サイカイのやりかた #毎週投稿
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第2章 VS武偵殺し
5.EランクのサイカイVS武偵殺し
前書き
「4話のあらすじ」
理子の依頼「倉庫の調査」をこなすため知り合いの装備科平賀文の元を訪れ装備を整えた。金なしの修一にはろくな装備を提供されなかったが、行かないわけにはいかない
「でっか」
俺が理子の言われたとおりに進んだ先にあったのはかなり大きめの倉庫だった。近くに漁船多く置いてあるここは港の中でもかなり大きな部類にはいるらしい。そのため同じ大きさの倉庫がいくつも存在している。倉庫と言っても一つが体育館ほどの大きさの倉庫だ。いったい何をそんなに入れるものがあるのか。高校生の俺には想像もつかない。「缶飲料製造」と書かれた倉庫が今回の目的地だったのだが、さて、こんなムズイ任務を受けたのは初めてで、まず最初にどうすればいいのか全く分からなかった。正面から入って大丈夫なのか?いやでもな。もし本当に武偵殺しが使ってたら俺一瞬で死ぬじゃん。
どおしたもんか。
とりあえず倉庫をぐるっと見てみると、一か所だけ恐らく二階の部分に窓が設置されていた。その下の出っ張りを登れば入れそうだが。明らかに怪しい。逆にあっちからいえばここと入り口を守っていればいいということだからな。
だがほかに行く場所がないのも確かだ。
「・・いくか」
目指せ30万ということで、試しとして入る前に平賀特性女子の制服をすけらせる眼鏡(丸メガネになぜか鼻がついている・・外見おもちゃじゃん)をつけ、中を観察してみる。・・おお!まじで少し透けた!?
壁が少し薄くなり窓の先の方が見えたが、どうやら人影はいないようだ。
すごいじゃん平賀!これは便利だ。あと女子の制服が透けることもちゃんとあとで確認しよう。・・理子とかがいいな。うん。
ちょっと知り合いに対していやらしいことを考え、鼻血が出そうなのを抑えつつ、出っ張りを登って俺は倉庫の中へと侵入した。やはり人影もあのセグウェイもどきもいない。なんだ、意外と簡単なんじゃないか?
中はかなり暗く、目が慣れてくるまでしばらく時間がかかった。どうやら曲がり角の端っこの位置にいるらしい。すぐ横に左に曲がる道があって、その先は一方通行になっている。・・・行くしか、ないか。
小型銃を構えながら少しづつ、静かに、ゆっくりと進んで行く。
(こういうほんとに武偵みたいなことって練習以外で初めてだからやけに緊張するな)
心臓の音がかなり大きく聞こえる。改めて考えると、ここは凶悪犯罪者のアジトかもしれないのだ。こんなに緊張するのも仕方がない。
そのまままっすぐ進み続けているとカツーン、カツーンという音と、なにか機械が作動している音が左側にある部屋から聞こえた。
そして、その部屋には明かりがついている。
「・・だ、誰か作業でもしてんのか?」
心拍数がかなり上がっている。
もしここで武偵殺しに出会った場合、俺の生存確率は0だ。間違いなく殺されるだろう。逃げ出した方が何倍もいいだろう。
だが
(30万・・・30万だぞ。貰えるのならしっかりやらねーと・・だよな!)
何度も心の中で金額を唱えながら、そっと扉を背に開いた部分から中を覗き見る。
一室すべてに機械が張り巡らされており、そこで機械が何か作業をしている。人の影はないし、俺のいる扉の対角線上にあるもう一つの扉からも人の来る気配はなかった。・・・機械に乗っているあれは、缶詰、だろうか。コンベアから流れてくる空き缶の中にはなにかフルーツのようなものが入っており、その蓋を閉めているようだ。
なるほど、ここは缶詰を作る倉庫ってことか・・たしかありゃあ液体窒素を缶の中に重鎮する作業、だったかな。たしかサラがそんなことをドヤ顔で言ってた気がする。あいつ変な知識ばっかあるからなあ。
つまりあれか、ここは缶詰製造倉庫。ただそれだけの場所で、武偵殺しのアジトとかじゃない。そういうことだな。
「なんだよ・・理子も脅かせやがってさ」
そうわかった瞬間緊張の解けた俺は小型銃をホルスターに戻し来た道を戻ろうとと後ろを向いた
その時
『侵入者発見!!侵入者発見!!死んで下さりやがれです!!死んで下さりやがれです!』
「・・・うそだろ」
後ろで甲高い音を出しながらそんなことを叫ぶのは昨日のセグウェイ機一機だった。・・・気を抜いた瞬間にこれだよ。ちきしょう。
そう思いながらもダッと空き缶製造室に飛び込んだ。その瞬間通路からダダダダダダッ!!!と爆音が聞こえる。
「くっそ!!なにがデマ率高いだよ!!ものほんのアジトじゃねえか!!」
部屋をゴロゴロと転がり機械の影に隠れ、拳銃を構えた時、扉の前にセグウェイがこちらに狙いを定める。
コレマジでやばいぞ!
