英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅱ篇)
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第11話
~ケルディック~
「ケルディック……特別実習で来て以来か……メンフィル帝国領になった話は聞いているけど……」
「隣のエレボニア帝国領が内戦の真っ只中ってのもあって、徘徊している兵士達の数も多いな……ま、これなら”貴族連合”のスパイとかも動きにくいだろ。」
「やれやれ、それで気を抜いてちゃ世話ないわね。」
トヴァルの言葉を聞いたセリーヌは呆れた。
「お兄様、ここにツーヤお姉様がいるのですのよね?」
「ああ、臨時領主を務めているプリネさんの護衛だから、いるはずなんだが……―――あ。」
そしてセレーネに尋ねられたリィンが答えたその時、ある建物―――ギルドから出てきたツーヤを見て呆けた。
「お姉様ッ!」
ツーヤの無事な姿を見たセレーネは嬉しそうな表情でツーヤに駆け寄って抱き付き
「セ、セレーネ!?無事である事は知っていたけど、こうして直に会えて本当によかった…………」
「わたくしもお姉様の無事な姿をこの目で見れて、本当によかったです……!」
セレーネに抱きつかれたツーヤは驚いた後安堵の表情で自分を強く抱きしめているセレーネの頭を優しく撫でた。
「久しぶり、ツーヤさん。―――いえ、ルクセンベール卿とお呼びした方がいいでしょうか?」
「リィンさん。フフ、あたしはまだ士官学院を退学していませんから、以前と同じ呼び方で構いませんよ。それで、貴方は遊撃士の……確かトヴァルさん、でしたよね?」
リィンに話しかけられたツーヤは苦笑した後見覚えのない人物―――トヴァルに視線を向け
「ああ、こうして直に会うのは”カレイジャス”以来だな。リィンの母親――――ルシア夫人に”依頼”されて、リィンに協力している。それで早速で悪いんだが、情報交換を始めねぇか?」
「”依頼”でリィンさんに……何やら色々と事情がありそうですね。―――わかりました。落ち着いて話せる場所―――領主の館に案内するのであたしについて来て下さい。」
トヴァルの話を聞いたツーヤは目を丸くした後、リィン達を促し、ツーヤの先導によってリィン達は領主の館に案内されると驚くべき光景―――多くの市民達が領主の館の門の前で列を作って並んでいる姿をその目にした。
「これは一体……」
「―――ケルディックの商人や市民達です。恐らく明日から始まるメンフィル帝国領内での”検問”に必要な”通行証”を今の内に貰っておく為に並んでいるんだと思います。」
領主の館の前で並んでいる人々に驚いているリィン達にツーヤは静かな表情で答え
「へっ!?」
「”通行証”、ですか?」
「おいおい……何でまたそんな事を始めたんだ?まさか内戦が原因か?」
ツーヤの説明を聞いたリィンは驚き、セレーネは戸惑い、トヴァルは真剣な表情で尋ねた。
「……その件については後で話します。―――お疲れ様です。後ろの方達はあたしの客人と身内ですので、通して大丈夫です。」
トヴァルの疑問に静かな表情で答えたツーヤは門番の兵士達に話しかけ
「ハッ!」
門番達は敬礼をした後、門を開き、リィン達は館内に入り、ツーヤの先導によって客室の一室に案内された。
~領主の館~
「立派なお部屋ですわね……」
「領主の館を見た時から思ったけど、一体いつ頃できたんだ……?」
「館自体が完成したのはケルディックがメンフィル領になって、領邦軍の詰所だった建物を急ピッチで大幅に改装して大体1ヵ月くらいでできたそうだぜ。」
客室内で戸惑っているセレーネとリィンにトヴァルは説明し
「フフ、さすがは遊撃士ですね。さて、それではそろそろ本題に入ろうと思うのですが……―――何故ユミルにいるはずのリィンさん達がケルディックに?」
