ゴブリンになった・・・・・死ねってこと?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
九日目~十三日目
九日目
今日は土砂降りの大雨。なので狩りに出かける事は出来ないので、昨日採取した素材から防具や服を作る事になった。洞窟の近くで採取可能な針のような草の『鋼刺草』と頑丈な紐である『細蔦』で、裁縫の真っ最中だ。意外にも素材が沢山確保できたので、これで作れる防具や服も確保できそうだ。ゴブ郎は自分の防具は自分で作るから、ゴブ吉君とゴブ美ちゃんの防具の作成を手伝ってくれないかと言われて、俺は了承した。
先ずはゴブ吉は前衛であるため、敵の攻撃を受ける確率が高いために防具の充実は必須だ。最近は棍棒も片手で振り回せるくらいにパワーが上昇したので盾も装備できそうだ。なのでゴブ郎と協力して僕具を作成する。ヨロイタヌキの甲殻を利用して依存の防具と武器の強化に、新たな防具が完成した。
『甲殻の盾』
制作評価 通常
ヨロイタヌキの甲殻を使用して作られた盾。駆け出し冒険者の武器ならば簡単に防げる防御力を保有している。
『甲殻の胴鎧』
制作評価 通常
ヨロイタヌキの甲殻を使用している胴鎧。駆け出し冒険者が使用する武器なら簡単に防げる。
『甲殻棍棒』
制作評価 通常
木の棍棒にヨロイタヌキの甲殻を張り付けた棍棒。木の棍棒より耐久力が増しており、使用者によっては攻撃力も上昇する。
ヨロイタヌキについてある甲殻を使用した武器と防具を作成した。これなら現在まで相手にしてきた獲物なら簡単に攻撃を防げるだけの防御力を保有している。それに棍棒も木の棍棒だけでは、日に日に上昇しているゴブ吉のパワーを受け止めるのは難しいと判断して甲殻を張り付けた棍棒も作成した。
装備してみると、なかなか様になっているなと感心する。ゴブ吉は新たな装備を得て喜んでいる。
次にゴブ美の防具は、ナイトバイパーの蛇皮とナナイロコウモリの羽を利用した胴鎧だ。ゴブ美は、ゴブ吉と違いパワーはないが、基本的に器用で頭も良いので後衛を任されている。なら、直ぐに動いて援護に行けるほうがいいだろうな。武器もクロスボウだけだと、イザという時に備えるなら補助武器も必要だろう。
色々とゴブ郎と意見を交わし、使用するゴブ美がどのようなものが良いかも聞き入れて防具と武器が完成した。
『ナナイロの皮鎧』
制作評価 通常
ナナイロコウモリの羽とナイトバイパーの蛇皮を利用して作られた皮鎧。派手な見た目に反して、駆け出し冒険者レベルなら重量と防御が両立している皮鎧。民族衣装にも見えるので服としても使える。
『初心者の短弓』
制作評価 通常
弓を扱う駆け出しの冒険者が使用する短弓。威力は狩弓や長弓と比べて威力と射程は低いが、速射性に優れている。
ゴブ美は基本的にゴブ吉ほど防具を強化しなくて最低限の防御力があればいいという意見であったので、そこで皮鎧となった。あと、クロスボウは威力や命中精度も高いが、どうしても構造上の問題で速射性が犠牲となってしまう欠点があった。これを補う形で短弓を作成してみたのだが、どうやらゴブ美は、この武器を気に入ってくれたようだ。
あと、ゴブ郎が余ったナナイロコウモリの牙でアクセサリーを作ってゴブ美にプレゼントした。これにゴブ美は、ゴブ郎に抱き付く程に大いに喜んでいる。うん、やっぱりゴブ郎って本当にイケメンだなと思う。ちゃんと女性に対する気配りがちゃんとできているんだからな。本人の表情は、そこまでやったぜ感は感じないので、無意識にやっているところを感じると、無自覚イケメンなんて昔なら死ねばいいのにと言ってしまうくらいに嫉妬しただろうけど、今はゴブリンだし……それにゴブリンにモテても嬉しくもないしな。
俺は、他に黒曜石もどきで片手剣を作成した。『石の解体ナイフ』を作った事もあって、慣れた手つきで作業を続ける事が出来た。
『石の片手剣』
制作評価 通常
石で出来た片手剣。石であるため切れ味は悪いが、弱小個体のモンスターなら問題なく切れる。
俺は、これを三本ほど作成した。三本のうちの二本をゴブ郎にプレゼントしたら、ゴブ郎はやっぱり驚きの表情が隠せなかったが、俺に何かおかしな点でもあるのかなと思ったが、ゴブ郎は何でもないよといって俺の『石の片手剣』をありがとうと、受け取ってくれた。後は普段着で、ぼろ布だといい加減に嫌だと思って余ったナイトバイパーの蛇皮やヨロイタヌキの毛皮でインナーを作成して三コブに配った。形的にはモン○ンのハンターが着ているようなものだと理解してくれ。