そう思った瞬間、大音量の発砲音が耳に響く。機械に対して発砲しているようだが。俺の場所へ弾が来るのも時間の問題だ。
マジでマズイ。前は考える暇があったから何とかなったが今は・・!!
その時、マシンガンから放たれた一撃が缶詰製造機の電力版に当たり爆発した。
ドオッ!!!っと爆風をまき散らしながら荒れ狂う部屋を俺は何もすることができずただ風に押されゴロゴロと転がってしまう。
そしてその体が先ほどとは反対側のドアにぶち当たり、その先の階段をゴロゴロと転がっていく。
階段の曲がり角地点で強く体を打ち付け、ようやく止まることができた。
「痛つつ・・・」
痛む体を無理に動かし、先ほどの部屋を見ると、壊された機械が燃え上がり部屋全体を炎が包み込んでいた。あ、あぶねぇ、あのまま仮にドアから出られないと死んでたぞ。でも生きていた。それは素直にうれしい。だが俺の任務はここが武偵殺しのアジトかどうか調べることだけだ。別に壊滅させろとは言われていない。来た道には戻れないが出口から逃げ切れればーー
と、
『『『侵入侵入者発者発見侵侵入発見入見!!侵死んで下さ死んで下さりやがれですりやがれです侵発見入入!!侵入!!!者発発侵入見見!!』』』『『『死んで下死んで下さ死ん見侵侵入発見で下さりや見侵侵入発見死んで下死んで下見侵侵入発見さりやがれですさりやがれですがれ見侵侵入発見ですりやがれですさり死んで下さりや死んで下さりやがれで見侵侵入発見すがれですやがれです!死んで見侵侵入発見下さ見侵侵入発見りやがれです!!』』』
「・・・・・ッッ!?!?!?」
パッと倉庫の明かりが灯った。そして、見たくない現実を見せつけられる。
俺は幻覚でも見ているのだろうか。
階段の下。倉庫の大広間とも呼べるであろうその場所に
本当の入り口から入ってすぐの大きな空間に
夢のような光景が、広がっていた。
ガシャガシャガシャガシャガシャガシャガシャ!!!!!!
その大広間をすべて埋め尽くすほどのセグウェイもどきがこちらに銃口を向けていた。
その数は軽く100機を超えているのではないだろうか・・。すべての機械、すべての弾が俺を狙っていた。
「・・は、はは」
俺は思わず口元がゆがむ。この光景はトラウマになること間違いなしだ。四機でやっとなのにこれはもう
絶望
そう言って間違いない。後ろに戻ろうにも部屋は燃えている最中だ。他に道なんてものは残されていない。非難できる場所もない。
自分の死の危険に血の気が引く。本当に、武偵ってのはこういう現場をいくつも攻略していたのか。・・住む世界が違いすぎる。こんなの、無理だろ。
俺は力なく手をダランと下げ、現実を見たくなくて上を見上げた。
ちきしょう。俺の人生、ここで終わりか?俺の人生たったの10数年で終わりなのか?まだ女子ともキャッキャウフフしてないんだぞ。恋愛とか彼女とかその先とかさ!
だがそれは俺が弱かったからだ。俺の力が足りなかったからだ。俺の才能が無かったからだ。
やっぱ才能のない
やっぱ努力じゃ勝てない
やっぱ武偵は俺には向いてない
やっぱ武偵なんか俺には無理だった。
そう
無理だったんだ。
100機ほどのセグウェイがウィーン・・と電子音を鳴らした。どうやら一斉放火がもうすぐらしい。自分の人生を悔やみつつ、俺は諦めて目をつぶった。
『私は嫌いな言葉が三つあるわ。無理、つかれた、めんどくさい。この三つは人間のもつ可能性を押しとどめるよくない言葉。私の前では二度と言わないこと!いいわね!!』
「!!」
一瞬の静寂のあと・・
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!!!!
