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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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よく見ると開いてる

 
前書き
FAIRYTAILのネタバレサイトでみんな気付いていると思って「『七つの星』から数字がカウントダウンしているが、意味があるのかね?」的なコメントしたら、意外にも気づいていない人が多々いたみたいだ。
グレイとルーファスの声優の件といい、私はそういうおかしな点にしか気付かないのだろうか・・・ 

 
「シリル、どう?」

シャゴットたちからのお願いでエクシードの救出のために闇ギルドに乗り込んだ俺たち。そのアジトの十字路で進路に敵がいないか確認している俺に、ウェンディが問いかける。

「大丈夫、誰もいないみたい」

目を使ってある程度の距離まで闇ギルドの魔導士がいない道を確認した後、後ろで待機していた三人の方へと向き直る。

「よかったぁ。あたしたちが侵入したのは気付かれてないんだね」

胸に手を当ててホッと一息ついた天神。門番を気絶させた後、音を立てないようにギルドの中に入ったことで、向こうは侵入者がいることに気付いていないのかもしれない。それが一番理想だし、このまま見つからないに越したことはないけどね。

「なんだ。それなら変装する意味なかったな」

メガネを押し上げることにハマったのかこれ見よがしに何度もメガネをいじっているレオン。ちなみにこれは伊達メガネだから、視力に影響はないらしいです。

「ううん。もしよ見つかったらまずいでしょ?これは必要不可欠だよ」
「そうだな」

シェリアにそう言われて納得したようにうなずいた少年は、一度後ろを振り返り人がいないことを確認し直している。ここ、ちょっと暗いからパッと見だと人の位置が把握できないのが難点だな。

「みんな、早くいこ。時間もあんまりないし」

のんびりと会話をしている俺たちをソワソワしながら見ているウェンディ。言われてみると、このあと変装用の服を返しに行ったり、村まで戻ってセシリーたちを回収したり、ギルドに戻ってレオンたちを次の留学先にお見送りしなきゃいけないと考えると、あまり時間がない。彼女が落ち着かない気持ちも理解できる。

「てか監禁場所とか分かってんの?」
「分かんないけど・・・手がかりもないし、それっぽいところを探すしかないんじゃない?」

動き出そうとしたところでレオンに重要なことを聞かれ、それとなく返答することしかできなかった。でも俺にはこの目があるし、魔法の無力化とかされない限りは探し出せそうな気もするんだけどね。
そう言うわけで、再度人がいないことを確認してから先へと走り出す。しばらくまっすぐに進んでいると、人の声が聞こえてきたため、足を緩めて声がする方へとゆっくりと近付いていく。

「おい。そろそろ奴等に飯を持ってく時間じゃないか?」
「はぁ?めんどくせぇなぁ」

そこでは二人の男が何やら話をしている。俺とウェンディは耳がいいので、バレないように距離を保ったまま、二人の会話を盗み聞きしてみる。

「一回くらい抜いたって死にやしねぇだろ」
「そうもいかんだろ。奴等にはまだまだ使い道がある。いざって時に動けないと困るからな」

何の話をしているのか確証が持てない。だけど、おおよそ予測ならできる。これはもしかしたら、捕らえられているエクシードたちへの食事についての話なのかもしれない。

「食料庫から適当に持っていけ」
「わかったよ」

話し終えたと思われる二人組は、次の行動に移るためになのか、別々の方向へと歩き始める。

「どうする?」
「後をつけるか?」

通路の影から彼らの様子を覗き見しているシェリアとレオンが会話を聞いていた俺たちにそう聞く。ここはどうするのが一番正しいのだろうか?基本討伐系の依頼しかしたことがないから、こういうのはさっぱりわからない。

「行く・・・しかないか」

だけど、何もせずにただ見ているわけにもいかない。運がいいのかわからないが、食料庫に向かったと思われる人物はギルドの中ということで全く警戒心の欠片もない。尾行するのは簡単だと思う。

「慎重にね」
「わかってるって」

必死に気配を消して前を歩く男をコソコソと追いかけ始める。度々人の話し声がしては来るけど、誰も彼も侵入者がいるなどとは思っていないらしく、特に何事もなく追跡を続けることができた。