俺は『石の片手剣』と木の胴鎧と、予備に作った『初心者の短弓』で武具を固めた。こうして今日は、全員の武具を充実させて一日が終了した。今日の飯は、洞窟に生息している芋虫で済ませたのだった。
十日目
雨も上がって狩りを始める俺達。戦果は、ホーンラビット、ヨロイタヌキ、ナイトバイパーだ。現状のところ、このようなありきたりな個体ばかりを狩っているのもちゃんと理由が存在する。簡単な話だ。現在の所、この森に生息するモンスターの大半に俺達は勝利する事は出来ないからだ。事前に、他のモンスターも発見しているが、明らかに格上のモンスターであるため、俺達では話にもならないくらいに殺されるオチなのだ。
まあ、それでも現状のように獲物を殺して食ってレベルは上昇はしているのだ。現状の俺はレベルが79。ゴブ郎が88、ゴブ吉が81、ゴブ美が63だそうだ。基本的に生物のレベル限界が100なのだが、それでもゴブリンのレベル100は他種族からすれば雑魚扱いなのだが、ゴブ爺の話によれば限界値のレベル100に到達した個体で、更に素質がある個体は『存在進化』する事が出来るらしい。
要するに上位種に進化するという事だ。ゴブリンが存在進化するならルート的に進むなら小鬼→中鬼→大鬼というのが一般的なルートだが、存在進化は、その個体の成長によっては別のルートに進む場合もあるらしい。例えば中鬼が特定の武器に特化して成長したなら人間に近い鬼種族の鬼人になったり、大鬼から更に進化する事も可能で、牛頭鬼や吸血鬼といった進化もする事が出来るという。
進化すれば強者の道にたどり着く法則に、俺は存在進化の話を聞いて俺は進化出来るのかと期待を寄せるが、ゴブ爺曰く「存在進化は普通の個体ではまんずできねえべな」と、付け加えたが、それでも俺は、そんなRPG要素があるこの進化法則に、大いに期待を寄せるのだった。
十一日目
今回はナナイロコウモリの一種類しか仕留めなかったが、しかし数が半端ない。その数は実に36匹だ。そんなに数を確保できた理由は、俺達が一つの洞窟を発見して冒険心を抱いて探索したら、その洞窟はナナイロコウモリの巣だったのだ。現在の俺達からすれば格下のナナイロコウモリも、人海戦術よろしくの十倍以上の数で迫って来れば、それは状況的に不利であったが、そこを何とか振り切る事に成功した。
何故か知らないが、ゴブ郎が睨み付けたらナナイロコウモリが一瞬怯んで動きを止めたら、そこから先に洞窟を脱出したゴブ美が援護射撃により、体制を取り戻した。そこからは武器と防具を充実させた俺達の敵ではなく、多少の擦り傷は受けたが、それでも多くのナナイロコウモリを仕留める事に成功した。それでも大半は逃げてしまったが、一人九匹も食えれば満足だろうと思う。
ナナイロコウモリの牙と翼はちゃんと回収した。昨日の獲物の素材も含めて、予備の防具と服がまた作れそうだなと思った。
十二日目
いつものように狩りは成功した。既に俺達の敵ではなくなったホーンラビット、ヨロイタヌキ、ナイトバイパーを狩って日が暮れる前に洞窟に戻った。何故、日が暮れる前に洞窟に戻るのかというと、夜は昼間より強い個体が活発に動き出す時間帯でもあるからだ。
代表格を出せば、ハインドベアーの亜種で」森の主ともいうべき個体であるレッドベアーと、三本角と固い鱗で覆われた馬であるトリプルホーンホースに、物理攻撃がきかないスライムであるグリーンスライムが活発に動くので、今の俺達なら簡単に餌にされておしまいというらしい。この事は、興奮気味で説明していたゴブ爺の情報からだ。
基本的にこの洞窟に娯楽とも言うべきものはないので、早く寝て明日の狩りに備えようとして寝ようと思った時に事件が発生した。
もう寝ようと思った矢先に、突然と同期のゴブリンの六コブがゴブ郎に襲いかかったのだ。ゴブ郎に襲いかかったのは、俺達と同様に木の棒といった武器を扱う少し知恵が回る個体たちであった。ゴブ郎は、この襲撃を事前に察知して反撃に転じたが、勢いが余って一コブを一角獣の角で殺してしまった。後は騒ぎに気がついた俺も、ゴブ郎を助けて、襲撃したゴブリン達を殺すのはまずいと思って木の棒で死なない程度に滅多打ちした。
