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笑顔の戦士と絶望に抗う戦士

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4話

 
前書き
ご都合主義全開です。

前回のあとがきで書き忘れたので、悟飯の道着について説明を。
アニメでは悟飯の道着には、「飯」の文字が書かれていますが、こちらでは「魔」の文字になっています。
これは作者的に、道着は父である孫悟空の、魔の文字は師匠であるピッコロの様に強くなりたいという、悟飯の決意の表れにしたいと思い、こう言った仕様となりました。ご了承ください。 

 
「どうなってやがる」
ウルフルンは驚愕していた。
バッドエンド空間にいる人間は、自分自身の未来に絶望し、戦意どころか生きる意志さえも喪失させる事も可能だ。
仮に戦意を保てたとしても、この世界の人間では自分とアカンベーに勝てるわけが無い。向かって来たところを叩き潰し、さらなる絶望に落とし込めば、より良質なバッドエナジーを得ることができる。
むしろ、向かって来てくれた方が自分達にはありがたい。絶望した分だけ皇帝ピエーロ様の復活が早まるのだから……だが、

目の前の、アカンベーを圧倒する少年を見て、ウルフルンは自分の考えが間違っていたのかと思い始めていた。




「(…大した事は無いな)」
それが今現在、相手をしているアカンベーに対して、悟飯が抱いた感想だった。
確かに図体がでかいだけあって一撃の威力は高く、普通の人間が喰らえばひとたまりもない。そして、図体の割にスピードも悪くない……だが、それだけだ。
自分が今まで戦ってきた敵、ナッパ、ベジータ、ギニュー特戦隊、フリーザ、そして人造人間、それらに比べれば弱すぎる相手だ。
仮に、アカンベーの攻撃が直撃しても大したダメージも受けないだろう。

「そろそろ終わらせるぞ」
これ以上観察する必要はない、と結論づけた悟飯は次の一撃で終わらせる為、かめはめ波の構えをとったその時、自分かの後方で強い力を発動したのを感じた。
目を向けてみれば、十数メートル先にピンク色の光の柱が、天に向かって伸びていた

「何だこれは」
光は徐々に治まっていき、完全消え去った後そこには一人の少女が立っていた。
髪は三つ編みのツインテール、髪の色と服の色はピンク、頭には羽の付いたカチューシャを着けており、胸元には大きなピンク色のリボン、丈の短いスカートを着用し、ブーツはすそを折り返したひも付のロングブーツを履いている。
「……みゆき、か?」







「……すごい」
みゆきは悟飯とアカンベーの戦闘を見て、ありきたりだが、そんな言葉しか思い浮かばなかった。
アカンベーの攻撃は悟飯に一切当たらず、逆に悟飯の攻撃が当たるたびに、アカンベーは数十メートルは吹き飛ばされる。

「悟飯君って、何者なんだろう?……ひょっとして、世界の平和を守る為に現れたスーパーヒーローとか!?」
後で聞いてみよう、とみゆきは思った。

「もう大丈夫だよ、キャンディー。悪いオオカミさん達は、悟飯君がやつけてくれるから!!」
抱きしめているキャンディーを安心させようと、笑顔を浮かべながら言葉をかける。
しかし、キャンディーの表情は優れない。何か焦っている様にみゆきは感じた。

「どうしたの?キャンディー?」
怪訝思ったみゆきは、キャンディーに尋ねた。するとキャンディーは焦った様にみゆきの問いに答える

「このままじゃ、悟飯がアカンベーをたおしちゃうクル!!」

「え?それの何がいけないの?」
あのレンガのお化けを倒す事の何処に不都合があるのか、みゆきには分からなかった。

「アカンベーはプリキュアの癒しの力で浄化しないとキュアデコルを回収できないクル!!」

「キュアデコル…」
そう言えば、あのオオカミさんもキュアデコルがどうとか言っていたな、とみゆきは思い出した。

「それが無いとマズイの?」

「キュアデコルが無いとロイヤルクイーン様が復活できないクル!!」

「ロイヤルクイーン様?」

「キャンディー達が住んでいる、メルヘンランドの女王様クル!」
キャンディーはメルヘンランドがバッドエンド王国に侵略を受けたこと、バッドエンド王国の皇帝ピエーロは封印したが、クイーンは力の源であるキュアデコルを奪われ、ピエーロ同様に封印されたこと、その直前にプリキュアの力を地球に送り、自分はプリキュアの探索とキュアデコルの回収を命じられたことを話した。

