八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十九話 水着選びその七
「いい甘さよね」
「うん、自分に優しくしても相手にも優しく甘くしろ」
僕は親父が言った言葉を皆に詳しく話した。
「そう言われたよ」
「自分に優しくしてもいいのね」
「よく自分に甘い人は駄目っていうけれど」
実際僕自身そうだと思う、親父にしてもその破天荒なまでの遊び方を見ているとやっぱり自分の欲望に忠実つまり自分に甘いと思う。
けれどそれでもだ、親父は僕にこうも言った。
「他の人にもね」
「優しく甘くね」
「そうしろって言ったよ」
「そうね、自分に甘くてもね」
イタワッチさんは僕のその言葉に頷いて応えた。
「他人に厳しくなかったらね」
「まだいいよね」
「ずっとね、自分に甘く他人に厳しい人っているよね」
「そうだよね、何かと」
「何処にもね」
「そういう奴は」
モンセラさんは顔を顰めさせて言った。
「駄目よ」
「他人に厳しい人は」
「自分に甘くてね」
「そうした人は他人にあれしろこれしろと言って」
テレサさんはこう言った。
「自分は何もしないで自分のミスは知らないふりで」
「他人のミスは言うっていうんだね」
「そう、自分のことは棚に上げて」
「体育会系で多いんだよね」
日本のだ、実際に僕もそうした人は見てきた。具体的には他校の話だけれど練習試合の時に見た先輩だ。
「自分は何をしてもよくてね」
「他の人にはね」
「あれしろこれしろ」
「そういう人はいるわね」
「そしてテレサさんはそうした人は」
「大嫌いよ」
一言での言葉だった。
「もう絶対にね」
「そうなんだね」
「もう付き合いたくないわ」
完全に拒否の言葉だった、頭からの。
「メイドに向いていないし」
「やっぱり向いていないよね」
「メイドは自分が動いてこそよ」
「メイドさんだね」
「そう、率先垂範」
まさにというのだ。
「最高は自分に厳しく他人に優しくて」
「最悪はだね」
「それよ」
自分に甘く他人に厳しい、悪しき体育会系だというのだ。
「まさにね」
「そもそもメイドさんって働くのがお仕事だよね」
「そうよ、女中さんじゃない」
言うならばとだ、テレサさんはメイド部の立場から僕に言った。
「それで働かないでどうするのよ」
「そういうことだね」
「そう、まあ私も自分に甘いけれど」
「それでもだね」
「率先して動いてるつもりだし」
それにとだ、テレサさんはさらに言った。
「他の人にもね」
「優しくだね」
「自分の気付く限りそうしようって思ってるわ」
「うん、やっぱり他の人にはね」
「気をつけてね」
「優しくしないと」
「そういうことだね」
僕はテレサさんのその言葉に頷いた、そうした話をしながら皆で水着のコーナーに向かった。その水着のコーナーはというと。
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