「オラ!!飯の時間だぞ!!」

地下へと続く階段を降りていくと、鉄格子の付いたドアの前に先程食料庫からパンやらを持ってきていた男がいる。彼は腰にかけている鍵を使ってドアを開けると、乱暴に木枠に入っているパンを部屋の中へと投げ込む。

「ひどい・・・」
「もっと優しくしてあげてもいいじゃん」

それを影から見ているウェンディとシェリアは、男の態度の悪さとエクシードたちへと扱いのひどさに怒りを感じている。無論、それは黙って状況を読み取っている俺とレオンも同様だ。

「時間が来たらまた来るからな!!それまで大人しくしてろよ!!」

ドアに鍵をかけ、男の頭の位置にある鉄格子から中を睨みながらそう言うと、そいつはその場を離れていく。

「行ったかな?」
「たぶんね」

カツカツと足音を立てて登っていく男の背中を見送りながら、隠れていた壁の後ろから顔を出しつつ周りを見回す。今のところ、周囲に敵はいないような気がするなぁ。

「シリル。今のうちに」
「了解」

相手に悟られないうちにと男がパンを投げ入れたドアの前へと駆け出す。俺たちの頭の位置よりも高い位置にある鉄格子に手をかけてジャンプしながら中の様子を覗き見る。

「シリル・・・」
「なんか猫みたいになってるよ」
「う・・・うるさいな」

ピョンピョンと何度もジャンプしている俺を見て、猫じゃらしで遊ばれているセシリーたちの姿でも思い出したのか、哀れみの視線を送ってくるウェンディとシェリア。こんなところでも背が低いのが影響してくるとは・・・これから毎日牛乳飲もうかな?背を伸ばすために。

「なぁ、思ったんだけどさぁ」
「ん?」

すると、何か思い付いたレオンが口を開く。その間も俺は中の様子を見ようとチャレンジしているのは言うまでもない。

「俺がシリルを肩車すればいいんじゃね?」
「それだ!!」
「「もっと早く気付いて!!」」

少女二人はこの案がすぐに思い付かなかった俺たちに驚いているみたい。だけど、肝心の俺たちはすぐに肩車をして鉄格子から中の様子を伺う。

「うわっ、太ももが直に当たる」
「レオンちょっと黙ってて!!」

下になっているレオンが首元にピッタリとついている足が気になっている様子。だけどこれは仕方がないことだ。だってこのヒラヒラのスカートしかまともに穿けそうなのなかったんたもん。少しの間我慢してほしいね。

「あ・・・!!」

気を取り直して中を見てみると、そこには案の定捕らえられているエクシードたちの姿があった。しかも、みんな心なしか痩せ細ってる上に、服もボロボロで、相当コキ使われているのが一瞬で見てとれた。

「みんな!!」
「「「「「!!」」」」」

よほど恐怖を感じているのだろうか、俺が声をかけると彼らは体をビクつかせながら扉から距離を取る。しかし、俺の顔を見た途端、恐怖に包まれていた顔が明るくなっていくのが見てとれた。

「あなたはいつか・・・」
「なんでここに?」

彼らも村のエクシードたちと同様に俺のことを覚えていてくれたらしい。でも、今は再会の余韻に浸っている時間はない。

「待ってて、すぐ助けるから」

そう言ってレオンから下ろしてもらうと、すぐにドアノブへと手をかける。しかし、ここで大きな問題が発生した。

「あ・・・開かない・・・」

ドアノブが回らないのである。そういえば、さっき鍵をかけ直していたから、そうなるのは当然の結果か。

「くっ!!この!!」

仕方ないので蹴ったり体当たりしてみるが、固い鉄でできている扉はガンガンと大きな音を立てるだけで、一切開く様子がない。

「シリル落ち着いて!!」
「あたしたちの魔法で壊せばいいんだよ!!」

息が上がっている俺を見てウェンディとシェリアがそう言う。それもそうだな、それが一番簡単――――

「あれ?ちょっと待って?」

二人の意見を聞いた後、あることが気になったのでレオンにもう一度肩車してもらい部屋の中を見る。

「これ・・・ダメかも」

ボソリとそう呟いた理由は簡単だ。みんなが捕まっている部屋はかなり狭い。もし扉を壊すために魔法を放つと、力加減をミスしてしまうと中のエクシードたちまで巻き込まれるほどの広さしかない。

