る。

「集いし希望が新たな地平へいざなう。光さす道となれ!シンクロ召喚!駆け抜けろ、〈ロード・ウォリアー〉!」

〈ロード・ウォリアー〉☆8
ATK/3000

フィールドに降臨したのは、まさしくロード()の風格を放つ黄金の戦士。

「〈チューニング・サポーター〉はシンクロ素材となった時、デッキからカードをドローする。 よって、3枚ドロー!」
「ここでドロー加速ですか!」
「これだけでは終わらせない! まずは〈ロード・ウォリアー〉の効果を発動し、デッキからレベル2以下の戦士族または機械族モンスターを特殊召喚する。 現れろ、〈ダーク・シー・レスキュー〉!」

王の勅命により、シンクロの布石となるモンスターが呼ばれるが、宣言通り博士のターンはこれだけでは終わらない。

「魔法カード〈シンクロ・キャンセル〉を発動! 〈ロード・ウォリアー〉をエクストラデッキに戻し、さらにシンクロ素材を墓地に一組揃っている時、それを特殊召喚できる」
「ってことはまた?!」


ロード・ウォリアーが光の粒子に還元されると新たに四体のモンスターを形成する。瞬く間の内に、フィールドにモンスターが埋め尽くされると、観衆から感激と呆れの混じった声が響いた。

「く、くるぞ不動博士の血も涙もないソリティアコンボ!」
「あぁ、またアレを観させられるのか……」
「アレを初見で受けなきゃならんとか、あの娘も可哀想だな」

「……は?」

周囲の観客たちがざわざわと騒ぎ始める。
私の戸惑いなど置いてかれ、博士のターンが加速度的に進んでいく。

「レベル1の〈ダーク・シー・レスキュー〉とレベル1の〈チューニング・サポーター〉二体にレベル5の〈クイック・シンクロン〉をチューニング! 再び現れろ、〈ロード・ウォリアー〉!
〈ダーク・シー・レスキュー〉もまたシンクロ素材とされた時、ドローする効果を持つ。 よって3枚ドロー! さらに〈ロード・ウォリアー〉の効果により、〈フルール・シンクロン〉を特殊召喚! 〈サポーター〉はシンクロ召喚に使用する際、レベルを2として扱うことができる。 レベル2〈サポーター〉にレベル2〈フルール・シンクロン〉をチューニング! シンクロ召喚! 出でよ、〈アームズ・エイド〉!
シンクロ素材に使用した〈サポーター〉と〈フルール・シンクロン〉の効果を発動! 〈フルール・シンクロン〉の効果により、〈ジャンク・アンカー〉を特殊召喚、〈サポーター〉の効果でドロー! そして、レベル4〈アームズ・エイド〉にレベル2〈ジャンク・アンカー〉をチューニング! シンクロ召喚、出でよ〈ターボ・ウォリアー〉!」

〈ターボ・ウォリアー〉☆6
ATK/2500

モンスターが何度か現れたり、消えたりした末、博士のフィールドには二体のシンクロモンスターが並び、手札は5枚にまで増えていた。 レッドアイズ三体召喚をやった私から見てもこれは酷いと思う。 何より、まだ続きがあるのが余計タチが悪い。

「再び〈シンクロ・キャンセル〉を発動。 〈ロード・ウォリアー〉をエクストラデッキへと戻し、シンクロ素材一組を特殊召喚! そして、レベル1の〈レスキュー〉と〈サポーター〉二体にレベル5〈クイック〉をチューニング! 集いし闘志が怒号の魔神を呼び覚ます。光さす道となれ!シンクロ召喚!粉砕せよ、〈ジャンク・デストロイヤー〉!」

〈ジャンク・デストロイヤー〉☆8
ATK/2600

何度目か数えるのも億劫になってきた頃合いになって現れたのは、破壊者の名を持つモンスター。 バツの字の翼やフルメタルボディなどからは一世代前の合体ロボを連想させた。

「〈デストロイヤー」の効果発動! このカードはシンクロ召喚に使用したチューナ以外のモンスターの数だけフィールド上のカードを破壊する! 伏せカード二枚と〈ロード・オブ・ザ・レッド〉を破壊する! タイダル・エナジー!」
「リバースカード、ダブルオープン!〈ダメージ・ダイエット〉、〈レッドアイズ・スピリッツ〉! 墓地から〈真紅眼の黒炎竜〉を特殊召喚し、さらに私が受けるダメージはこのターン半分になります!」


