英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第17話
その後リィン達はマキアスの先導によってエリオット達との合流地点に到着した。
~東ケルディック街道~
「ポイントD……この辺りだ。」
「なるほど、ここなら貴族連合の巡回ルートからも外れてそうだな。」
「ええ、街道からかなり離れていますものね。」
「エリオットたちは――――」
「リィン……!」
リィンが周囲を見回していると聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとエリオットがリィン達に駆け寄って来ていた。
「あ……!」
「エリオットさん……!」
「リィン―――リィンだよね!?ほんとのほんとに、間違いないんだよね!?」
リィン達に駆け寄り、リィンの手を強く握りしめたエリオットは嬉しそうな表情でリィンを見つめた。
「ああ、間違いないさ。エリオット……無事でよかった。」
「あははっ、ほんとにリィンだ……!……よかった、また会えて……!セレーネも無事で本当によかったよ……」
「エリオットさん……フフッ、わたくしも同じ気持ちですわ。」
「こちらこそ……再会できて本当によかった。あんな別れ方をして……心配をかけてすまなかったな。」
セレーネと共に安堵の表情をしたリィンはエリオットに謝罪した。
「ううん、そんなこと!だって、信じてたからね。リィンなら絶対にどこかで無事でいてくれるって。」
「エリオット……ありがとう。」
「えへへ……おかえり、リィン。それにセレーネも。」
リィン達との再会にエリオットは心から嬉しい事を示すかのような笑顔を浮かべてリィンとセレーネを順番に見回した。
「そういえば……フィーはどうしたんだ?一緒に行動していたんじゃなかったのか?」
「うん、それが……さっき何かに気付いたみたいで。すぐに戻ると思うんだけど……」
リィンの質問にエリオットは戸惑いの表情で答えた。
「―――おまたせ。」
するとその時聞き覚えのある少女の声が聞こえ、声が聞こえた方向に視線を向けるとフィーが崖の上に現れた。
「とう。」
「フィー!?―――わあっ!?」
「おっと。」
突如飛びあがったフィーはリィンにのしかかり、のしかかられたリィンは地面に倒れ込み、その様子を見ていたセレーネ達は冷や汗をかいた。
「き、君な……」
「だ、大丈夫ですか、お兄様!?」
「あたた……フィ、フィー……いくらなんでも危ないだろう?せっかく再会できたのに、怪我でもしたらどうするんだ?」
「………………………………」
自分の身を心配するリィンをフィーはジッと見つめた。
「……って、どうしたんだ?まさか、本当に怪我を……!?」
「ん、大丈夫。……本当にリィンだと思って。」
「はは……当然だろう?でも、フィーも元気そうでよかった。」
「……ん。―――おかえり。それとセレーネもおかえり。」
リィンの言葉に頷いたフィーは微笑み
「ああ……ただいま。」
「これからはまた、一緒ですわね♪」
リィンとセレーネもそれぞれ微笑み、フィーがどくとリィンは立ち上がった。
「あはは……」
「これでようやく揃ったか。」
(はは……眩しいねぇ。仲間との再会ってのはいいもんだな。)
(フン、世話が焼けるわ。)
リィン達を見守っているトヴァルの小声にセリーヌは呆れた表情で答えた。
こうしてエリオット、フィーと再会することができたリィン達は―――二人に事情を説明した上で今後の事を改めて話し合うことにした。
「さて―――これでケルディック方面のⅦ組メンバーはメンフィルの留学生達と”剣帝”を除いた全員とは再会できたわけだ。よかったな、お前さん達。」
「はい…………ありがとうございます」
「マキアスさん達と再会できたのも、トヴァルさんがわたくし達をサポートしてくれたおかげです。本当に……ありがとうございます。」
トヴァルの言葉を聞いたリィンとセレーネはそれぞれトヴァルに感謝した。
「ずっとリィンとセレーネを助けてもらっていたみたいで……僕達からも改めてお礼を言わせて下さい。」
「セリーヌも、ありがと。」
「ア、アタシは別に何もしてないわよ?」
フィーに突如お礼を言われたセリーヌは戸惑いの表情でフィーを見つめた。
「1ヵ月前、君はリィンを連れてあの場を離脱してくれた。だからこそ、僕達は精一杯戦う決意ができて……今、こうやって再会できてるんだと思う。だから……やっぱりお礼は言わせてほしいかな。」
「……………………」
「……そうだな。ありがとう、セリーヌ。」
「フ、フン……改まって何を言ってるんだか。」
(うふふ、あんまり感情を出していなかったのに、ご主人様と一緒に行動するようになってから、随分感情をさらけ出すようになったわね♪)