ツーヤは遊撃士の持つ情報量に感心した後真剣な表情になって、リィン達に話を促した。
「実は―――――」
そしてリィン達はツーヤと情報交換を始めた。
「………そうですか。あたし達もリィンさん達に合流して協力したい所なのですが……生憎ケルディックの防衛の為に、現在ケルディックから長期間離れられない状況ですのでリィンさん達と合流することはできません。あたし達と違って自由な立場で、今は本国にいるエヴリーヌさんに関しても”有事”の際にすぐに動ける即戦力として必要な為、リィンさん達の手助けをすることはできません。―――すみません。」
「そうか…………」
「お姉様……」
「Ⅶ組の中でもダントツの実力を持つアンタたちが合流できないのは痛いけど、そういう事情があるのなら仕方ないわね。せめて”執行者”の中でもトップクラスの実力を持つ”剣帝”が加わってくれたら、今後戦う”敵”の事を考えると助かるんだけどね……」
「……そうなったのも、やっぱり内戦の影響か?」
直接協力できない話をツーヤの口から聞いたリィンは残念そうな表情をし、セレーネは辛そうな表情でツーヤを見つめ、セリーヌは溜息を吐き、トヴァルは複雑そうな表情で尋ねた。
「ええ。内戦の影響のないメンフィル帝国領なら安全と思ったエレボニア帝国の難民達がメンフィル帝国領に避難してきている状況で、このケルディックにも多くの難民達がエレボニア帝国領から避難してきています。その影響で様々な問題が起こっていて……その解決の為の政策を練る為や難民が増えた事によって増えた膨大な数の様々な書類関係の処理をする為に臨時領主を務めているマスター―――プリネさんやレンさん達は多忙の身なんです。」
「へ?」
「難民の方達がメンフィル帝国領に避難してきた事によって起こる”問題”、ですか?」
「……ま、確かに色々あるだろうな。街の住民との諍いとか色々な問題があるだろうが……一番の問題は住む場所だろ。」
「後は着の身着のまま逃げて来ている彼らが生活費を稼ぐ方法や食料とかをどうやって手に入れるとかでしょうね。」
ツーヤの話の意味がわからない二人にトヴァルとセリーヌは説明した。
「あ…………」
「住居や食料に関してはメンフィル帝国が野営に必要なキャンプ用品、防寒具や毛布等、更には食料も無料で提供し、現在は難民の方達用の緊急住居も建造している最中でして……街のすぐ傍には難民達の集落ができています。」
「集落までできているという事はそれなりの人数がいるという事ですわよね?お姉様、一体どれほどの人数がこのケルディックに避難してきているのですか?」
「…………内戦が始まってから今日に到るまで、約1000人。」
「なっ!?せ、1000人!?」
「相当な数の難民達が避難してきているな……約500人いるレグラムの総人口の2倍だぞ。」
セレーネの質問に答えたツーヤの答えにリィンは驚き、トヴァルは真剣な表情で呟いた。
「内戦が始まった当初はそれほどでもなかったのですが……日数が経つ事に10人、20人と段々と増えて行き、今に到るのです。ちなみにエレボニア帝国西部ではここより内戦が更に激化しているようでして。このケルディックと同じメンフィル帝国領のセントアークに避難して来た難民達の数は現時点でおよそ5000人だと聞いています。」
「ご、5000人!?」
「ケルディックの約5倍ですわね……」
「ああ……それにしてもそれほどの人数をメンフィル帝国もよく受け入れてるな?」
「そうね。普通ならそんな大人数が避難してきたら、治安維持の為に自国領から追い出したりしてもおかしくないわよ?」
「まあ、メンフィル帝国は国は違えど”民”は守る方針ですし、幸いメンフィル帝国は広大な領土を持っている影響でお金、物資共に困りませんから。現在は遊撃士協会とも連携を取って、メンフィル帝国領土内で問題が起こった際、できるだけ早く解決できるようにしているんです。後はリベール王国にもメンフィル帝国領に避難してくる難民達の一部の受け入れを要請し、リベール王国からも良い返事が貰えていますので、近い内難民達の一部にはリベール王国に向かってもらう予定もあります。」