100機ものセグウェイの一斉射撃が倉庫内の音を全てかき消した。後ろの壁に次々と穴が開いていく。階段も原型を徐々になくしていき最終的には大音量を立てながら壊れていった。
5分ほど経って、ようやく発砲音が止まった。少しずつ砂煙が晴れはじめ、先頭にいたセグウェイたちが俺の生死を確認するために階段付近に集まっていた。他のセグウェイも銃口をそちらに向けている。
そして
「・・・たくあの、ピンクツインテ・・無茶させやがって・・ここから帰れたら1000円はおごってもらうからな・・・」
並んでいるセグウェイの一番左端、二階で今も燃えている部屋のすぐ近くにいたセグウェイもどきを思いっきり蹴飛ばしその近くにいたセグウェイをも巻き込まれ横転する。
ガッシャガシャン!!と音を立て巻き込み事故を起こしているセグウェイどもにいい気味だと吐き捨てる。
服はボロボロながらも、俺は五体満足で地面に立っていた。
一斉射撃のその一寸前に、階段の踊り場と下に下る階段の隙間に無理やり体を入れ込み下の一階の隅に逃げ込むことで、何とか一斉射撃を逃れることに成功した。・・まあ実際、数十発はもらってるので完全に成功とはいえないが。
だが、生きている。
生きている!
俺はセグウェイどもに向けて大声で叫んだ。
「いいか武偵殺し!!俺はもう諦めないからな!なんのとりえもねーし、なんの才能もないが!お前らにだけは勝ってやる!!あと発砲はちゃんと狙って撃ちなさい!!修理費と弾がもったいないだろうが!!」
どうしても言ってやりたかった。前々から思っていた。武偵殺しの奴は資源を大事にしない。それは俺の生活に対する侮辱と受け取っていいだろう。
言いたいことを言い終えた俺はすぐに次の行動に移った。
俺にはもう一つ成功したことがある。階段の下。つまり上の部屋の真下に、地下へと続く階段を見つけたのだ。これならまだ逃げ切れるかもしれない!
100機のセグウェイがこちらに銃口を向ける前に俺はその地下への階段を全速力で駆け下りた。
「・・・・はぁ・・はぁ・・」
地下に入ると入り組んだ道がいくつもあった。そして何に使うのかも分からない機械やらタンクやらが多くある。俺はその陰で身を潜めつつ、息を整える。
あれだけドヤ顔を吹いたはいいが、いかんせん、何も考えていない。ただ、あのピンクツインテの言葉には嘘をつきたくない、そう思っての行動だった。
たくよーほんとにあの女は俺に変な影響を与えてくれちゃってさ
「しかしどうする・・」
相手は100機。しかもそれぞれが独立して動く兵器だ。対して俺は一人。この地下の道も把握しているわけじゃないから、もう一度あの大広間に向かうのは難しいだろうし。正直絶望的状況だろう。
「でも、諦めないんだったよな。・・・ああ、俺って別に熱血主人公じゃないんだけど」
少しメタ発言もしつつ、そろそろ頑張ってみようと
周囲の状況を、整理し始めた。
《ここはある倉庫の地下、缶詰の製造をしている
もちろん倉庫としても利用しているようで温度調整はできるようだ
敵は推定100機のセグウェイもどき、それぞれが銃を携帯し、自立して動く
缶詰の製造には液体窒素使用
地下は入り組んでいて複雑、さらに照明も点々とおいてあるだけなのでかなり暗い。完全把握は難しい
道はかなり細道であり、セグウェイなら二機並ぶのがやっとだ
100機は個別のグル―プを組んで移動しているようだ。
セグウェイはある程度の大きさの物がある一定の距離にあると発砲する
打撲数か所あり、あまり激しい運動は厳しい
所持品 小型拳銃 4発
冷却弾 1発
火炎弾 1発
女子覗き眼鏡 一つ
ボタン型監視カメラ 一つ
防弾シュート 一つ
絶対温か毛布 コンパクト 一つ
跳ねるたびに大きくなるスーパーボール 一つ
携帯
ティッシュ
飲み水 150ml 1つ》
「・・・厳しいが、アレさえ見つけきれれば、いける・・かも」
ある程度の情報把握はできた。あとは
やるだけ、やってみるだけだ。
今もなお、次から次へと道を進んでいるセグウェイども。グループつっても100機もいりゃあ、あんまりグループの間の距離なんてそう遠くないだろう。だがここでならあれが使える。
俺は機材の一つの上からセグウェイの様子を確認しつつ、そういえばと女子覗き眼鏡を取り出した。そとから中の様子が見れるほどだ。機材くらい透かしてくれるんじゃ・・・っておお!!
