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歌集「春雪花」

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 花散らば

  虚しき春の

    夜の雨に

 溜め息吐きて

   月ぞ待ちなむ



 満開の桜が散ってしまったら、何だか寂しくなるな…と思うと、この春の夜の雨に一層虚しさを感じてしまう…。

 彼と一緒に見ることは叶わず…この先も叶うことはない咲き誇る満開の桜…。

 そう思うと…自然と溜め息しか出なくなり、ならば…せめて月だけでも顔を見せてはくれないものかと…暗い夜空を眺めた…。



 花冷えの

  光なき夜の

    淋しさに

 想いつのりて

     君ぞ恋しき



 春と油断していると…夜は冬と思える寒さが返る…。

 空には星影すら見えず、冷たい風だけが草木を揺らす…。

 ただ淋しさが込み上げ…心を満たすものもない夜更け…。

 彼を想い…ただ想い続けて…恋しくて仕方無くなる…。

 そして、そんな自分に…虚しさを覚えるのだ…。


 所詮は…叶わぬ願いなのだ…。

 どれだけ想おうとも…。



 
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