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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十八話 出発前にその一

                 第六十八話  出発前に
 僕も合宿へ行く準備を進めることにした、合宿に持って行くべきものはもう顧問の先生達が合宿の手引きを配って教えてくれていた。
 その手引きを見てだ、僕は思った。
「何かこれは」
「ああ、そのままな」
「完全に修学旅行だよな」
「それのハンドブックだな」
「そうだよな」
 周りの同級生達も言う。
「これってな」
「去年もそうだったしな」
「今年もか」
「ひょっとして一緒か?」
「一緒の手引きか?」
 去年の合宿の時もとだ、僕達は思ってひそひそと話した。けれど。
 日付を見ているとだ、それはだった。
「今年になってるな」
「ちゃんと毎年訂正してるか?」
「ちゃんと」
「そうしてるのか?」
「当たり前だろ」
 顧問の一人栗橋先生がだ、僕に言って来た。
「ちゃんと毎年作ってるぞ」
「あっ、そうですか」
「居ねと同じじゃなくて」
「そこはですか」
「しっかり作ってますか」
「そうだよ、そうしないとな」 
 それこそと返す先生だった。ちなみにこの先生は体格は普通だけれど仇名はヘラクレスだ。何でも昔同じ苗字だった野球選手がその仇名だったからしい。
「御前等も困るだろ」
「はい、確かに」
「そうですね」
「行く場所同じでもすること違いますし」
「そこはしっかりしてますね」
「毎年訂正してますね」
「そうだ、だから安心しろ」
 栗橋先生は僕にまた言った。
「その手引きを読めば御前等は安心してだ」
「合宿に行ける」
「そういうことですね」
「それじゃあですね」
「この手引きをしっかり読んで」
「合宿に行けばいいですね」
「そうだ、あとちゃんと書いてるな」
 先生は僕達にその手引きの最後のページを見せながら僕達に言って来た。
「飲み過ぎ、不純異性交遊はだ」
「はい、そうしたことはですね」
「するなって書いてますね」
「ちゃんと」
「遊び過ぎるなって」
「そうだ、ちゃんと守れ」
 こう書いてあった、確かに。
「毎年本当に飲むからな」
「まあ俺達実際に去年飲んでましたからね」
「もうガブ飲みで」
「飽きる位に」
「無茶苦茶飲んでますからね」
「それが毎年だからな」
 それでというのだ。
「書いてるんだよ」
「で、それでもですね」
「毎年飲み過ぎてる」
「そうなんですね」
「そうだよ、俺この部活の顧問になって八年だがな」
 栗橋先生は今は三十歳だ、つまり八条高校が最初の赴任先で今もこの学園で勤務をしているのだ。 
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