「これ、暗視ゴーグルつきかよ・・・!!高性能すぎるぞ、この眼鏡・・!!」
なんと眼鏡をかけた瞬間、ブンと音を立てて緑色の世界に変わった。一番高かっただけはあるし、平賀の天才的な技術なだけはある。先ほどの裸眼で見るよりよっぽどはっきり見ることができるようになった。・・・まあ、なぜか鼻がついてて外見的にふざけまくってるが・・生死のかかった戦いにプライドもくそもねーよ!
うん、ないと、思うよ?
俺ははっきり見えたセグウェイどもの列から、ある一定の途切れを見つけた。毎回約20秒ほどだが俺の前で列が途切れる。俺は小型銃に弾を二発装填し、手に飲み水の入ったペットボトルを取り出した。
「今だ」
そして列が途切れた瞬間を狙って飲み水を通路にまき散らす。一列にまっすぐになるように調節しながらかけた後
俺はその線の先端に小型銃の銃口を浸す。
そして次のセグウェイのグループがその水を踏む瞬間
「冷却弾っ!!」
俺は小型銃に込めておいた冷却弾を発砲、弾に当たった水がみるみる内に凍っていく。
そして
ギュルギュルギギギギ!!
いきなり摩擦のなくなったタイヤがスリップして先頭の二機が横に倒れる。そして、勢いの止められなかった後ろの9機がその倒れたセグウェイに躓き倒れていく。
そして
「はっはっは!燃えろ燃えろ!火炎弾!!」
男のロマン、火炎弾を発砲した。
これにより凍っていた水が火の勢いを底上げし、9機のセグウェイをぶっ壊す予定だったのだが
カン!!っと音を立ててセグウェイ一機に当たり、その装備を壊した弾はそのまま貫いた後
ドスッ!!っと壁にめり込んでいった。爆発せずに。
「・・いやドスッじゃねーよ!燃えろよ火炎弾なんだろコラぁ!!かっこつけちまった俺の身にもならんかいボケ!!」
どうやら平賀の不良品を当ててしまったようだ。俺はロマンが生まれなかったことに本気で泣きつつ。壊したセグウェイを持ってほかのセグウェイを殴り壊す。
「うっし、9機撃破っと」
のこり8機すべて壊すころにはもうとっくに20秒など過ぎており
『侵入者発見!!侵入者発見!!死んで下さりやがれです!!死んで下さりやがれです!』
「・・・ちくせうちくしょう」
俺はセグウェイからの弾丸の嵐の中、ただ真っ直ぐ逃げる。
『障害物、障害物、回避不可、回避不可!駆除します!!』
しかしそこで幸運。先ほど壊したセグウェイの残骸が邪魔ですんなり通ることができなかったようだ。
先頭のセグウェイが残骸に向けてマシンガンをぶっ放つ
「あれ・・共食いっていうんじゃないかな」
おれは思わずつぶやきつつ、後ろを振り返ると
ドオオオオオオ!!!
