血の髑髏
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第二章
「それがか」
「これか」
「ここにもあるのか」
「見てみよう」
総商品の中に埋もれているそれをというのだ。
「よくな」
「ああ、どっちにしろ装飾品は全て大事にしないとな」
「どれも貴重な文化遺産になりそうだ」
「博物館に送らないといけないだろうしな」
「だったらな」
「これもだな」
「持っていくか」
「他のものと一緒に」
「しかし」
ここでだ、探検家達のリーダーであるエンリケ=ペドラザ博士はその髑髏を見てだった。メンバー達に眉を顰めさせて言った。
「確かに芸術品としては素晴らしいが」
「不気味ですね」
「髑髏ですし」
「あの髑髏も不気味だが」
ここでも話題になっている水晶の髑髏のことである。
「これはさらにだな」
「赤水晶ですしね」
「しかもやけに血の色に似ています」
「こんな赤水晶自体珍しいですしね」
「余計にですね」
「全くだ、何かな」
どうにもとだ、博士は眉を顰めさせて言った。
「この髑髏には何かがある気がする」
「不吉なものが、ですか」
「それが」
「私の気のせいだといいがな」
こうだ、博士はその度の強い眼鏡をかけた顔を顰めさせながら言った。そしてその髑髏についてこうも言った。
「まさかと思うが」
「何かですか」
「ありますか」
「いや、そんなことはないと思うがな」
こう前置きして言うのだった。
「これだけ精巧だと不気味だしな」
「慎重に、ですか」
「運びますか」
「そうするか、特にだ」
その髑髏の目の部分を見た、そこには当然ながら眼球はない。しかし。
その部分にだ、博士はえも言われぬ不気味なもの髑髏全体から感じている中でもとりわけそう感じているものを感じてだった。
メンバーにだ、こう言った。
「髑髏の視界に入らない様にな」
「持って行け、ですか」
「そうすべきですか」
「目には呪いがあるな」
所謂邪眼である。
「だからな」
「この髑髏目がないですけれど」
「それでもですか」
「ああ、妙に気になる」
それでというのだ。
「そこには入らない様にして持って行こう」
「そうして運んで、ですね」
「ケースの中に入れて」
「そしてですね」
「メキシコシチーまで運ぼう」
こう言ってだ、実際にだった。
探検隊は装飾品を全て丁寧に運び移送する様にした、勿論髑髏もだ。
慎重に運びケースの中に入れた、その時にもだ。
博士は探検家達にだ、強い声で言った。
「くれぐれも誰もな」
「はい、この髑髏のですね」
「視界には入らない様にですね」
「そうして持って行こう」
そして実際にだった、そうして運ばれてだった。
ピラミッドの中の装飾品達はメキシコシチーにまで運ばれた、その赤水晶の血の色で輝く髑髏もである。
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