デート・ア・セブン~七つの大罪と美徳~
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狐珀アマルティア
強欲の目覚め
前書き
やぁ。たった2日なのに70人以上の人に見てくれてありがとうございますとしか言えません~(泣)
え、えっと、今回は意外と疲れました。どう表現するか、結構ね・・・
ではでは第二話「強欲の目覚め」始まります(このタイトル考えるのに一番時間をさいたなんて口が裂けても言えない)
「じゃぁ行ってくる。鍵閉めよろしく」
狐珀はニュースで今日一日の天候と今までの事件等のニュースを一通り見終えた後、士道の財布をお借りし、昨日履いていた靴を続けて履き、手を振る。
隣にはフンフンと鼻歌を歌いながら外出を楽しみにしている美少女、十香が居た。
何故、彼女もいるのかというと、未だここの地域に慣れていない為、どうせなら狐珀に慣れるのと同時に地理を覚えちゃえ!・・・・・・とかなんとかいう理由を士道と琴里にこじつけられ、嫌な気はしなかったので、まぁいいだろうということで承諾した。
「ん~、行ってらっしゃ~い」
リビングから適当に返事する琴里の声が聞こえる。
琴里は今、星座占いや血液型占い等の占いをハシゴしている為、外出者に返答する時間がないのだ。
「では行くぞ!狐珀よ!」
「キツネでいい」
「キツネ~?」
十香は口をへの字にして腕を組み、首を傾げた。
「耳は生えてないぞ?」
「・・・理由は後でお話しま~す」
「ふ、ふむ・・・」
あまり納得していない様子だが、また元気になったのか、扉をガチャリと開け、相変わらず太陽が照らす外の世界へと踏み出した。
あれから100mばかし離れた場所にある天宮商店街。いつもスーパーで買うよりも値段が安く、稀に面白食材やレア物が手に入る。肉屋であれば羊や山羊の肉。魚屋であれば稀に、深海魚とかもやって来る。野菜屋だと紅色の大根や紫色の人参・・・といったように。更には雑貨にも優れていて、本屋とかもある、ここに住んでいてよかったと思える一時なのだ。
「・・・凄い」
「ん?何がだ?」
「昨日。ここ空間震起こった場所」
「昨日か?ここが?」
十香が昨日崩れたというこの商店街を見て、全く分からなかったのか、腕を組み、うむぅと唸る。
実際、ここは昨日小規模な空間震が起こった。勿論建物だけ崩れてないという幸せな話は無く、入口にある肉屋や野菜屋も崩れた。食料も全部アウト。しかし、一夜にして、ここまで回復したのだ。まるで手品みたいに。
「まぁ直ったのであれば問題なし。行く~」
まるで何かに吸い寄せられるようにポケットに入っていた手はだら~んとたれさがり、足は千鳥足になっている。
壊れたとは思えない修復の完成度に見とれていた十香が、気づいた時には、もう既に人ごみにまぎれそうであった。
「あ、待てキツネ!」
置いていかれぬよう、足早に歩き、吸い寄せられていく狐珀に追いつき、先程よりも歩幅が大きくなっている歩幅に今度は十香が合わせて歩いてゆく。
狐珀が吸い寄せられた場所は、丁度中間辺りにある焼肉屋。10時30分を過ぎた時間帯になると、このような店もやるのだ。
そこに、筋肉質の、五分刈りの頭に捻り鉢巻きを付けた男が手の甲で頬に滲み出た汗を拭い、手をくるくると回し始める
「おじちゃ~ん。飢えた屍に2つ~」
狐珀の口から、本当に飢えた屍のような声が出て来る。
「お、キツネじゃんか。彼女持ちか?」
「人の女には手を出さない・・・」
「あぁ人の女かい」
「2プリーズ?」
それにあいよ、と答えるとパックを取り出し、3つおまけの合計5つを入れ、ゴムで括り、ビニール袋に入れほい、と言いだら~んとたれさがった狐珀の手にかける。