「扉を壊すのもダメみたいだ」
「そんな・・・」

そのことを伝えるとどうすればいいのか考えに困ってしまい、なんとか知恵を絞り出そうとしているウェンディ。

「さっきの人追いかけて鍵を盗む?」

階段の方を見ながら赤紫色の髪をした少女がそう言う。でもそれだと、バレないように盗み出すのは至難の技だろうし、恐らく戦闘になるのは目に見えている。そうなると他の闇ギルドのメンバーも援軍に来るだろうし、少々手厳しいものがあるかな?

「う~ん・・・」

ガチャガチャ

頭をフル回転させているその後ろでは、レオンが念のため扉が開かないかドアノブをいじっている。今考えてるんだから静かにしてくれないかな?

「やっぱりシェリアの言う通りだね」
「うん。私もそう思う」

さんざん悩んだ結果、先ほどのシェリアの策しか思い付かなかった。リスクはあるけど、戦いになった時の保険としてクロフォードさんにお願いしてきた訳だし、これは想定の範囲内でしょう。

「みんな!!ちょっと待っててね!!」

扉越しに部屋の中にいるエクシードたちへと声をかける。みんな助けが来たことに喜んでいるようで、俺の言葉にも元気に返事をしていた。

「全員で追いかける?」
「うん。それがいちば――――」

パキンッ

「「「!?」」」

どうやって鍵を奪い取るかの計画を練ろうとしていると、突然どこからか何かが粉砕するような音が聞こえる。その音の正体が何なのか、気になってしょうがない俺たちはその方向へと向き直る。

「あ、よく見たら開いてるじゃん」

そこにいるのはやはりというべきなのか、規格外の能力を保有するこの男だった。少年は先ほどまで閉ざされていたはずの扉をまるで当たり前のように開閉している。その理由は、先ほどの破裂音にあった。

「お前・・・無理矢理ドアノブ回したのかよ」
「えぇ!?」
「そんなのアリ!?」

本来なら鍵がかかっているがためにロックされていたドアノブ。だが、レオンはそれを力業で回してみせ、鍵自体を破壊したのだった。これなら中にいるエクシードたちにも危害が及ぶ心配もないし、奴等から鍵を奪い取る必要もない。まぁ、普通の人間ならそんなことできないだろうけどね。

「何言ってるの?シリル。俺は普通にノブを回しただけだけど?」

扉を押し開けながら逆に俺の方を不思議そうな目で見ている少年。違う!!ここは俺の方が絶対に正しい!!お前のそれは間違いなくおかしい分類に入るからな!?

「私・・・レオンに不可能がないように思うんだけど・・・」
「奇遇だね、あたしもだよ」

まさかそんな解決方法を用いてくるとは思っていなかった天空の魔導士二人は、若干青ざめながらそんなことを話している。それには俺も同意せざるを得ない。こいつならいつか、敵の攻撃も「それ、残像だけど?」とかいって交わしてしまうような気がしてならない。
レオンは本当に人間なのだろうか?少し疑問が芽生えてきたぞ。

「お前、さらっと失礼だな?」
「お願いだから心読まないでくれる?」

俺の考えもなぜかレオンには筒抜け。迂闊に変なことを考えることができないな、こいつの前では。

「みんな!!今のうちに出て!!」
「早く早く!!」

俺とレオンが揉めてるうちに、ウェンディとシェリアが抉じ開けられた扉からエクシードたちを外へと出す。みんな疲労感はあるようだけど、ケガとかをしている猫もほとんどいないみたい。それを見てホッとひと安心する。

「どうやってこいつら逃がす?」

いきなり真剣な表情になった金髪の少年がこれからのことについて問いかける。
目を使って周りに敵がいないか確認してみる。ついさっき食事を与えたばかりなのだからだろうか、みんなここには近付いてくる気配がないように見受けられる。

