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血の髑髏

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第一章

                  血の髑髏
 ユカタン半島においてだ、彼等は驚くべき発見をしていた。
「凄いぞ、これは」
「何という立派なピラミッドだ」
 半島の奥深くにまで調査に出ていた政府から派遣されていた探検隊達はユカタンの奥深くにだ、中南米の文明の祭壇を思わせるピラミッドを観てそのうえで驚嘆していた。
「大きい」
「しかも この精巧さ」
「アステカか」
「いや、マヤではないのか」
 文明の区分はまだわからなかった、しかし。
 そのピラミッドに装飾、それにだ。
 ピラミッドの外のレリーフも観てだ、彼等はさらに話した。
「凄いな」
「ああ、レリーフもな」
「ここまでの技術とはな」
「アステカにしろマヤにしてもだ」
「これ程までの文明はなかったぞ」
「これまではな」
「凄い発見だぞ」
 さらに言うのだった。
「この半島の奥深くにこうしたものがあるとは」
「さらに調べよう」
「周りもな」
「そして中もだ」
「ピラミッドの中もだ」
 その祭壇型のピラミッドの中に入る場所もあった、それでだ。
 生贄を捧げていたと思われる祭壇のすぐ近くに中に入る階段があった。それでその中に入ると、だった。
 その中にもレリーフがあった、神々への儀式を思わせるそれが。探検家達はそれを見てまた口々に言った。
「これもな」
「本当に凄いぞ」
「メキシコシチーに戻ったら報告だ」
「ああ、すぐにな」
「これは世界遺産になるぞ」
「間違いなくな」
「しかもだ」
 そうしたレリーフだけでなかった。
 ピラミッドの中には部屋が幾つもあってだ、その中には。
 財宝庫らしき場所もあった、そこには。
 様々な装飾品があった、芸術品になりそうなものはなかったが。
 その装飾品達も観てだ、彼等はここでも話した。
「これもな」
「うむ、見事だ」
「どれも我が国の文化遺産になるぞ」
「いや、これも世界遺産になるかも知れない」
「すぐに政府に報告してだ」
「保存しよう」
「ピラミッドも周りもこの装飾品達もだ。
「全てな」
「?」 
 ここでだ、ふとだった。 
 探検家の一人がだ、仲間達に言った。
「皆見てくれ」
「どうしたんだ?」
「何があったんだ?」
「一体」
「何か見付けたのか?」
「これを見てくれ」
 こう言ってだ、装飾品達の中に埋もれているあるものを指差した。それは。
 髑髏だった、しかしただの髑髏ではない。それは。
「何だ?赤いぞ」
「血みたいな色だな」
「それでいてかなり輝いている」
「赤水晶か」
「そうらしいか」
「水晶の髑髏か」 
 一人が言った。
「それか」
「あの噂のオーパーツか」
「あれは実際は昔に造られたそうじゃないらしいがな」
「あれと同じくか」
「水晶の髑髏か」
 これではないかというのだった。 
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