すると重力に完全敗北している狐珀の体はまるでエネルギーを注入されたロボットみたいに健康な人間へと戻る。
「はいお金」
200円を突きだした右手の平にチャリンと音を立てて置いた。
「まず一つ目。我に肉を授け給えよ~」
相変わらず無表情の顔でビニール袋から焼き鳥を一つ取り出し顎を上げた顔の口に運ぶと、まるで口から刀を出し入れする手品みたいに串ごと口の中に含み、ボキボキという木を噛み砕く音が聞こえる
「・・・キツネはリスかなにかか?」
「なんの話」
「木まで食う人間はいないと思ったが・・・」
ある程度串を噛み終え、ごくりと肉を飲み込む。勿論木も一緒に、そしてもう一つ取り出し、肘辺りにまでビニール袋を下げると肉部分を指す
「ここだけを食べると味が残る。だから全部食べる」
「む、無茶苦茶だな・・・」
「はいあげる」
取りだした焼き鳥を狐珀の無茶苦茶な理由にポカンと開いていた口に一個入れる。
「ふぉ!?・・・ふぉむほむ・・・ふむ・・・これも美味いな」
「美味というのはこういうことを言う」
再びあ~と顎が外れるかもしれない程開けた口に串ごと入れ、ボキボキと木を噛み砕きながら、一つ残さず肉を食い、塩コショウ味を楽しむ。
「肉の柔らかさと木の固さが相まって素晴らしい」
「それを共感出来る奴がいるといいな・・・」
「その必要無し、もう一ついる?」
「いいのか?好きな食べ物らしいが・・・」
「分割すべし」
「では頂こう」
パックから焼き鳥をほい、と出し、それを再び口に含んだ。
「おばちゃん。これ一つ」
「あいよ。いつも来てくれるからおまけ!」
「おじいちゃん。もうそろそろ止めないと心臓止まるよ」
「ほっほっほ。死ぬときゃ狐珀君の前で死にたいわい」
「縁起でもない・・・」
「なんか安いのない?」
「・・・そうだねぇ。なんでも持ってき!半額にしたげるよ!」
「大量大量」
口だけをフフフフと笑わせ、両手に持った四つの大きなビニール袋を肩まで上げる
「好かれているのだな。キツネは」
「5歳の頃からずっと通ってる。おばちゃんおじちゃんとは結構仲良し」
「ほ~。それは良いことだ!」
隣にいる十香がうむうむと首を上下させる。
そして、大通りに出る。今までも人で賑わっていた商店街の外には、車も自転車も増加する。しかも、昼の外出時。
「・・・」
昨日、テレビの見過ぎでふらふらしていた足取りは、そんな車の増えた道へ、踏み出してしまった。
「キツネ!」
十香の制止も彼の脳には入らなかった。
「・・・あ・・・死んだ」
ぼそっと、呟いた。
ふらっと横を向いた時、目の前、避ける事の不可能な程目の前に、大きく、低いブザーを鳴らした車が・・・大型トラックが目の前にあった。
「死んだ?死ぬ?死んで?死亡?死んだ・・・死ぬ?嫌だな・・・まだ死ぬのはやだな・・・じゃぁどうする?・・・あ、そうだ。死ぬ前に・・・殺せばいいんだ」
頭の中でそう思った。
実行不可能なんて問題じゃない。死ぬのを避ける為だけに運転手を殺す?避けることでも不可能に近い状態、殺すなんてことも出来ない。
「・・・殺す・・・殺す・・・殺す?・・・・・・あぁ・・・・・・うん。そうだ・・・殺せばいい・・・あいつみたいに、あの低能どもみたいに、クズみたいに・・・だったらこうすればいい・・・・・」
――――強欲怪物――――
単調で静かな声が、口から発せられたかもわからない本当に静かな声が、その場にいた人間の中で唯一、十香にだけ、聞こえた。
そして、偶然にもフラクシナスにいた士道と琴里にも・・・聞こえてしまった。
すると、彼が瞳をカッと見開く。しかし、いつものような金色の瞳では無く、それはまるで血みたいに真っ赤に染まっていた。
かと思えば、何かが狐珀をミサイルと化した大型トラックから守った。盾のようなものであろうそれは、衝突によって生まれた煙によりシルエットも確認が出来ない。