後ろから大爆発が起こった。
「え、なになになに!?おおおお!?」
俺はその爆風にフっ飛ばされ先の機材にぶつかった。
「・・・がッ!?!?」
肺の中のすべての空気が外に押し出されるような痛みがくる。しかしここで倒れてる訳には行かないと無意識のうちにその機材の後ろに身を潜めた。
「な、なにが起こったんだ??」
息を整えながら、女子覗き眼鏡をつかって先ほどの爆発現場を確認すると、爆発に巻き込まれたセグウェイたちが四方八方に飛び散っており、こちらから見て左側の壁が大きく穴をあけていた。あれ、これってもしかして
「・・・火炎弾、か?」
先ほどのセグウェイの発砲で擦れたことによる暴発だろう。ほう、改良したらいいものできるかもしれんぞ平賀よ。
「ま、不良品にしてはGJグッジョブってとこだな」
これでおそらく+10機ほどの破壊に成功したようだ。
さて、うかうかしてらんないぞ・・こんだけデカい爆発音のあとだ、きっとほかのセグウェイ達もこちらに来るだろう。
俺は身を潜めていた機材の名前を確認しつつ、その場を離れることにした。
「・・・これでもない、か」
セグウェイを暗視スコープで相手を先に確認しつつ、物陰に隠れながら、機材を確認していく。この工場には絶対にあるはずなんだけどな・・。それにしても機材に隠れることで目を反らせるのもラッキーだ。熱感知機能とかついてたらおじゃんだったわ。
次の角をそっと覗くと・・・そこは50メートルほどのまっすぐな道だった。左右はただの壁で隠れれるような場所はない。
「まじかよ・・」
俺はまた物陰に隠れ対策を考える。20機ほどの破壊はできたにしても、まだ80機はいる。今も後ろを通っているし。あの直線をダッシュしても必ず見つかってしまう。・・だが戻ることも避けたい。今のところすべての道にある機材を確認していたが、目的の物は見つからなかった。つまりこの先にある可能性が高いわけだ。
「・・・んじゃあ、ま、カケてみるか。こいつに。運要素もあるけどな」
俺は手に持ったあるものを弾ませた。
「ーーーこれでよしっと。ほー、こんなおっきくなるもんなんだな」
俺はセグウェイが通り過ぎたあと、その直線の道に来ると跳ねるたびに大きくなるスーパーボールをバスケのドリブルのようにずっとポンポンしていた。そしてそれはあっという間に大きくなり先ほど俺の通った方の道を完全に塞いだ。ただ重さは変わらないようで今もなお天井と地面とを跳ねて飛んでいる。どのくらい大きくなるのかはカケだったがなんとかなったようだ。
「これ、俺んちでやってたらやばかったな」
そんな感想を漏らしていると
『障害物、障害物、回避不可、回避不可!駆除します!!』
スーパーボールの先にセグウェイがいるらしい。やっば早かったな。
俺はスーパーボールが破壊されるより速く50メートルを抜け出そうとした
が
『侵入者発見!!侵入者発見!!死んで下さりやがれです!!死んで下さりやがれです!』
「・・・ちっ!!」
その先の曲がり角のほうからもセグウェイのグループ(おそらく10機)がやって来た。
後ろはスーパーボールが道を塞いでいる。完全に囲まれてしまった。
「だったら!」
自力で倒す。先ほど20機倒すことができたのだから、このくらいの数ならいける!
妙な自信が俺の中にあった。先ほどまでは4機だけで尻込みしていたのにだ。これが自信ってやつだな懐かしい。中学時代の剣道の試合の時のような感覚だ。
久々の感覚に酔いながら、懐から小型銃と携帯を取り出し、携帯の明かりをつけた後上に投げた。こいつらの弱点はもう分かっている。ある一定の距離にある一定の大きさのものを追尾する。ならば俺よりもまず携帯のほうを狙撃するはずだ。
これでやつらの狙いは携帯に逸らせる。その間にまずは一機ーー
と、思っていた。
「・・・ごっ!?!?」
ドドドドッドドドドッ!!!
勢いよくに放たれた弾は携帯の方には全く行かず、すべて俺の方に向けられ、俺はその全てを体に受けた。二発で気絶するような痛みだ。それの5倍はもう言葉にすることはできないほどの痛みだった。
俺は力なく地面に倒れ荒く息を吐き撃たれた部分を強く抑える。防弾制服のお陰でまた貫通はしなかったが、それでもマズイ。
その横にただ投げられただけの携帯が落ちてきた。
な、なぜ・・?携帯をある程度大きさとして認知しなかった・・?いやそれならさっきセグウェイの残骸だって無視したはず・・。じゃあ、まさか、
その弱点を改良された。
そうとしか思えなかった。おそらく俺と初めて対立した昨日の間にでもやったんだろう。
まさか・・・こんなに早くできるとは思ってなかったが・・
俺との戦いでわかったのか、それとも・・
パンっという音とが聞こえ、考察を中断する。
その後、後ろからも何十機ものセグウェイが俺を取り囲んできた。
体を動かすことは難しく。今の手札で何かすることすらも難しい。
絶体絶命
それだけは意識が朦朧としていながらも感じることができた。
俺は油断したことを後悔しながら
意識を失った。
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