ゴブ郎も俺も無傷で襲撃したゴブリンを倒した。当然のようにあれほど暴れまわったので洞窟で寝ていた同期のゴブリンや年上ゴブリンやゴブ爺も起きてきたが、年上ゴブリン達は何にも言わなかった。正直言ってそれはありがたく、ゴブ郎も同じ思いであった。なお、洞窟にいたゴブリンが起きているのに、ゴブ吉は今でもグースカと寝ている。どんだけ神経が図太いんだよと思ったが、ここでゴブ美がゴブ郎に襲いかかったゴブリン達を殺そうとしたのは、流石に焦った。
俺とゴブ郎の二人でゴブ美を宥めるのにすごく苦労した。襲撃のトラブルもあり、今日は精神的になんか疲れたと記録しておく。
十三日目
今日は近場の狩りではなく、山奥に進む事なった。そこで俺達はRPGでゴブリンとならぶ有名な個体と遭遇する。それは豚面で二足歩行で歩いてピッケルを担いでいる亜人種であるオークである。身長は170ちょっとしかないが、ゴブリンは小学校低学年くらいの身長しかないので、そのためオークが大きく感じられる。
ゴブ郎が周辺に仲間のオークがいない事を確認して、ゴブ美に『小型クロスボウレベル1』でオークを撃てと指示を出した。しかも、その矢はゴブ郎が作り出した毒であり、その毒矢に突然に眼球に矢が突き刺さり、オークは悲鳴を上げる。それはそうだろう。突然に視界が制限されて、激痛と毒が回ればパニックに普通は陥る。そこで冷静な判断が出来ないオークに対してゴブ吉が甲殻棍棒でオークの膝を渾身の一撃で叩き付ける。これを受けてオークの膝は明後日の方向にむいて、地面に崩れ落ちた。
そして最後に俺とゴブ郎もオークに接近して、ゴブ郎の石の片手剣の二刀流と俺の石の片手剣でオークをめった刺しに、ゴブ吉はオークを撲殺するのだった。無我夢中でオークをめった刺しにしていたので、すでに原型を留めていないオークや、オークの返り血を浴びている俺、ゴブ郎、ゴブ吉の光景にゴブ美はドン引きしていた。まあ、下手な映画よりもグロテスクなシーンだったもんな。ドン引きする気持ちはわかるよ、ゴブ美。
なお、殺し終えたオークは俺達四コブで山分けして食べるのだった。
結論から言うと、オークの肉はやっぱり味は豚肉だった。しかもめっちゃ油がのってうまかった。ゴブ吉とゴブ美もあまりのうまさに感激の表情で食べていた。くそーこんだけ美味いんだから焼き肉してくいてええ!!と、叫びたいよ。そして白飯も一緒に!!まあ、こんな山奥に米があるとも思えないし、しばらくしたら米が食えるように探してみようかなと思った。
それから俺達は慣れ親しんだ獲物を普段より多くハントした後に洞窟に戻るのであった。これは俺達が食うのではなく、洞窟にいる同期のゴブリン達に食わせるためだ。後から聞いた話だが、昨日の襲撃犯の理由は飯事情によるらしい。俺達や例の実行犯は、今では飯を食うのには困っていないが、力も知恵もないゴブリン達は今までろくに飯を食えていなかったらしいのだ。
襲撃犯もそんな連中を助けようとして、狩りで大成功を収めているゴブ郎を襲撃して屈服させて狩りに行かせようとしたらしいのだ。あまりに単純な思い付きに呆れるしかないが、ゴブ郎は、また襲撃に来られても面倒らしいので、最初で最後の慈悲を同族のゴブリン達に与える事にしたらしい。そしたら同期のゴブリン達はすごく感激して、泣いてありがとうとゴブ郎にお礼を言うのだった。ゴブ郎は、お礼はいいから早く獲物を取って返せと言うのだった。
そこからゴブ郎は、同期ゴブリン達にホーンラビットを仕留めるコツを教えるのだった。そこは俺も協力して教えた。なお、同期のゴブリン達は、たらふく肉を食えてすごく泣きながらムシャムシャと食っていた。どうやら今まで満足に食えなかったから余計に美味く感じたんだろうなと俺は思った。
なお、ゴブ郎を襲った例の実行犯はとっくにゴブ郎の下僕となっていた。ゴブ郎に言われたノルマをホーンラビット五匹をクリアして戻ってきた。今日は俺達はたらふく飯を食ったので、ゴブ郎は慈悲で食わせたゴブリン達に与えるように指示した。
なお、俺は草を沢山に引き詰めて、そこに今まで仕留めた獲物から剥いだ布皮を引いた簡易ベットで就寝するのだった。
[レベルが規定値を突破しました。『ホブゴブリン・通常種』に『存在進化』が可能です。『存在進化』しますか?『YES』『NO』]
脳内でそんなアナウンスが流れたが、睡魔のほうが強いので俺は何の迷うもなく『YES』を選択した。
ページ上へ戻る