とある3人のデート・ア・ライブ
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第7話 終わりの始まり
正直、言葉が出なかった。
士道も。琴里も。美九も。佐天も。令音も。上条も。
そして、今まで起こったことに。
全て説明がつく。
柑果「ま、要は上条当麻は選ばれたのさ。君達が言う『幻想殺し』にね」
ようやく理解した。
どうして魔術師が上条当麻を狙うのか。
どうして禁書目録は上条当麻の『幻想殺し』を知らなかったのか。
どうして魔術科学関係なく打ち消せたのか。
それは魔法式が無い魔術だから。
それは魔道書に載せることができなかったから。
それは全て魔術と科学の基盤となった魔法を打ち消すようにされていたから。
柑果「上条当麻を利用した……って言っても不思議じゃないよ。私が自分の身体を取り戻すために彼の魔力を使ってるからね」
上条「いや……それは別にいいんだけど」
正直頭がこんがらがっている。
加えてこの場で魔術の存在を明確に理解しているのはこの場においては上条だけだ。他の者は……特に佐天はいきなりそんなことを言われて理解しろと言われても無理があるだろう。
柑果「とりあえず全部説明したよ。まあ皆にはあまり縁のない話だから気にする必要はないさ」
琴里「……そうね。私達は『精霊』を専門としているもの。魔術という物があるということだけ覚えとくわ」
柑果「君達はその認識でいいよ。上条当麻はある程度理解して欲しいけど」
確かに禁書目録と出会ってから色んな魔術師と出会った。
果てには神の右席やら魔神などにも出会い、上条は色んな考えをするようになった。
自分の価値観を無闇に他人に押し付けてもいいのか。
それで誰かを傷つけてしまったらどうしようか。
そういう意味においては上条は士道と似ている。
それは、上条が第三次世界大戦に巻き込まれる前の自分を見ているようだった。
士道はいつか自分みたいに……迷う時が来るのだろうか?
その時、上条はどういう選択をするのだろうか?
柑果は上条に創られた身体だったが、凜祢のように直ぐに戻らず、暫くこの世界のことについて調べるそうだ。
もちろん歴史の流れを理解すると共に、友人のソフィを探すことも含めて、だそうだ。
明日も学校があるし、上条は今日は早めに寝る事にした。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「………」
彼女は一人でコンソールをカタカタと操作していた。
外はもう既に暗く、時間も遅いので周りには誰にもおらず、コンソールを叩く無機質な音だけがこの場を支配している。
と、いきなり後ろの自動ドアがウィーンという音を立てて開いた。
「………誰だ?」
彼女ーー村雨令音はパソコンを操作する手を止めて後ろを振り向く。そこには先ほどの少女がいた。
柑果「………少し聞きたいことがあってね」
今日、我々の住む世界とは別次元の話をしていった神代柑果だ。
令音「………ほう?何だね?」
柑果「………なんかこの世には『科学』と『魔術』以外にもう一つ、『精霊』という分類が存在してるんだけど……どういう存在なの?」
令音「ふむ……それを一言で説明するのは難しいな。映像を見てもらった方がいいだろう」
と、令音はまたパソコンの方へ向き、操作し始めた。
すると、突然大きなモニターが上からゆっくり現れた。
この部屋の電気の照明が暗くなり、映像が見やすい状態になった。
そして映し出されたのはーーまだ封印される前の夜刀神十香だ。
続いて四糸乃、時崎狂三、五河琴里、八舞耶倶矢、夕弦、誘宵美九。
今まで士道が出会い、封印してきた精霊の映像が流れた。
令音「………これで満足かね?」
柑果「………赤髪の女の子の、子供の頃の映像をもう一回」
令音「………?構わんが」
令音が映像を巻き戻し、謎のノイズと琴里が接触する瞬間の映像を見せた。
柑果「………あのノイズは?」
令音「………あれは『ファントム』さ」
柑果「『ファントム』?」
令音「あぁ。彼女が琴里と美九に精霊の力を与えたのだよ」
柑果「………どういうこと?その他の子たちは違うっていいかただね」
令音「そうだ。他は『純精霊』で琴里と美九だけが人間から『精霊』になったのだよ」
柑果「………『純精霊』?人間以外に『精霊』という種族がいるの?ならその琴里や美九って子はどうやって『精霊』になったの?」
令音「………《霊結晶》という核があるのだよ。それには『天使の力』があり、それが『精霊』の源となっている。『精霊』の種族があるわけではないが」
柑果「『天使の力』……じゃあ他の『精霊』もそうじゃないの?」
令音「そうだ」
柑果「じゃあ『純精霊』も人間から《霊結晶》を埋め込まれて精霊になったんじゃないの?」
令音「………記憶が無いのさ」
柑果「記憶?」
令音「あぁ。精霊になる前の記憶が無いらしい。だから彼女達は生まれた時から″そうだったんだ″と思っているらしい」
柑果「……」
令音「そんな彼女達を我々は『純精霊』と呼んでいる。君の考えてる通り、彼女達も元は人間だったという可能性もあるが、記憶が無いという事実がそれを低くしている」
柑果「……まさか、ね」
令音「ん?どうかしたのか?」
柑果「………いや、何でもない」
令音「そうか。満足かい?」
柑果「……不意に落ちない所もあるけど、色んな事が分かったよ。ありがとう。仕事中に悪かったね」
令音「構わんさ。さて、もう夜も遅いし私も帰るとするよ」
と言うと、パソコンの電源を落として椅子から立ち上がる。
柑果「仕事はいいの?」
令音「今日はこの辺にしておくよ。私も疲れたしね」
柑果「そう」
令音が歩き出したので柑果もそれを追いかけるように歩き出す。部屋のライトも消して、二人は〈フラクシナス〉を後にした。
後書き
柑果さんは何かに気づいた模様。
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