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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十七話 合宿の前にその一

                 第六十七話  合宿の前に
 僕達八条荘の入居者全員で夏の旅行に長崎に行くことが決まっている。けれどその旅行とはまた別にだ。
「部活の方でもですね」
「はい、行ってきます」
 朝食前にだ、僕は畑中さんにそのことを話した。
「江田島の方まで」
「部活の合宿ですね」
「大体うちの学校の部活はそこでします」
「江田島で、ですね」
「そうしています」
「そうですか、あの島はです」
 江田島と聞いてだ、畑中さんは僕にこう話した。
「とてもよい島ですね」
「去年も行きましたけれど」
 部活の合宿でだ、その前にもあの島には何度か行っている。
「いい島ですよね」
「風光明媚で夏は心地よい暑さです」
「それでいい汗がかけるんですよね」
「しかも歴史もあります」
「はい、海軍の歴史もですよね」
「海軍兵学校がありました」
 帝国海軍の士官になる人達を育てていた学校だ、映画にもなっているけれどとにかく厳格な教育を行っていたことで知られている。
「そして今は海上自衛隊幹部候補生学校です」
「そこでもですよね」
「将来の海上自衛隊の士官、幹部の方々を育てています」
「そうした場所ですよね」
「まさに歴史そのものです」
 海軍、そして海上自衛隊のというのだ。
「そこに行かれることはよいことです」
「そうですよね」
「八条家の方にもあそこに行っておられた方がいまして」
「それで海軍士官になられたんですよね」
「そうした方もおられました」
「八条家は海軍とも縁があったので」
 海軍の艦艇を建造していたこともある、今はもう昔のお話だ。
「それで帝国大学に行かれずに」
「兵学校を受験して合格されて」
「卒業されています」
「何か一族の中で一番出来た人らしいですね」
 学校の勉強だけでなくて人間としてのレベルもだ。一族の中で神童とまで言われた位の人だったらしい。
「その人が兵学校を受験されて」
「通られてです」
「何か一族でもその人だけだったとか」
 兵学校に入学して卒業してだ、海軍将校になった人は。
「そう聞いていますけれど」
「実際にです」
「その人だけですか」
「はい、そうです」
「じゃあ余計にですね」
「あの方は凄かったのです」
「確か当時の兵学校は」
 僕はその海軍兵学校の話もした。
「それこそ東京帝国大学より入ることが難しかったんですよね」
「そして卒業も」
「訓練とか規律も厳しくて」
「無論学業の方もです」
「だからですよね」
「入学も狭き門でしたが」
 それと共にというのだ。
「卒業もです」
「難しかったんですね」
「これは今もです」
「幹部候補生学校もですね」
「入ることも難しいですが」
 そもそも軍隊の指揮官を育てる場所だ、入学が難しくて当然だと思う。
「卒業もです」
「そちらもですね」
「今も厳しいです」
「そうした場所なんですね」
「そうです、あの学校は違います」
「入学が難しい学校はありますね」
 例えば東京大学だ、何と言っても日本で最難関の大学だろう。 
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