八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十七話 合宿の前にその九
「日本酒だよね」
「ああ、日本酒美味しいんですね」
「そんこともあってですね」
「女子軽音楽部飲むんですか」
「それこそ浴びるみたいに」
「僕が見ても驚いたから」
かく言う僕も飲む自信がある、そしてだ。
そのうえでだ、僕はこう言ったのだった。
「うちの親父よりちょっとまし位だから」
「あの親父さんですか」
「毎日酒池肉林のですね」
「その人よりちょっとまし位ですか」
「先輩のお父さんって相当な人ですよね」
「僕達も聞いてますよ」
とにかく有名人だ、うちの親父は。学校の中でも親父がどれだけ破天荒で滅茶苦茶な人間か知れ渡っている。
「お酒普通に一日二升以上とかですよね」
「飲まれるんですよね」
「その親父さんよりちょっとましですか」
「そのレベルですか」
「うん、急性アルコール中毒になる勢いだから」
本当にその勢いで飲んでいる、あの娘達は。
「そして酒癖悪い娘も多いからね」
「その二年の先輩達はですか」
「凄いんですね」
「そこまで飲んだら駄目だよ」
僕は念を押した。
「そこは気をつけてね」
「わかりました」
「飲んでも飲み過ぎるな」
「うわばみみたいにはですね」
「飲むなってことですね」
「そうだよ、それに牡蠣もあるけれど」
広島名物の貝だ。広島はこれも外せない。
「こっちもどんどん出るからね」
「ああ、牡蠣ですか」
「あれ美味しいですよね」
「牡蠣いいですよね」
「最高ですよね」
「それとお好み焼きはね」
僕はこの料理の名前も出した。
「間違ってもあっちで広島焼きって言ったら駄目だよ」
「こっちの基準で、ですね」
「そう言ったらアウトですね」
「向こうじゃこっちのお好み焼きを大阪焼きって呼ぶんですよね」
「だからですね」
「そう、お好み焼きにも気をつけてね」
くれぐれもと言うのだった。
「そのことは」
「そこはこだわりですね」
「本当に」
今僕と話している後輩の子達は皆関西の子だ、それでお好み焼きといえば関西のお好み焼きだ。このことはこだわりだけれど強いこだわりだ。
「そこは」
「そのことは」
「うん、阪神の話はしていいけれど」
「お好み焼きの話はですね」
「厳禁ですね」
「お互い引かないからね」
それこそだ。
「そのことは」
「ですね、何か」
「大阪と広島でありますよね」
「お好み焼きについて」
「野球以上に」
「野球はね」
広島と阪神はだ。
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