胸部装甲が開かれ、ロボットお約束のビームが放たれ、私のフィールドを粉砕していく。かくいう私も黒竜の鎧を剥がされ、いつもの黒ポンチョの服装に戻ると、ジトッとした目で博士を睨んだ。

「……で、まだ続きますか?」
「えぇ、もう少しだけ」
「……はぁ〜」

思わずため息が溢れる。 だが、〈シンクロ・キャンセル〉も残るところ一枚。 このシンクロコンボもあと少しで終わりだろう。

「シンクロ素材に使用した〈ダーク・シー・レスキュー〉と〈チューニング・サポーター〉の効果で3枚ドロー。 そして3枚目の〈シンクロ・キャンセル〉を発動し、〈ジャンク・デストロイヤー〉をエクストラデッキに戻し、シンクロ素材一組を特殊召喚し、それらで再びシンクロ召喚。 再び現れろ、〈ジャンク・デストロイヤー〉!
そして、〈ジャンク・デストロイヤー〉と〈ダーク・シー・レスキュー〉及び〈サポーター〉の効果を発動! 3枚ドローし、〈黒竜〉三体を破壊する!」
「ーーーっ!!」

再びビームが放たれ、三体のレッドアイズを焼き払う。 だが、竜の雄叫びと共にビデオが逆再生するかのように目の前の風景が巻き戻り、三体のレッドアイズが私のフィールドに舞い戻る。

「なんだと!」
「私は手札から〈真紅眼の遡刻竜(レッドアイズ・トレーサードラゴン)〉のエフェクトを発動させました。 これにより、私のレッドアイズはフィールドに戻り、〈遡刻竜〉を守備表示で特殊召喚します」
「まだ、そんな手が残されていたのか……だが、わたしも諦めが悪くてね!」

そう言うや否や、8枚にまで増えた手札からカードを二枚抜きとる。

「〈ボルト・ヘッジホッグ〉を捨て、〈クイック・シンクロン〉を特殊召喚! さらに、〈ボルト・ヘッジホッグ〉は私の場にチューナーが存在する時、墓地から特殊召喚できる。 そして、〈ジャンク・デストロイヤー〉のレベルを一つ下げ、〈レベル・スティーラー〉を特殊召喚! レベル2〈ボルト・ヘッジホッグ〉、レベル1〈レベル・スティーラー〉にレベル5の〈クイック・シンクロン〉をチューニング! 降臨せよ、〈ロード・ウォリアー〉! さらに、シンクロ召喚に成功したことにより、手札から〈シンクローン・マグネーター〉を特殊召喚。 〈ロード・ウォリアー〉の効果により、デッキから〈ビッグワン・ウォリアー〉を特殊召喚し、レベル3のチューナー〈シンクローン・マグネーター〉とチューニング!出でよ、〈アームズ・エイド〉! そして、〈アームズ・エイド〉の効果により、自身を〈ロード・ウォリアー〉に装備し、攻撃力を1000ポイントアップする!」

〈ロード・ウォリアー〉
ATK/3000→4000


ただでさえ厄介なロード・ウォリアーにアームズ・エイドが合体し、その攻撃力は神であるオベリスクに並ぶ。

「さて、待たせたねバトルといこうか。 〈ロード・ウォリアー〉で〈黒炎竜〉を攻撃! そして、戦闘でモンスターを破壊したことにより〈アームズ・エイド〉の効果発動! 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「けど、〈ダメージ・ダイエット〉のエフェクトにより、このターン私が受けるダメージは半分になります」
「ならば、〈ターボ・ウォリアー〉と〈ジャンク・デストロイヤー〉の二体で〈黒竜〉を攻撃!」
「墓地の〈霊廟の守護者〉を特殊召喚し、さらに墓地の〈真紅眼の黒竜〉を手札に!」