「え?じゃあ、クイーン様の力の源であるキュアデコルを回収しないと……」

「クイーン様はずっと封印されたままクル!!」

「えぇ!?不味いよそれ!!」

「だから焦ってるクル!!」

「そのプリキュアって人は何処にいるの!?」

「……分からないクル。でも、この町のどこかにいるのはわかるクル!」

「この町のどこかって……」
みゆきは考える。
ロイヤルクイーン様の封印を解くには、キュアデコルの力が必要で、そのキュアデコルはバッドエンド王国の人達が持っている。
しかも、そのキュアデコルをアカンベーを生み出す事に使っていて、回収する為には倒すしか無い。
でも、ただ倒すだけじゃあキュアデコルは回収出来ず、回収する為にはプリキュアの癒しの力が必要。だけど、そのプリキュアがどこにいるか分からないし、探している時間も無い。

「……もう…クイーン様の事はあきらめるしかないクル」

「キャンディー?」
耳を疑う言葉だった。
キャンディーは自分の世界の女王様を助ける為に、メルヘンランドを救う為に、たった一人でこの世界まで来た。プリキュアの協力を得られれば、それが叶うと信じて……それを諦めると言ったのだ。

「キュアデコルが回収出来なくても、アカンベーを倒すことが出来るならそれでいいクル。悟飯にお願いして一緒にバッドエンド王国のみんなを止めるのに協力してもらうクル」

「……キャンディー」
みゆきは強く自分の唇をかんだ。
自分は何をしているんだ?こんな小さな子が、ここまでの覚悟を決めているのに自分には何もできない。一人だけで知らない世界に来て、不安だったはずだ。怖かったはずだ。それでも諦めずにここまで来たんだ。
自分に何か出来ないのか?キャンディー達を、メルヘンランドの皆をハッピーにする方法を……

「……プリキュアの力…」

「クル?」
みゆきの呟きにキャンディーが振り返る

「プリキュアが見つからないなら、わたしがプリキュアになる!!」

「…みゆき」
みゆきは願う。強く、強く、皆を救う力を

「お願い!ロイヤルクイーン様!わたしに力を!皆を救う為に!皆を笑顔にする為に!皆をハッピーにする為に!!」
みゆきの心からの叫びは、自身を包み込むピンク色の光によって体現された。

「これって…」
自身を包み込む光に驚愕するみゆきの手元に一つのアイテムが現れる

「スマイルパクトクル!!みゆき、これはプリキュアの変身アイテムクル!!」

「え?それじゃあ……」

「みゆきはプリキュアに選ばれたクル!!」
キャンディーの言葉に、みゆきは驚きながらも内心は喜びに打ち震えた。自分の願いが届いたのだと

「キュアデコルをスマイルパクトにセットして、『プリキュアスマイルチャージ』って叫ぶクル」

「うん!プリキュアスマイルチャージ!!」
ここに伝説の戦士である一人目のプリキュア『キュアハッピー』が誕生した。









「……みゆき」
悟飯は驚愕していた。髪型や髪の色、服装まで違うが、この少女はみゆきだと悟飯は気で感じ取っていた。みゆきの気に変化は無い。一般人のそれだ。だが、みゆきの中に気とは違う、別の強大な力がある事を感じ取った。

