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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十六話 花火が終わってその十三

「君達は落ち着いておいてくれ」
「闘えなイ」
「だからあるか」
「そうだ、しかもだ」
 さらに言うのだった。
「まだ暴漢と決まった訳ではないしな」
「先輩、木刀か竹刀は」
「ここにある」
 こう言ってだ、井上さんはその手にだった。
 木刀を出した、何処からか出して来ていた。見れば円香さんもその手にもう大きな木刀を持っていて構えていた。
 その円香さんにだ、井上さんは言った。
「若し相手が多いとな」
「その時は」
「もう一本必要か」
「先輩、まさか」
「これでいくか」
 こう言ってだった、井上さんは。
 両手に持っていた木刀をだ、左手に持ち換えて、
 空いた右手にも木刀を出してだ、あらためて言った。
「二刀流でな」
「あれっ、井上さん」
「そうだ、二刀流も出来る」
「そうだったんですか」
「最近というか高校に入ってからな」
 その時からというのだ。
「練習してだ」
「そしてですか」
「まだ修行中だが」
 それでもとだ、井上さんは言った。
「出来る」
「二刀流が出来るなんて」
「凄いか」
「僕はじめて見ます」
「そうか、しかしこれもだ」
 二刀流もと言うのだった。
「剣道だ、それでだ」
「今は、ですか」
「相手が多いならばだ」
「二刀流の方がいいんですね」
「それを見せよう」
 こう言いつつだった。
 井上さんはその目を鋭くさせていた、もう暴漢が出て来たら何人でもその時点で叩きのめす気満々だった。
「大人数相手ならこの方がいいしな」
「二刀流の方がですね」
「一本より二本だ」
「確かに。言われてみれば」
「だから二本出した。しかしだ」
「しかし?」
「剣道はいつもとは違う」 
 井上さんは鋭い目のまま言った。
「いつもの剣道でなくだ」
「二刀流だからですか?」
「そのこともあるがだ」
 僕の問いにさらに言って来た。
「面や小手、胴は狙わない」
「じゃあどうするんですか?」
「突きを使うか鎖骨に足、脛を狙う」
「何か物騒ですね」
「本来の剣道とは違うがだ」
 それでもとういうのだ。
「暴漢が相手だからだ」
「それで応じられるんですか」
「脛は急所だ」
 井上さんはまずは脛のことを話した。
「脛を打つとそれだけで相手は激痛で悶絶するな」
「確かに脛は痛いですね」
 僕も打ったことがある、弁慶の泣きどころと言うけれど筋肉がなくて皮膚のすぐ下に骨があるので痛覚がそのままいって痛い。 
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