トヴァルとセリーヌの問いかけに頷いたツーヤは説明を続けた。
「そういやさっき、ギルドから出てきたが、まさか難民や検問の件とかが関係しているのか?」
「ええ。――――昨日起こったユミルの件のように貴族連合が雇った猟兵達や領邦軍に襲撃されない為に遊撃士の方達にも見回りの強化の依頼と、今後こちらが手が回らない時に起こる民達の問題解決の協力の依頼、そして急遽決まった検問についての説明の為にギルドに行っていたんです。」
「あ…………」
「………………」
「自国領が襲撃されたから、貴族連合に対する警戒心が一気に跳ね上がってるようね。」
「なるほどな……街を徘徊している兵士達の数が多いのはそういう事だったのか。そういや、”通行証”を発行している話だったが……まさかそれもユミルの件が関係しているのか?」
ツーヤの話を聞いたセレーネは辛そうな表情で故郷で起こった出来事によって他のメンフィル帝国領に迷惑をかけていると思って複雑そうな表情で黙り込んでいるリィンに視線を向け、セリーヌは静かな表情で呟き、トヴァルは重々しい様子を纏って呟いた後ツーヤに尋ねた。
「はい。元々エレボニア帝国領に隣接しているメンフィル帝国領での検問の件は内戦が始まって以降、本国でも議題に上がっていたそうなのですが……ユミル襲撃の報を聞いたシルヴァン陛下が即座に決定したそうです。民達には不便や迷惑をかける為、できればその手段は取りたくなかったとプリネさんや義母さんも肩を落としていました…………―――ちなみにプリネさん達が忙しいのは急遽決まった検問の為に必要な通行証の発行が理由でもあります。」
「………………」
「お姉様…………」
「ま、実際自国領が貴族連合に襲撃されちまったんだから、市民達の身の安全の為の予防策として当然の措置だな。ちなみにだが、その通行証とやらは遊撃士も持ってなきゃダメなのか?」
疲れた表情で答えるツーヤの様子を見たリィンは複雑そうな表情で黙り込み、セレーネは辛そうな表情でツーヤを見つめ、トヴァルは静かな表情で頷いた後尋ねた。
「いえ、遊撃士の方達については遊撃士協会に所属している証である”支える籠手”の紋章と本人である事を証明する遊撃士手帳を見せれば、通行証がなくても通すようにと兵達に通達してあります。」
「へえ?さっきから話を聞いていて感じたけど、メンフィルは遊撃士協会に対して随分と協力的なのね?」
「ああ……エレボニア帝国とは大違いだぜ。」
セリーヌの疑問を聞いたトヴァルは疲れた表情で頷き
「それと今朝マキアスさん達に通信で事情を説明した後、プリネさんが本来なら色々と必要な手続きを全て省略して発行した通行証をマキアスさん達に渡しておきました。」
「!!マキアス達だって!?マキアス達は今どこにいるんだ!?」
ツーヤの口から仲間達の話が出るとリィンは血相を変えて立ち上がって尋ねた。
「お、お兄様。」
「ったく、心配なのはわかるけど、熱くなりすぎよ。」
「あ…………すまない、ツーヤさん。」
セレーネとセリーヌにたしなめられたリィンは我に返った後ソファーに座り直してツーヤに頭を下げた。
「フフ、気にしないで下さい。マキアス達の居場所についてですが………これが”手がかり”です。」
ツーヤは苦笑した後リィンに紙切れを渡した。
「何これ?」
「紙切れ、ですか?」
「こいつは……地図か?」
「……どうやら東ケルディック街道の地図みたいですね。いくつかの数字や記号が描かれていますが……」
「待った、裏面にも何か書いてるみたいだぞ。」
紙切れの裏面に書かれてある何かに気付いたトヴァルの指摘を聞いたリィン達は暗号らしき文字や図を確認した。
「なにかの暗号……みたいね?何なの、これ?」