「キラキラ輝く未来の光、キュアハッピー!」
ビシィ!と決めポーズを決める、みゆき改めキュアハッピー

「………」

「………」

「………」

「悟飯君!」

「え!?あ、ああ」

「わたしも手伝うよ!」
全員が呆気にとられる中、ハッピーの呼びかけにいち早く我に返った悟飯は、彼女の言葉に驚愕する

「アカンベーは、プリキュアが倒さないと駄目なの」

「え?それはどういう…」
ハッピーの言葉に、悟飯は問いただそうとするが、その前に

「行け!アカンベー!」

「アカンベー」
ウルフルンの指示により、アカンベーが襲いかかってきた。

「ーッ!来い!」
悟飯は構えるが、アカンベーはジャンプして悟飯の上を通り越し、ハッピーへと向かっていった。


「え?…う、うわァァァァ!こっち来たァァァァ!」

「ちッ」
アカンベーはそのまま右拳を、ハッピー目掛けて振り下ろす。その一撃はアスファルトを砕き、辺りに粉塵が舞う。
そして、粉塵が晴れた時、そこには誰もいなかった。



「ふぅ、ヤバかったな。間に合って良かった」
悟飯はハッピーを抱えたまま、数百メートル上空で静止していた。あの時悟飯は、超スピードでハッピーの元へ行き、武空術で飛び上がったのだ。

「おい、みゆき。いい加減に目を開けろ」
悟飯は恐怖で目を瞑るハッピーに声をかける。

「う?ご、悟飯君?……って、浮いてる!浮いてるよ!」
自分の状況を理解したハッピーは、あまりの高さに驚き、悟飯に強く抱きついた。

「みゆき。大丈夫だから、落ち着け」
ハッピーを落ち着かせようとする悟飯にキャンディーが声をかける

「ア、アカンベーが来たクル!!」
目を向けると、アカンベーは跳躍してこちらに向かってきていた。

「ふッ!!」
悟飯はそれを目から気合い砲を放つことで、再び地上に叩き落とした。

「……すごい」
悟飯の力を目の前で見て、改めて悟飯の凄さを実感した

「それで、さっきの話の続きを聞かせてくれ」

「あ、うん。えっとね…」
ハッピーは、キャンディーから聞いた話を全て悟飯に話した。
ロイヤルクイーンの事、キュアデコルの事、バッドエンド王国の事、プリキュアの事、

「……なるほどな。そういう事なら俺がアカンベーの動きを止めるから、みゆきにはトドメは任せる」

「うん!頑張るよ!……だけど、どうやってアカンベーを倒すの?」

「ハッピーシャワーで浄化するクル」

「ハッピーシャワー?何それ?」
知らない単語に首をかしげる。

「プリキュアの癒しの技クル。これが当たれば、一発でアカンベーを浄化出来るクル!!」

「何それ!すご〜い!よし!頑張るよ!……あ、悟飯君。プリキュアの時は『みゆき』じゃなくて『ハッピー』って呼んでよ」
やる気満々の顔から一変、不服そうに口を尖らせる

「え?あ、ああ。分かった」
よくは分からなかったが、本人がそうして欲しいならそうしようと了承した。

「それじゃあ、地上に降りるぞ。しっかり掴まってろよ」

「うん!…………ん?」
悟飯の言葉に元気よく頷いたが、掴まっていろという言葉に疑問を憶え、自分の状況を再確認する。そして、理解した。

「(こ、これは、お姫様だっこという奴では!?)」
『お姫様だっこ』
それは、女の子なら誰もが憧れるシチュエーションだと、彼女は思っている。

「(し、しかも、空を飛んでるうえに、すごく強いスーパーヒーローみたいな人に)」
勿論、誰でも良いわけではない。全く好意のない相手にやられても、逆に嫌悪感が湧き出るだろう。
その点、悟飯は問題なかった。出会って1日も経っていないが、それでも良い人なのは分かったし、自分とキャンディーを守ってくれた。嫌う要素など無い。

「(うぅ、そう考えると、顔がすごく熱くなってきたよ〜)」
きっと今、自分の顔は真っ赤になっているんだろうと容易に想像がついた。
そして、案の定
「どうした?ハッピー。顔が赤いけど、何かあったか?」