(クスクス、間違いなくリィンの影響は受けているでしょうね。)
(ふふふ、さすがは我らがご主人様ですね。)
(ええ………リィン様って、本当に凄いですよね……)
リィンにお礼を言われて目を逸らして恥ずかしがっているセリーヌを見たリィンの使い魔達はそれぞれ微笑ましそうに見守っていた。
「ハハ、まあ色々な因果があってこうして集まれたってわけだ。それで―――お前さんたち、これからどうするつもりだ?」
「……もちろん、僕達もリィン達に合流させてもらうつもりです。たとえどんな苦難が待ち構えていようとも。」
「うん―――他のみんなとも何とか合流しなくちゃ。エリスちゃんとアルフィン殿下も助けなきゃいけないし。」
「ん、そこはブレないつもり。………合流できないプリネ達の分も頑張るつもり。」
「……ありがとう、みんな。改めて、力を貸してくれ。」
仲間達の決意を知ったリィン達は仲間達を見回した。
「それじゃあ、このまま”騎神”の所に戻ってみる?霊力も回復しているしすぐにユミルの方にも帰れるはずよ。」
「ユミルに戻るか……それもアリかもしれない。しばらく離れるつもりだったけどやっぱり”拠点”は必要だろう。だが、それよりも……」
セリーヌの提案を聞いた後考え込んだリィンに仲間達は首を傾げた。
「リィン?」
「お兄様?何か気になる事があるのですか?」
「ふむ、その様子だと何か考えがあるみたいだな。」
「……はい。ユミルに戻るのは一つの選択肢ですが……いっそこのまま、要塞方面を目指すのも手かもしれません。」
「あ…………」
「”第四機甲師団”が駐屯している”ガレリア演習場”―――確かに僕達もそれを目指していたんだが。」
リィンの提案を聞いたエリオットは目を丸くし、マキアスは真剣な表情になった。
「”双龍橋”は曲がりなりにも貴族連合の重要拠点の一つ…………それなりのリスクを覚悟する必要があるよ?」
「それでも……やっぱり目指すべきだと思う。帝国正規軍の状況やナイトハルト教官の安否がわかるかもしれないし……何より、エレボニアがこれからどこに向かおうとするのか―――そして俺達”Ⅶ組”が”どうするべきか”を見極められるかもしれない。」
フィーの忠告を聞いたリィンは頷いた後決意の表情をした。
「僕達が”どうすべきか”……」
「わたくし達の”為すべき事”、ですわね。」
リィンの言葉を聞いたマキアスとセレーネはそれぞれ考え込んだ。
「……なるほどな。今までお前さん達は貴族連合の側面ばかりを見せつけられてきたが……改めて正規軍―――第四機甲師団と接触することで何かを見出そうってわけか。」
「はい。それと…………クレイグ中将にエリオットの無事を伝えてあげたいのもあります。」
「リィン……」
トヴァルの意見に頷いたリィンの話を聞いたエリオットは静かな表情でリィンを見つめ、仲間達は少しの間黙り込んだ後答えを出した。
「……わかった。こうなったら僕も肚を括ろうじゃないか。」
「右に同じ。たしかに危険はあるけど……」
「うん……何とか頑張って乗り越えていかなくちゃね。父さんたちに会って、僕達のやるべきことを見極めるためにも……!」
「わたくしはお兄様が行く所が例えどのような危険な場所であろうとも一緒に行きます!」
そして仲間達はそれぞれ決意の表情でリィンを見つめた。
「ありがとう、みんな。」
「ふう、わざわざイバラの道を歩くことはないでしょうに。」
「ハハ、それが若さってもんさ。よし、こうなったら俺もとことん付き合わせてもらうぜ。この先の地理にもちょっと詳しいしな。」
「トヴァルさん……助かります。そうと決まれば、”双龍橋”を越える方法を探さないとな。」
「ああ、検問を越えるには許可証が必要なんだったか。」
「うん、その上僕達は特にマークされてるだろうし。制服を着ていないとはいえ、下手をすると捕まっちゃうかも。」
「だったら……あのルートしかないか。」
リィン達がそれぞれ顔を見合わせて相談しているとフィーが提案した。
「フィーさん?」
「何か心当たりがあるのか?」
「ん、さっき死角になっているルートを見つけてきた。発見される危険はあるけど試す価値はあるかも。」
「本当に……!?」
「ハハ、頼りになるねえ。」
「よし……だったらそれに賭けてみよう。案内してくれ、フィー。」
「ラジャ。まずは”双龍橋”の敷地に向かおう。検問の前までなら問題なく入れるはず。」
「よし、準備が出来次第向かうとしよう。」
「はい……!」
その後リィン達は”双龍橋”に向かった。
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