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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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蛇姫たちの留学

 
前書き
今週GWだからマガジンの発売がないのか。なんかネタバレが更新されないなぁと不安に感じていたところでそれに気付くと言う。
タイトル的にようやく北の戦闘に入っていくのかな?バケモノ6人は個人的にガジルたちFTメンバーだと予測していたりする。アルバレスのモブキャラたちを次々倒していって「こいつら・・・バケモノかよ・・・」とか敵さんが言ってる姿が目に浮かぶ(笑)
んでセイバーとペガサスを助けてから12と戦闘・・・だと勝手に推測している私はきっと暇人だ。 

 
次の日・・・

「フフフ~ン♪」

朝ギルドに着くと、真っ先にウェンディを探す。彼女はギルドに来る時間が不安定な俺と違い、いつも通りの時間に来ているようで、今日はすでにテーブルに肘をついて何やら鼻唄を歌っていた。

「ど・・・どうしたの?ウェンディ」

なぜそんなに上機嫌なのかわからない俺は、少々不安を感じながら少女に声をかける。

「だって、すごく楽しみじゃん!!今日来る人たち考えたら」

いつにも増して可愛さが滲み出ている笑みを浮かべるウェンディ。それを向けられた俺は一瞬ドキッとした後、思わず顔を反らしてしまう。それはドキドキしたのを隠すためでもあったのだけど、本当の理由は・・・

「ヤバい・・・何の話をしてるかさっぱりわからない・・・」

彼女がなぜウキウキワクワクしているのかわからないからだ。今日来る人たちって・・・

「あ!!」

そこまで来て、ようやく何のことだか理解できた。今は交換留学の期間中。つまり、彼女が待ち遠しそうにギルドの扉の方を見ているのは、今日来る留学生たちに秘密があるんだと思う。

「今日はどこが来るんだっけ?」

昨日の一件のせいで色々と疲れてしまい、今日来るギルドを確認したはずなのに、頭から抜け落ちている。なのでウェンディに聞こうとすると、彼女はなぜか頬を膨らませていた。

「えぇ~。シリル忘れちゃったの?」
「ご・・・ごめんなさい・・・」

怒っているウェンディを見て申し訳なく思い、頭を下げながら彼女の正面に座る。確か昨日が天馬だったんだから今日は・・・

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)・・・だっけ?」
「ピンポーン!!正解!!」

人差し指を立ててニッコリ微笑むウェンディ。それに癒された俺はさっきの不安な気持ちが一瞬で吹き飛んでいた。

「ラミアってことは・・・もしかしてシェリアが来るの?」

ウェンディがこんなにワクワクしてるってことは、友達であるシェリアが留学に来るということなのだろうか。二人は大変仲がいいし、それなら彼女がこんなに上機嫌なるのも納得ができる。

「うん!!それに、レオンとラウルも来るみたいだよ!!」

ウェンディはそう言うと、昨日ミラさんから渡されたパンフレットの留学生の名前が記載されているページを開いて見せてくれる。そこには五人ほどの名前が書いてあり、その中には確かにレオン、シェリア、ラウルという名前が書いてあった。

「それでねシリル!!前言ってたこと覚えてる?」
「前言ってたこと?」

顎に手を当てて記憶を掘り起こしてみる。今このタイミングで言うということは、この三人も関わっているはず・・・それから推測すると彼女が言いたいことは・・・

「エクシードの村に行こうってこと?」
「うん!!」

大きく一度うなずきながらギルドの出入り口にもう一度視線を向ける天竜。エクシードの村にはシャルルとセシリーのお母さんがいる。彼女としては、二人が親に会うということが楽しみで仕方ないといった感じなのだろうか。

「ラウルももしかしたら、お母さんに会えるかもしれないしね」
「!!」

無邪気に笑う彼女。だが、その発言を聞いた瞬間、思わず俺は顔をひきつらせてしまった。

「あらシリル。どうしたの?そんな顔して」
「何かあったの~?」

どこかに行っていたと思われるシャルルとセシリーが、俺の顔を覗き込みながらそう言う。そうだった、この三人はあの時いなかったから、あのことを知らないんだった。

「一応・・・言っておいた方がいいのかな?」
「え?何が?」

正直悩む。楽しみにしているところ悪い気もするけど、村についてから真実を伝えられたらそれはそれでダメージが大きい。かといって、これはレオンの心に大きな傷跡を残していることでもあるから、彼の許可も取らずに他人に話していいものだろうか。