すると、巨大な爆発音と共にトラックの運転席部分が盛大に爆発した。映画みたいに火薬でも入れたんじゃないかと思うくらいの爆発と同時に破片が周り一帯に散らばり始める。
黒い煙が空へ昇り、戦争の始まりの狼煙となり、絶望の柱にも見え、周りにいた人間達は一心不乱にその場から逃げた。十香を除いて・・・
狐珀の周りに出来た煙が次第に空気と同化していく時、その盾のシルエットが見えた。二つの・・・少なくとも盾とはかけ離れていた。
そしてついに、消えた時、その姿が見えた。手首から肘の中間辺りまでしかないとてもごつい両腕。消えている部分は蛇がうねるみたいにぐにゃぐにゃと動いている。真っ黒い腕には紋様のようなものと、手の甲部分に見開いた目にも見える白い線がある。
「お前だ・・・お前が殺した・・・喰らわせろ!対価だ!」
狐珀の口から、今までに聞いたことのない怒号が発せられる。
脳でそれを分かった直後、あの爆発から逃げていた世界の終わりを見たような恐怖の顔をした運転手を捉えると、ニタァと笑いもう一つ彼の目の前に現れた腕が運転手をぎりっと握る。
ボキッと周りに聞こえる程、骨が折れた音が聞こえたと思うと、彼の恐怖に満ちた顔に悲痛が追加される。
「そんな顔するなよぉ?俺を殺したのはお前だ・・・お前が殺したんだ・・・だから対価を貰うぞ」
何とも形状し難いおぞましさと嬉しさが混じる笑みを作りあげた狐珀が前にやった右手をぎゅっと強く握る。
すると、十香の目の前で、人が、周りに肉片を吹き飛ばし、飛び散った。まだよちよち歩きしか出来ない子供でも分かる。
人が――死んだ。
最後に見た絶望の顔と、十香にまで飛びかかった血は、十香にも恐怖を感染させた
「なん・・・なんだ・・・これ・・・は・・・」
「あぁ・・・あぁ・・・あぁ!もっと綺麗に!花火みたいに!芸術品にでも出来る程に!美しく!死ねよ!もっと!さっさと!」
狂ったように笑い続けると同時に、三つ目の巨大な拳はもうミンチにされているであろう肉片をずっとずーっと潰していた。
「あいつが・・・キツネ?・・・キツネが・・・殺した?・・・」
見開き、白黒した目は完全に狂気に呑まれていた狐珀を捉えていた。
彼が何であんなことをするのか?彼は狐珀なのか?・・・と
「・・・あれ?もう消えた?血ぃ、終わっちゃった?何で?もっと・・・あ、でもいっか。貰ったんだしぃ♪」
血が一滴も飛び散らなくなった時、ようやく拳を開いた。拳の内側どころか、外側までもが真っ赤に染まり、地面には大雨の降った後みたいな大きな水たまりが出来ていた。
――――フラクシナス本部――――
「なんなんだ・・・あれ・・・」
士道は恐怖と困惑に目を見開いていた。
モニターに映される変わり果てた親友。
親友の狂気染みた行動に状況の掴めていない十香。
肉片と化した運転手。
スクラップとなってしまった大型トラック。
全て、夢にしか見えなかった。
しかし、夢ではないと、大きなサイレンが伝える。聞くことが不快であり、聞きたくもないそのサイレン、そして、ここにいる皆の戦争開始の合図だ。
「幹本は今までに同じ精霊が現れてないか確認!川越は精霊の力をある程度でいいから予測して!他の皆はどうすればいいか考えて!」
司令官である琴里の指令と共に艦橋にいたクルー達が、コンピュータとにらめっこを始める。皆顔が険しく、十香の時には見られない緊張感があった。
しかし、士道にはなにもできない。それが嫌だ。
モニター越しと言えど、目の前にいる親友が狂っているのだ・・・しかし、士道にはそれと同時に、一つ、何故か。絶望感というか、悲しさを感じ取っていた。親友の勘だろうか?それは確かな気がしてならない。