「出入り口もないみたいだし、元来た道を戻るしかないかな」

みんなが捕まっていたこの場所には、窓や非常口がどこにもない。エクシードたちを絶対に逃がさないようにと配慮しているからだと思うけど、そうなると彼らを逃がすには入ってきた門のところまで戻る必要がある。

「みんな、動ける?」
「うん!!」
「なんとか!!」

しゃがんで彼らに目線の位置を合わせたウェンディがそう聞くと、みんな大きくうなずく。よほど助けられたことでテンションが上がっているのか、みんな笑顔が絶えないのが印象的だ。

「この人数、見つからないでいけるかな?」
「ちょっと厳しいと思うなぁ」

今この場にいるエクシードはパッと数えると20匹くらいいる。この人数をバレないで出口までたどり着くのは至難の技だろう。

「心配しなくていいよ。いざとなったら俺とシリルでなんとかするし」

数匹のエクシードに乗られているレオンがドンッと胸を叩き自信満々の笑みを浮かべる。結局戦うことになるのはなんだかもったいない気もするけど、そんなことも言ってられないか。

「みんなが待ってる村まで戻るぞ!!」
「ありがとうございます!!シリルさん!!ウェンディさん!!」

エクシードたちもようやく村に帰れると思っているらしく、みんな大盛り上がり。シャルルやセシリーも仲間がたくさん戻ってくれば嬉しいだろうし、ここは踏ん張りどころだな。

「みんな、極力静かに行こうね?」
「「「「「オオッ」」」」」小声

テンションマックスの彼らに釘を刺した後、敵に気付かれないうちにと階段をかけ登っていく。さてさて、無事に脱出できるだろうか?



























タッタッタッタッ

階段を一気にかけ上がった俺たちは、続いて出口へと続いているはずの通路を駆けている。途中で曲がり角がある度に立ち止まっては、進路に敵がいないか確認しつつまた出口に向かって走り出す。

「なんだ?この杜撰すぎる警備は」

走りながら周りに気を配りつつ愚痴にも似た言葉を発したのはエクシードたちを監禁部屋から出してくれた氷の神。彼の言う通り、あまりにも人と遭遇しなさ過ぎて、なんだか不気味な感じがする。

「もしかして何かで人が出払ってるとか?」

氷の神の隣を走る天神がそう言葉を漏らす。そういえばさっき、食事係りが「また後で来る」とか言っていたなぁ。どこかを襲撃してて、それが成功し次第エクシードたちにそこからお宝とかを運ばせるつもりなのかな?

「だったら今がチャンス・・・だよね?」
「うん!!」

天竜と視線を交わし、小さくうなずく。もしこの仮説が正しいのであれば、ここから抜け出すことはそう難しくない。仮に見つかったって、殲滅することも容易い!!・・・はず。

「おい!!大変だ!!」
(((((ビクッ)))))

すると、俺たちが向かっている方向からドスの効いた男の声が響き渡る。あまりの大声に、俺やウェンディ、そしてエクシードたちは体をビクつかせている。

「なんだよ!!うるさいな!!」
「門番の交代に行ったら、あいつらメガネの男と小さい女に不意を付かれて木に結ばれてやがったんだ!!」
「何!?」

どうやら俺とレオンが最初に気絶させた門番たちが見つかったらしい。それのせいで、侵入者がいることに気付かれてしまったようだ。

「金髪のメガネと水髪の女が侵入した!!探せ!!」
「「「「「了解!!」」」」」

近くにいた部下と思われる男たちに指示を出す大柄な男。指示を受けたメンバーたちは四方八方へと散っていく。

「マスターが帰ってくるまでに捕まえろ!!忍び込まれた証拠もできる限り消せ!!」

どうやらシェリアの予測通り、ここにいるメンバーが全員ではないようだ。マスターがどこかに行っているようで、そいつにバレないように俺たちを始末することを考えているらしい。