ガチャッ

腕を組んでうんうんと唸っていると、ギルドの扉が開かれる。それと同時に、知っている匂いが入ってきた。

「ここがギル―――」
「ヤッホー!!ウェンディ!!」

ギルドの説明をしようとしたマスターの言葉を遮り、こちらに手を振っている赤紫色の髪をビックテールにした女の子。話の腰を折られたマスターは、何もできずに固まっていた。

「シェリア!!」

そして名前を呼ばれた藍髪の少女は席を勢いよく立ち上がり、仲良しである天神の元へと飛んでいく。

「本当に来たんだ!!」
「うん!!ジュラさんとリオンが行ってこいって!!」

手を取り合ってキャッキャッとおしゃべりを始める天竜と天神。その少女たちを見て、マスターはどうすればいいのかわからず、固まっていた。

「シェリア・・・マスターの話聞かなくちゃ・・・」
「そこがシェリアらしいんだけど・・・」

完全にシカトされているマスターを不憫に思った留学生のうちの二人、シェリアと同い年くらいの女の子たちがそう言う。

「あ!!ごめんなさい!!」

それでようやく気付いたシェリアが簡単に謝罪する。すると、マスターはようやく口を開く。

「よいよい。友というのは良いものじゃからな」

そう言うと、何事もなかったかのようにその場から離れていくマスター。たぶん、説明するまでもないという理由もあるけど、それ以上に楽しそうな二人の邪魔をしないようにと気を遣ってくれたのかもしれない。やっぱり親心というものだろうか、優しさが心に染みます。

「こっちこっち!!来てきて!!」
「待ってよ~!!」

シェリアの手を取り俺たちの方へと引っ張ってくるウェンディ。それを見ていた後ろの女の子たちは、付いていくべきか彼女たちの邪魔をしないべきか迷っているようだった。

「お姉ちゃん!!」

すると、少女たちの元に小さな小さな妖精さんが現れる。

「あ・そ・ぼ!!」

そういって彼女たちの服を引っ張っているのはまだギルドの魔導士ではないが、よくギルドに顔を出すアスカちゃん。
そして、彼女を見た少女たちの反応はというと・・・

「「か・・・可愛い!!」」

お決まりのメロメロ状態。やはりアスカちゃんは癒し系なようで、少女たちは彼女に手を取られてギルドの奥へと連れられていく。

「あれ?シェリア、レオンとラウルはどうしたの?」

俺とシャルル、セシリーが座っている席へとシェリアを連れてきたウェンディ。彼女はもう一人の友達であるレオンたちの姿が見えないことに気付き、彼と行動を共にしている少女へと確認している。

「ちゃんと来てるよ。ほら」
「「「「?」」」」

シェリアはギルドの扉の方を指さす。そこには確かに金の髪をした少年と、その頭の上にオレンジ色の猫が乗っかっている・・・のはいいんだけど・・・

「ね・・・ねぇシェリア・・・」
「ん?どうしたの?」

こちらにゆっくりと向かってくる少年と猫を見て、俺は背筋を凍らせていた。いや、俺だけじゃない。ギルドの人たちも、二人の方をどこか怯えたような目で見ている。その理由は至って簡単だ。なぜかっていうと・・・

(ムス~)
(ヘロヘロ~)

レオンが明らかに不機嫌そうな顔をしているからだ!!しかも、ラウルは自分の力で動く気力もないのか、ただグッタリとレオンの頭の上に乗っかっているだけの状態。万が一レオンが躓きでもしたら、たぶんそのまま何もできずに落っこちることは間違いないだろう。

「あの二人・・・何かしたの?」

これはおかしい。絶対におかしい。ラウルがレオンの頭の上、もしくはシェリアの頭の上に乗っているのは日常茶飯事だ。たぶん一番収まりがいい場所なのだろう。だが、あの様子は見たことがない。ラウルが何かしているところをあまり見たことがないからなのかもしれないが、相当疲労しているのが見てとれる。
そしてもっとも違和感があるのはレオンだ。彼は普段は無表情で飄々としている。怒る時は一時的に声を張り上げたりするが、それもほんのわずかな出来事にすぎない。
なのに今は違う。俺たちが彼の姿を確認してからずっと仏頂面をしている。目もどこか虚ろだし・・・あ、それはいつものことか。