「こ、琴里。俺に出来ることはないか?」
「・・・じゃぁあれと対話してみる?」
「・・・」
琴里が指差したところにいるあれと対話するというのに、何故か恐怖心が生まれた。
あれと話したくない。
十香の時では全くと言っていい程無かった恐怖心が、ぞわっと現れた。
――――商店街周辺――――
狐珀?が快楽殺人?を終えた時、ふと上を向いた。
そこには4、5人程度の人影が見えた。
よくよく目を凝らしてみると、手にはマシンガンらしき銃を持ち、両肩と両足に箱らしきものが取りつけられている。
対精霊部隊通称ASTのお出ましだ。
そして、十香がようやく恐怖に気づいた。全身から変な汗が流れて、心臓が恐怖によって鷲掴みにされる感覚がした。ニタァと笑うあの顔が忘れられない。自分についた人の血が生暖かい。肌に触れる風が心なしかぬるく感じる。
「あ~・・・めんどくせぇな・・・」
狐珀は十香の恐怖に気づいていないのか、上を向いてポリポリと頭を掻き、次いで逃げ道を探すように周りを見渡した。
見開いていた十香の目と目が合う。
ゾクッと背筋が凍る感覚がした。
「・・・そこまで怖がるな・・・ってのも無理な話なんだけどさ・・・どしよかねこれ。え~っと~」
今まで人を殺していた人とは思えない程普通になり、うむぅと唸り腕を組む
「・・・」
「・・・しりとりでもするか?」
一瞬ふわっと恐怖が抜けた。
「とりあえず安心しろ。キツネだ」
「信じれるか!」
「ま~そう言うのも分かる。だがキツネだ。夜刀神十香と五河士道の友人だ。これは覆らんぞ・・・まぁ。あっちは信用しないみたいだけど」
とても受け入れがたい事実を聞かれ、混乱している中、狐珀は上をその赤黒い瞳で睨みつける。
そこには、つい今し方攻撃態勢が整ったASTが銃を構え、パッチを半開きにしていた
『発射!』
ここまで聞こえる隊長であろう女の命令と共に、半開きだったミサイルのパッチは完全に開き、そこから細い煙の軌跡を描き、幾つものミサイルが発射される。
構えていたマシンガンからはまるでスワット以上にブレのない弾丸が狐珀めがけて発砲される。
それに驚くことも無く、迷惑混じりにはぁと溜息をつき、後頭部をボリボリと爪をたてて掻く。
「あいつらは学習って言葉を知らんのか?それとも上の奴らのおつむがと~っても小さいか・・・どっちでもいっか・・・十香~ビビんなよ?」
ニヒッと自信に満ちた笑みを作りあげると同時に、彼の全身が、否、彼の周り一帯を含む全てをいきなり現れた怪物と思える巨大な口に呑み込まれた。
その顔は再び空気へと消え、その中からクレーターみたいに抉れた地面と、大きくなびく形が少し歪な1mはあるんじゃないかという長いマフラーを巻き、巨大な鴉の羽を肩甲骨辺りから生やしている狐珀がいた。相変わらず血のような瞳を目の前までやって来たミサイルと弾丸に向けた
「俺のもんを奪うんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
後書き
はい。第二話。終わりました~。狐珀君の覚醒?が結構無理やり間が否めないよ。
前回から相当文字数多くなってね?と誰もが感じたんじゃないかね?でも、これからは6000~7000の間が多くなると思いますよ~。
今回は新キャラが居ないんで雑談です~。
まず、自分で書いてても、何となくイメージ出来るんじゃないかな?と思いましたが、イメージ出来ました?是非とも感想で~。
そして、狐珀?の狂気感も自分は楽しかったですよ。一番ちゃっちゃと決まった部分です。
次回、十香ちゃんはどうなる!?そして狐珀のあの人格は!?・・・って感じです。じゃね~
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