確認し終えたセリーヌは不思議そうな表情でツーヤを見つめて尋ねた。
「―――マキアスさんがあたし達に渡したマキアスさん達の居場所を示す暗号だそうです。もしリィンさん達が自分達を探してあたし達を尋ねた時に渡してくれとマキアスさんに頼まれました。」
「え?マ、マキアスさんがですか?」
「しかし何でまたわざわざこんな回りくどい真似を……」
ツーヤの説明を聞いたセレーネは戸惑い、トヴァルは目を丸くした。
「幾らメンフィル帝国領とはいえ、貴族連合の手の者が入り込んでいないとは限りませんからね。例えば”怪盗紳士”が誰かに変装して、このケルディックや館内に潜入していた場合、ケルディック地方に潜伏しているマキアスさん達が見つかる危険性も考えられます。それに対する対策との事です。」
「なるほど…………」
「―――”怪盗紳士”か。確かにヤツがこの内戦に関わっているという情報もあったな。」
「あの人の変装術は信じれない程、凄いですものね……」
ツーヤの説明を聞いて納得したリィンは真剣な表情で暗号を見つめ、トヴァルは静かな表情で頷き、セレーネは不安そうな表情をした。
「それとマキアスさんが関係する件でもう一つ。―――先日、レーグニッツ知事が貴族連合の手配によって逮捕されました。」
「ええっ!?マ、マキアスさんのお父様が!?」
「何だって!?」
「まあ、貴族連合が帝都を占領した時点でそうなる事もある程度は予想していたが……一体どういう経緯があったんだ?」
「―――詳細な内容についてはこの新聞を読んでください。」
そしてリィン達はツーヤに手渡された新聞―――エレボニア帝国の通信会社が発行している”帝国時報”の内容――――レーグニッツ知事が逮捕され、更に正規軍と共に”逆賊”扱いされている内容を読んだ。
「レーグニッツ知事まで逮捕されるなんて…………」
「マキアスさんのお父様、大丈夫でしょうか……?」
「革新派の重要人物の逮捕に正規軍の”反逆”ときたか……やれやれ、大した偏向ぶりだねぇ。どうやら”帝国時報”も貴族連合の手に落ちているようだな。」
「ええ……そうみたいですね。すでに貴族連合は内戦の終結後まで視野に入れて動き出しているのかもしれません。」
「フン、抜け目ない連中ね。それならユミル襲撃の件をどう収めるつもりなのかしら?」
リィンの推測を聞いたセリーヌは鼻を鳴らした後厳しい表情をした。
「昨夜の通信でユミルの件を報告した際、リウイ陛下からはリベールにあるエレボニア帝国の大使館を通じて厳重に抗議して、貴族連合が誘拐したエリスの返還を要求する話は聞いているけど……」
「エリスさんが誘拐された際の経緯を聞く限り、難しいでしょうね。ですが安心してください、リィンさん。既にメンフィル帝国はエリスさんの救出の為に本格的に動きだしていますよ。」
「へっ!?」
「ど、どういうことですか、お姉様?」
自分達を安心させるかのように口元に笑みを浮かべるツーヤの話を聞いたリィンは驚き、セレーネは戸惑いの表情で尋ねた。
「リウイ陛下達は貴族連合はエリスさんの返還の要求を応じない可能性が非常に高い事を予測していまして……―――既にメンフィル帝国軍のすぐに動ける諜報部隊がエレボニア帝国領に隣接しているメンフィル帝国領に到着し、そこを拠点にエレボニア帝国全土に散って、エリスさんが監禁されている居場所を探っている最中なんです。ちなみにエリスさんの居場所を探る件で動員されている人数は現時点でおよそ2000人で、今後も動員する人数を増やす方針だとの事です。更に遊撃士協会にもエリスさんが監禁されている居場所の情報提供の”依頼”をする事も考えているそうですよ?」
「まあ………!よかったですね、お兄様……!大勢の方達がエリスさんを探しているのですから、案外早くわかるのではないでしょうか……!?」