「今・・・シリル失礼なこと考えてなかった?」
「キノセイダヨ」
「なんで片言なの?」

シェリアに図星を突かれたことで話し方がおかしくなってしまった。シェリアはレオンのことが好きなんだし、おかしなことをいうと殺される可能性があるから注意しておこう。

「それで?レオンはどうしたのよ?」
「ラウルもなんかおかしいよ~?」

ここで、さっきまで傍観していたシャルルとセシリーが助け船を出してくれる。今俺は心からこいつらが仲間でよかったと思うよ、マジで。
それに対してシェリアは少し笑みを浮かべる。

「フフッ。実はね・・・」



















シェリアside

昨日から始まった交換留学生研修。あたしたち蛇姫の鱗(ラミアスケイル)は、最初は人魚の踵(マーメイドヒール)にお世話になることになったの。

「じゃ~ん!!どう?似合う?」

海に面したところにあるギルド。そこのある一室では、ある事情からあたしたちの仲間であるうちの二人が着替えをしているの。そのうちの一人、ラウルが可愛らしい薄緑色のワンピースに身を包み、あたしたち三人の前に嬉々として現れる。

「「「可愛い!!」」」

それを見てあたしたち三人は大興奮。彼のオレンジ色の髪に合わせたウィッグもギルドにあったらしく、ラウルは見た目お姫様カットの無邪気なお嬢様みたいな印象を与えられる。

「ねぇラウル。ところでレオンは?」

もう一人、ラウルと共に着替えをしているレオンのことについて訪ねる。人魚の踵(マーメイドヒール)は女性限定の魔導士。しかし、今回の留学では当然男性も来ることがある。うちでいうところのレオンとラウルがそうなんだけど、じゃあどうすればいいのかとカグラに確認したら・・・

『女装してもらっていいか?』

という結論になり、レオンとラウルは渡された衣装へと着替えているのである。

「レオンは寝癖ひどくてカツラ被れなかったから、まずはシャンプーしてくるんだって」

レオンは夜、ちゃんと髪を乾かさないで眠るから、毎朝髪が爆発している。普段から彼は髪型も整えないため、毎日ボサボサヘアになっているんだけど、今日はウィッグを被るに当たってその髪の毛が邪魔になったらしく、まずはそれを整えるところから始めているらしい。レオンはすごくカッコいいのに、女子からあまりモテないのは髪型が原因なんじゃないかな?あたし的にはライバルが出てこないからいいんだけど。

「お待たせ」

そんなことを考えていると、ラウルの後ろからカグラさんの着ている服の色違いの服を見に纏った金髪の少女が現れる。

「「「おおっ!!」」」

それを見てさらに気持ちを高ぶらせている女子三人組。レオンは小さい頃に女装をしていただけあってレベルが高い。それに、少女顔のシリルは女の子の格好に抵抗があるみたいだけど、レオンに至ってはそれが一切ない。
ゆえに、何も言われずに彼の女装を見ると、まさしく女の子を見ているような錯覚に陥るのである。

「シリルは女じゃん。完全に」
「あはは。確かに」

ただ、シリルは顔を赤くしてスカートの裾を引っ張ったりしてるから、少しエロい感じになっている。なんだか下着を穿き忘れたみたいな、そんな印象になっちゃうんだよねぇ。

「準備はできたみたいだな」

そこに、まるで図ったかのようなタイミングでカグラがやって来る。彼女はレオンとラウルをじっと見て、何かを考えている。

「これなら間違いなく男とはわからんだろうな」

一、二度うなずきながらそう呟くカグラ。彼女は二人が男とバレると、後でギルドの評判に影響が出るから、じっくりと観察してたみたい。でも留学に来たのが二人でよかったぁ。二人ともまだ幼いから、女装すれば絶対バレないもんね。

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のみんなには、接客をしておいてもらいたい」
「「「「接客?」」」」

開口早々彼女はそう言う。ギルドで接客なんて全然予想してなかった。説明を聞いていると、人魚の踵(マーメイドヒール)には一般のお客さんをもてなすレストランがあるらしく、あたしたちにはそこでウェイトレスをしてほしいとのことだった。

「俺、どんな依頼があるのか気になってたのになぁ・・・」

残念そうにため息をつく金髪の少女・・・に扮しているレオン。彼はここ最近、大魔闘演武で名を馳せたこともあり、ずっと討伐の依頼でばかり指名されている。他の依頼に行こうにも、イップスに陥っていた一年間の間に『氷の神』宛の依頼書が相当数来ていたらしく、全然消化できていないらしい。
そこで、今回の留学でレオンには骨休めと気分転換をしてもらおうとリオンとジュラさんが考えてくれたらしい。本人は依頼が溜まるのが嫌だったから首を横に振り続けていたが、やれそうな依頼はギルドのメンバーでやっておくの一言で喜んで飛び出してきたのだ。