[レンカ]LP3100→2300→1100→1050→950

〈ダメージ・ダイエット〉なければ、このターンで終わってたと思うとヒヤリと冷たいものが背筋を走った。

「メイン2に入り、手札から魔法カード〈精神同調波〉を発動し、最後の〈黒竜〉を破壊する。 そして、カードを二枚伏せてターンエンドだ」

[不動]
LP2600
手札二枚
魔法・罠伏せ二枚
〈アームズ・エイド〉

〈ロード・ウォリアー〉
〈ターボ・ウォリアー〉
〈ジャンク・デストロイヤー〉


先の猛攻をなんとか耐え、やってきた私のターン。 博士のフィールドには強力なモンスターが三体。 改めて酷い盤面だと思う。 だが、打つ手がないわけではない。

「私のターン、ドロー! 〈闇の誘惑〉を発動し、二枚ドローし、エフェクトにより〈黒竜〉を除外します。 そして手札を一枚捨て、〈ツインツイスター〉を発動! その伏せカード二枚は破壊させてもらいます!」

これで博士を守るものは三体のシンクロモンスターのみとなった。 そして、すでに勝利のピースは全て揃っている。

「いきます! マジックカード〈龍の鏡〉! 墓地の〈真紅眼の黒竜〉と〈メテオ・ドラゴン〉を融合!」
「メテオ・ブラック・ドラゴンでは、私のライフは削りきれない!」
「いや、私が呼ぶのは流星です! 次世代の力を今こそ示せ! 融合召喚!〈流星竜 メテオ・ブラック・ドラゴン〉!!」

〈流星竜 メテオ・ブラック・ドラゴン〉
ATK/3500

渦を突き抜け、現れたのは煌々と赤いオーラを滾らせたドラゴン。 悪魔竜と同じ、時代という刻の流れによって、新たな力を得た私のドラゴン。
流星竜は真紅の双眸で不動博士と彼の前に立ち塞がる三体のシンクロモンスターを睥睨する。

「融合召喚に成功した流星竜のエフェクトを発動します! デッキから〈レッドアイズ〉モンスターを墓地に送ることでそのモンスターの攻撃力の半分のダメージを与えます。 私は〈レッドアイズ・ブラックメタルドラゴン〉を墓地に送り、その攻撃力の半分のダメージを与えます! 流星鉄槌(メテオ・ストライク)!」

流星竜が雄叫びを上げ、空間を捻じ曲げる。 歪んだ空間から圧倒的な質量とエネルギーを内包した隕石が博士のフィールドめがけ降り注ぐ。 だが、そのそれめがけ小さな影が突っ込んだ。

「手札から〈ジャンクリボー〉の効果発動! 手札からこのカードを捨て、効果ダメージを与える効果を無効にし、破壊する! 」

隕石は小さな影ーー、ジャンクリボーへと衝突し、爆散する。 必殺の一撃を防がれ、同時に流星竜までも破壊されてしまう。 だが、これでいい。

「流星竜はモンスターゾーンから墓地へと送られた時、墓地のノーマルモンスター一体を特殊召喚します! 〈ファイヤー・ウイング・ペガサス〉を復活!」
「先の手札コストの時か!」

轟々と燃える炎の中から一頭の天馬が空へと駆ける。 これこそ私の逆転のピース。 煌々と燃える炎を纏った天馬が空を駆け、神秘の渦へと飛び込んだ。

「私は〈真紅眼の遡刻竜〉と〈ファイヤー・ウイング・ペガサス〉を墓地に送り、融合! 出でよ、野獣のまなこ光し獰猛なる龍!〈ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン〉!!」
「ワォ! 二段構えの戦術、お見事デース!」

〈ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン〉
ATK/3000


ペガサス会長が歓喜の声を上げるなか、ビーストアイズは爛々と輝かせた双眸を目の前のモンスター達へと向けた。

「バトル! 〈ビーストアイズ〉で〈ターボ・ウォリアー〉を攻撃! ヘルダイブ・バースト!」
「グ、ぉぉぉ!」

[不動]
LP2600→2100

ビーストアイズが勢いをつけて飛び掛かり、鋭い牙でターボ・ウォリアーの装甲を食い破る。

「くっ、だが私のライフは残っている!」
「いえ、ジエンドです。 〈ビーストアイズ〉のエフェクト発動! 融合素材とした獣族モンスター、〈ファイヤー・ウイング・ペガサス〉の攻撃力2250ポイントのダメージを与えます!」
「ぅ、ォォォォォォ!?」

最後の一撃。 龍の息吹が不動博士の残りライフを消し飛ばした。

[不動]LP2100→0

 
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