「ーッ!な、なんでも無いよ!大丈夫!!」

「?そうか、なら良いけど」
ハッピーが自分を落ち着かせている内に、悟飯はハッピーを抱えて、地上に降りた。





「ようやく降りてきやがったか。まさか、空が飛べる人間がいるとは思わなかったぜ」

「……よし、みゆき、始めるぞ」

「うん!」
ウルフルンの言葉を無視し、悟飯は両手を開き、顔の横に持っていく。

「何だ?…まあいい。やれ!アカンベー!」

「アカンベー」
悟飯の様子に怪訝な顔をしながらも、アカンベーに指示を出すウルフルン
そして、迫り来るアカンベーに対して、悟飯は技を放った。

「太陽拳!!」
その瞬間、強烈な光が悟飯の身体から放たれ、あまりの強い光にウルフルンとアカンベーは、一時的に目を潰された。
当然、その隙を見逃す訳もなく
「今だ!ハッピー!」

「うん!ハッピーハッピーハッピーシャワー!」

「しまった!」
目がくらんでいるアカンベーに、ハッピーの技を躱せるわけもなく、アカンベーは浄化される……はずだった。

「………あれ?」

「……………」
しかし、何も起こらなかった

「ハッピーシャワー!ハッピーシャワー!ハッピーシャワー!」
色々なポーズを取り、技を出そうと試みるが、何も出ない。

「……………なぁ、ハッピー」

「ちょ、ちょと!どうなってるのよ!キャンディー!」

「気合いが足りないクル」

「絶対うそ!わたし、超やる気だったもん!だから今、超恥ずかしいもん!」

「ハ、ハッピー、落ち着け」
悟飯がハッピーをなだめようとするが……

「くそ!舐めた真似しやがって」

「アカンベー」

「「「あ」」」
そうこうしている間に、ウルフルンとアカンベーが視力を取り戻していた。

「やっちまえ!アカンベー!」

「アカンベー」
ウルフルンが指示を出すと、アカンベーは高速で口からレンガを連射して吐きだした。


「うわっ!」

「ハァ!」
ハッピーに向かってきたレンガの群れを、悟飯はハッピーを庇うように前に出て、すべて叩き落とした。

「ハッピー!攻撃は俺が防ぐから、スマイルパクトに気合いを込めるんだ」

「う、うん!気合いだ!気合いだ!気合いだ!気合いだあぁぁぁ!」

すると、スマイルパクトが光り始め、ハッピーの気合いを吸収していった。

「悟飯君!」

「!!」
ハッピーの呼びかけを合図に、悟飯は上空に飛び上がる

「プリキュア!ハッピーシャワー!」
ハッピーが放ったピンク色の浄化の光が、アカンベーに直撃した。

「アカンベー!」
すると、アカンベーは光と共に消え去り、それと代わるように上からイチゴのキュアデコルが落ちてきた。

「な…何これ、すっごい疲れた……」

「ハッピーシャワーは、とてもパワーを使うクル」

「さ、先に言ってよ〜」
疲れ果てたみゆきは、その場でへたれこむが、ある事に気付き、辺りを見渡した。

「あれ?悟飯君は?」

「クル?」






「まさか、アカンベーが消されるとはな。プリキュアめ」
ウルフルンは忌々しそうに、ハッピーを上空から眺めている。

「けっ、まあいい。次はこうはいかねぇ」
次は自分が勝つ、と決意を新たにし、立ち去ろうとした時、背後から声がかかった。

「何処に行くつもりだ?」

「!?テメェは!」
ウルフルンは振り向き、目の前の少年を睨め付ける。

「聞きたいことがある、答えろ」

「ハン!テメェに話す事はねぇよ」

「そうか。なら、力尽くでも答えてもらうぞ!」
そう言って悟飯は、高速でウルフルンに接近し、手刀を放つ

「!?」
しかし、その攻撃は空を切り、辺りを見渡してもウルフルンを発見できなかった。

「(超高速で移動した訳ではない、奴の気配が完璧に消えた……お父さんと同じ瞬間移動のような技か)」
厄介だな、と悟飯は思う。

「(捕まえるのは骨が折れそうだ……だが、今はそれよりも)」
悟飯は地上から、自分に向けて手を振っている、キャンディーとハッピーに目を向ける

「色々と説明してもらわないとな」
そう言って、苦笑しながら二人の待つ地上へと降りていった



































































































 
 

 
後書き
私はスマイルプリキュアの中で、一番キュアハッピー(星空みゆき)が好きです。以上!! 
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