「心配するな。ちゃんと午後には依頼を用意しておく」

ガッカリしているレオンに対し、カグラがそう言う。お昼までの時間帯が一番混み合うらしく、それまではあたしたちに手伝ってもらい、最後に何かしらの依頼をやらせてくれるらしい。

「まぁ、そういうことなら・・・」

服のどこからかチョコレートを取り出して食わえるレオン。だが、それを見た瞬間カグラがチョコレートを奪ってしまう。

「ここでは物を食わえるな、誰だかすぐにわかる」
「申し訳ない」

四六時中何かしら食べ物を食わえているレオン。大魔闘演武の時にはシリルとの最終局面でもチョコバナナを食べるというマイペースぶりを披露していた。だから何を選んだにしても、見る人から見ればこの少女がレオンだということにすぐに気付いてしまうかもしれない。それを考慮して、彼女はそう注意したのだった。

「それと・・・一人称は“私”にしてくれ」
「「・・・はい」」

どこか納得いかないような顔をしているレオンとラウル。でも、それが今回の留学で必要ならばと自分に言い聞かせ、テラスへと向かったのだった。




















時刻は夕方、そろそろ一日目の留学が終わろうとしている。んだけど・・・

「姉ちゃん!!注文お願い!!」
「はい!!すぐ行きます!!」

あたしたちはいまだにウェイトレスの仕事から抜け出せないでいた。その大きな要因は、きっと彼らにあるのだと思う。

「はい!!オムライスとナポリタンです!!」

美少女顔負けの笑顔を振り撒きながら料理を次々に運んでいくラウル。それを見たお客さんたちは、彼の絶えることない笑顔に癒されているようだった。
そしてもう一人、レオンはというと・・・

「・・・どうぞ」

ぶっきらぼうな表情で注文の品を置いていくレオン。彼は午後から楽しみだった討伐以外の仕事に行けると楽しみにしており、午前中はラウルに負けないくらいの神対応をしていた。だけど、午後もお客が途絶えず、あたしたちがウェイトレスを続けることになると一転し、無愛想な塩対応へと変化していた。

「なぁ、あの子の反応可愛いな」
「人見知りなのかな?ちょっと萌えるわ」

だが、それが結果的にその悪循環を起こしていることに彼は気付いていない。レオンが素っ気ないのは、人見知りが原因だと勘違いしている人たちが、その反応を見たくてお店に押し寄せている様子。そのせいで本来人手がいらなくなる時間も忙しくなっており、依頼へと向かうことができなくなっているのだ。

「あれ?君ラミアのシェリアだよね?なんでマーメイドに・・・」

さらに、留学生として他のギルドのあたしたちが来ていることも原因の一つかな?普段は会うことができない他所のギルドの魔導士に会えるとあってか、普段はギルドに来ない人までやって来ているらしい。たぶん、留学生が来ている間は、どこのギルドも同じようなことになっているんだろうなぁ。

「レオン、もう少し笑顔でやってみよ?ね?」
「・・・やだ」

あたしが魔法学校に入学した時にクラスメイトだった子。彼女は魔法学校をつい先日卒業し、あたしとレオンがいる蛇姫の鱗(ラミアスケイル)にやってきた。レオンの初めての女装を見せたことがある子だから、それなりにレオンとの関わりも深い。だから明らかにやる気のない彼に注意してくれたのだけど、レオンはそっぽを向いて不機嫌そうにしている。

「レオン、あと少しで終わるから。ちょっとだけ・・・」

もう一人のあたしの友達で留学生の彼女がそう声をかけるが、レオンはプイと顔を背ける。レオンの女装を初めて見せた五人の友達は全員卒業すると同時にうちに加入した。レオンもあの一件があり、全員と仲良く話せるんだけど、今回は相当楽しみにしていたらしく、なかなか機嫌が直らない。