「あ~あ、バレちゃったな」
「仕方ないよ」
「うん。むしろここまでバレてなかったのが不思議だもん」

頭の後ろに手を組んで残念そうにしているレオン。でもこれは予想の範疇。それに、相手はあることを勘違いしているようだしね。

「ウェンディ、シェリア」
「ん?」
「何?」

俺はすぐさま二人の少女に向き直る。彼女たちは一体どうしたのかわからず、次に発せられる言葉を待っている。

「ここは俺とレオンが囮になるから、二人はエクシードのみんなを連れてここから逃げて」

奴等がしている勘違い。それは侵入者が二人しかいないと思っていることだ。本当はウェンディとシェリアもいるのだが、最初に気絶させた時には彼女たちはその場にいなかったから、気付いていないのも当然だろう。
だったらここは、二人にみんなを任せて、俺たちが相手を引き付けるのが得策なのではないかと思う。

「大丈夫なの?」
「あたしたちも手伝うよ!!」

それを聞いて心配そうに眉をひそめるウェンディとやる気満々な表情のシェリア。その気持ちはすごく嬉しい。嬉しいんだけど・・・

「ごめん。言った通りに動いてもらっていい?」

両手を合わせて二人に頭を下げる。もしここで二人にも手伝ってもらうと、エクシードたちを守れる人がいなくなってしまう。彼らは空を飛べるから素早く逃げれそうなものだけど、今はみんな捕らえられていた疲労やらストレスやらで本来の力を出すことは難しいだろう。彼らを庇いながら戦うのは、ちょっと厳しい。人質とかに取られたら、どうすることもできないだろうし。

「・・・わかった」
「うん!!そうする!!」

納得しきれていないシェリアと俺たちを信じてくれる様子のウェンディ。二人も同じように考えてくれたらしく、みんなを脱出させる方を引き受けてくれるようだ。

「シリル」

突然俺の手を握り、こちらをじっと見つめるウェンディ。その真剣な眼差しに、ちょっと頬を赤くさせている。

「気を付けてね!!」
「うん!!」

そう言って少女は手を離すと、 (エーラ)を出しているエクシードたちの方へとかけていく。

「レオン!!無理しないでね」
「オッケ」

周りに意識を向けて不意打ちを警戒していたレオンにシェリアが声をかけると、彼は手で小さく丸を作ってみせる。それを見てシェリアが彼らしいと頬を緩ませると、二人はエクシードたちを従えて出口の方へと走り出す。

「はぁ、結局討伐みたいになっちゃったなぁ」
「そんなこと言わないでよ、レオン」

元々はエクシードたちと遊ぶ予定でここまで来ていたレオンは、本来の目的から逸れてしまったことにガッカリしている様子。それについては本当に申し訳ないけど、お前も了承済みなんだから文句言わないでよ。

「いたぞ!!」
「メガネのガキと水髪の女だ!!」

ウェンディの姿が完全に見えなくなった頃、ようやくといっていいのだろうか、俺たちのことを探していた闇ギルドのメンバーたちが通路の先から姿を現す。

「それに、普段の討伐とはちょっと違うんじゃない?」
「・・・そうだね」

少し不敵な笑みを浮かべながら、レオンの方を見上げる。それを見たレオンは、同じように口角を上げる。
今回のこれはギルドに回ってくるような討伐の依頼とは全然違う。ウェンディたちを無事に逃がすために時間も稼ぎたいところだし、俺たちの正体にも気付かれたくない。いつもよりも頭を使いながら立ち振る舞わなければ成功できないだろう。

「ラウルのためにも、ちょっと頑張ってみるかな」

隣に立つ少年の魔力が上がり始める。大魔闘演武の時と同じような、周囲を凍てつかせるかのような魔力が、こちらに向かってきていた男たちの目を開かせる。

「レオンだけに活躍させるわけにはいかないもんな」

彼と同様に魔力を高めていく。俺にだってセシリーやシャルルがいる。こいつだけにいいところを持っていかせるのは絶対にいやだ。

「行くぞ!!」
「おう!!」











 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
この話で終わらせるようにと考えていましたが、まだやりたいことをやりきれていないためもう一話追加です。
シェリアとレオンが出てくると話がどんどん増えてる気がしますが、彼らは一応準ヒーローとヒロインなので、ご容赦ください。 
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