「あ、ああ……夏至祭でエリスの救出の為に動いてくれた件といい……メンフィル帝国の皇族の方達には感謝してもしきれないよ………」
ツーヤの説明を聞いたセレーネは明るい表情で安堵の表情をしているリィンに視線を向け
「そいつは朗報だが……そういう事をしているって事はメンフィル帝国は貴族連合―――エレボニア帝国がエリスお嬢さんの返還をしないと最初から確信して動いている証拠だよな……」
「あの娘の居場所がわかり次第、そこに奇襲してあの娘を貴族連合から奪い取――いえ、”救出”するんじゃないかしら。で、肝心のエリスを取り返した後は心置きなく開戦に踏み切るって寸法じゃないかしら?まあその判断は間違っていないわよ。あのヴィータが自分にとっては関係のない出来事―――国同士の争いを止める為に素直にあの娘を返すとはとても思えないし。」
トヴァルは真剣な表情で考え込み、セリーヌは目を細めて推測した。
「あ………」
「それは…………―――ツーヤさん、トヴァルさん達の推測は本当なのか?」
二人の推測を聞いたセレーネは不安そうな表情をし、リィンは複雑そうな表情をした後ツーヤに尋ねた。
「……まだ、そういう話は出ていませんが、夏至祭の件を考えると可能性は十分に考えられるかと。しかも話によるとリフィア殿下は貴族連合―――いえ、エレボニア帝国に対して、相当な怒りを抱いているとの事ですし。」
目を伏せて考え込んでいたツーヤは真剣な表情になってリィン達を見回して答え
「実際、夏至祭の時も皇族の方達自らがエリスお姉様の救出の為に動きましたものね。それにリフィア殿下の怒りも民を守る立場である皇族として当然だと思いますわ。」
「ああ………メンフィル帝国とエレボニア帝国の戦争の勃発を止める方法を探る為にも、一刻も早く俺達の手でエリス達を助けないとな……!」
「ハハッ、その意気だぜ!」
「全く、一昨日憔悴していたのが嘘のようね。」
セレーネの意見に頷いた後決意の表情になったリィンを見たトヴァルは口元に笑みを浮かべ、セリーヌは呆れた表情でリィンを見つめた。
「――――あ。そう言えばレン姫の名前が先程出て来た時から気になっていたけど……アンゼリカ先輩は今、どうしているんだ?」
「確かアンゼリカ先輩はレン姫の秘書を務めているのでしたわね。」
アンゼリカの存在を思い出した二人はそれぞれ不思議そうな表情でツーヤを見つめ
「その事なんですが……アンゼリカ先輩は内戦が始まって少ししてから、レンさんに”休暇”の許可を取った後内戦を終結させる方法を探る為にケルディックから姿を消しました。恐らく今はエレボニア帝国領のどこかにいると思います。」
「何だって!?それじゃあアンゼリカ先輩は今、どこで何をしているんだ!?」
表情を曇らせたツーヤの口から出た予想外の答えを聞いたリィンは驚いた後真剣な表情で尋ねた。
「申し訳ありませんが、アンゼリカ先輩の行方についてはあたし達も把握していなくて。現在は消息不明です。」
「そんな……」
「今の状況を考えると、心配ですわね……」
「まあ、”四大名門”の”ログナー侯爵家”の長女なんだから、少なくとも貴族連合に危害は加えられていないだろ。」
「そうね。アンタ達はまず自分達が決めた事――――仲間達の合流を目指す事じゃないかしら?」
トヴァルの意見に頷いたセリーヌはリィンに視線を向けた。
「……そうだな。―――色々と教えてくれありがとう、ツーヤさん。お蔭で色々と欲しい情報が手に入ったよ。」
「いえ、あたし達がリィンさん達に協力できるのはこのくらいの事しかありませんし。プリネさん達にはリィンさん達が来た事を後で伝えておきますね。―――はぐれた仲間達の合流、頑張ってください。」
その後領主の館を後にしたリィン達は街の中で情報収集をして、準備を整えた後マキアス達と合流する為にケルディックを後にした。
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