「う~ん・・・あ!!」

どうしようか頭を悩ましていると、ふと名案が思い付く。不機嫌な少年の前に向かうと、彼の手を掴む。

「レオン。明日は妖精の尻尾(フェアリーテイル)でしょ?きっとウェンディとシリルがいい仕事用意してくれてるから。ね?」
「・・・うん」

彼の友達である二人の名前を出すと、彼はまだ口をへの字にしたままであるが、うなずいて仕事へと戻っていく。

「さすがシェリア!!レオンのことよくわかってるね!!」
「やっぱり“愛”って奴なの?」

すると、レオンに相手にしてもらえなかった二人がそう茶化してくる。そう言われたあたしは、照れて顔を赤くしている。

「そ・・・それはいいでしょ!!ほら!!あたしたちも仕事に戻ろう!!」

なんとか誤魔化しながら仕事へと戻っていくあたしたち。そして時間になり、マーメイドでの留学が終了する。

「レオン・・・すまなかったな」
「別に・・・」

カグラが明らかに不機嫌なレオンに謝罪をすると、そっぽを向きながらそれに答えるレオン。よほどやりたいことがあったのであろう彼は、最後まで不機嫌さを露にしたまま人魚の踵(マーメイドヒール)を後にした。

「はにゃ~・・・疲れたぁ・・・」

一方皆に笑顔を振り撒き続けていたラウルは、レオンの頭の上で目をぐるぐると回し、疲労した体を休めながら次のギルドである妖精の尻尾(フェアリーテイル)へと向かったのであった。

























シリルside

「レオン・・・向こう出た時からそんなだったんだ」
「ラウルもずっとそれで来たんだね」

シェリアの隣にちょこんと座っているレオンとラウルにそう言う俺とウェンディ。でもレオンがそんなにやりたい依頼ってどんなのかな?すごく気になる。

「それで?レオンは何がしたかったの?」
「うちで出来ることなら一緒にやるよ~」

シャルルとセシリーが彼のことを考えてそう質問する。すると、レオンはボソッと呟いた。

「旅行・・・」
「「「「え?」」」」
「旅行のお供に行きたかった」

最初は何を言っているのかわからなかった。だけど、彼の説明を聞いているとゆっくりではあるがどういうことなのか理解してくる。
何でも人魚の踵(マーメイドヒール)には、旅行に行きたいけど一人では不安という人が、一緒に行ってほしいという依頼が来ることがあるらしい。レオンはそれについていって、出来ることならその旅先の特産品を食べてみたいと思っていたらしい。

「レオンらしいね」
「そうだね」

何かを食べたいと思っている辺りが大変レオンらしい。なんだかそれが逆に面白くて、クスッと笑ってしまった。

妖精の尻尾(フェアリーテイル)にそんな依頼って来るの?」
「ううん」
「見たことないな」

シェリアの問いに首を振る。それを見たレオンはガッカリとうなだれている。どんだけ物食いたいんだよ、こいつ。

「ねぇレオン。依頼じゃないんだけどさぁ」
「よかったら、ちょっとお出掛けしてみない?」
「え!?」

どこかに遠出してみたいということならと声をかけてみると、さっきまでとは打って代わり、目を輝かせている金の少年。

「この近くにエクシードの村があるの」
「ラウルもいるし、一緒に行きたいなぁって思っててさ」

アースランドにやってきたエクシードたちは、比較的マグノリアに近い場所に村を作ったと聞いている。たぶんシャルルとセシリー、そしてハッピーの親がいつでも子供の顔を見れるようにと考えてのことなんだろうな。

「いいねそれ!!面白そう!!」
「ラウも行きたい!!」

席から勢いよく立ち上がるシェリアと意識を取り戻したラウルがそう言う。

「二人が行くなら俺もいこっかな」

口ではそう言うものの、完全に楽しみにしている目をしたレオン。これで決まり!!と言いたいけど、他の留学生たちを置いていっていいのだろうか。
そう思い彼女たちの方に目を移す。すると、彼女たちはリクエストボードの前で何やら依頼を見ていた。

「アスカこれに行きたい!!」
「え!?大丈夫なの!?」
「君魔導士だったの!?」

アスカちゃんが背伸びしながら依頼書を指差しており、困惑している少女たち。それを見てアルザックさんとビスカさんが三人の元に向かっているのを確認できた。

「向こうも大丈夫そうだね」
「やっと留学っぽいことしてるな」

もういつでも行ける準備が整っているシェリアとレオン。あっちはアルザックさんたちに任せておけば大丈夫だろうし、俺たちは俺たちで行動していいだろ。

「じゃあ俺、マスターに一応断っておくから、先に駅に行ってて」
「「「「「了解」」」」」

レオンたちを連れていくからマスターに断りをいれておこうと彼の元へと向かう俺。エクシードのみんなは元気かな?スッゴク楽しみ!!












 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
エクシードの村で少々やりたいことがあるため、蛇姫の留学二話目に続いていきます。たぶんあと二、三話くらいやる予定ですので、あらかじめご了承ください。 
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