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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十六話 花火が終わってその十

「出店に浴衣にな」
「それと花火ですね」
「全てだ」
「それじゃあ井上さん来年は」
 僕は井上さんにさらに尋ねた。
「八条大学で」
「うむ、そう考えている」
「入学されてですね」
「そうして大学生になりだ」
 そしてとだ、井上さんも話してくれる。
「観る」
「そうしますか」
「是非な、さて」
 ここでだ、花火がだった。
 一気に十二発上がってだ、最後の大輪が夜空を飾った。濃紫の空に様々な色の大輪が十二咲いてだった。
 それが終わった時にだ、僕は言った。
「これで終わりで」
「うむ、このお祭り自体もだ」
「終わりです」
「有終の美だった」
 微笑んでだ、井上さんも言った。
「今年もよかった」
「そうでしたね」
「これで満足だ」
「じゃあ後は」
「帰るとしよう」
 八条荘、僕達の今の家にというのだ。
「そして休もう」
「いや、よかったワ」
「最高だったあるな」 
 ジューンさんと、水蓮さんも笑顔で言う。
「もうこれでネ」
「終わりと思うと侘しいあるな」
「しかしそう思うからこそだ」
 井上さんは二人にまた言った。
「来年につながるのだ」
「また来年ね」
「楽しめるあるな」
「そうだ、来年だ」
 また来年とだ、井上さんは言うのだった。
「また観るのだ」
「じゃあそれまでネ」
「他のことを楽しむあるよ」
「それはそれでネ」
「そうするある」
「そういうことだ、では帰ろう」
「いや、そういえば」
 今度は詩織さんが言った。
「かなり飲んだからね」
「立てますか?」
「多分ね」
 こう小夜子さんにも答えた。
「いけると思うけれど」
「ですが無理は」
「禁物ね」
「はい」 
 くれぐれもという言葉だった。
「そこはお気をつけ下さい」
「わかってるわ、けれどね」
「けれどですか」
「もうそれはわかってるから」
 既にというのだ。
「頭に入れて飲んでいたわ」
「ですが詩織さんは」
「いや、飲んだわね」
「本当に大丈夫ですよね」
「絶対に大丈夫よ」
 詩織さんは笑って答えた、そしてそうしたことを話してだった。立ち上がるとふらりとしながらも何とかといった感じで。
 歩けていた、そのうえで小夜子さんに言った。 
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