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ゴブリンになった・・・・・死ねってこと?

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五日目~八日目

五日目

今日も生きるために狩りをする。俺は生後五日目でパーティーを組んで狩りをすることになった。同期の中で個体認識を識別しやすいあの騒がしいゴブリンであるゴブ郎と、同期の中で一番の力持ちゴブ吉の二コブ達に誘われたからだ。

きっかけはゴブ郎の誘いだ。朝になって狩りに出かけようとしたらゴブ郎から一緒に狩りをしないかと勧誘を受けたのだ。どうやら昨日の単独でホーンラビット二羽を仕留めた事がゴブ郎の目にとまり、こいつと一緒なら狩りの成功率も高くなると判断したんだろうな。

まあ、この誘いに俺のデメリットも殆どないし、俺はゴブ郎の誘いに乗って一緒に狩りをすることにした。

結果から言うと、狩りは成功だ。昨日のホーンラビットより一回りも二回りもデカイ個体を仕留める事に成功したからだ。なお、ゴブ郎がホーンラビットの脊髄を一撃で刺して仕留め後に「角最強伝説」と、ドヤ顔で言っている光景に思わずツボにはまって笑ってしまい、ゴブ郎は顔を赤くして俺の顔面に向けて一発殴った。しかも顎に綺麗に入った為に脳を揺さぶられて見事にダウンしてしまった。これを機に、俺はゴブ郎をあんまりからかわないでおこうと決めるのだった。

なお、今日の成果は昨日よりデカイ個体であるホーンラビットを一人三羽は食えるほどの成果を得た。久しぶりの満腹感を得る事に俺は満足した。ホーンラビットの肉めっちゃうま!!


六日目

生まれたてのゴブリンは、ホーンラビットにすら敗北するらしい。その事を知ったゴブ郎は「えーマジかよ」と呟いていたが、俺もゴブ郎が思った事に全面的に同意する。別にホーンラビットは、馬鹿みたいに声出して威嚇しなければ、基本的にあっちから突っ込んでくるだけで、突進力はあるかも知れないが、機動力はそこまで高くないので、慣れてしまえば簡単に死角に入って仕留める事も造作もないんだけどな。

話を逸れたが、その情報を教えてくれたのが俺達と同期であるメスゴブリンであるゴブ美である。ちなみに美人というほどではないが、同期や年上ゴブリンから聞くとゴブリンからすれば美人の部類に入るらしい。まあ、他の個体と同様に個別認識が難しいゴブリンと比べたらゴブ郎同様に個別認識がしやすい程度でしかないんだがな。ちなみに、ゴブ郎はゴブリンの中で極上のイケメンらしい。この事をゴブ美から聞いたゴブ郎は微妙な表情をしていた。ゴブリンにモテてもという事もあるだろうな。あと、俺とゴブ吉は平凡らしい。そうですかい。

ゴブ郎は情報提供してくれたゴブ美も仲間に入れて狩りにいくのだった。仲間が増えて更に効率的にホーンラビットを狩る事に成功した。今でも少し毛皮ごと食う事に違和感が若干感じるが、あんまり気にしないでおこう。実際にホーンラビットの肉はうまいし。

七日目

今日は雨であるため狩りは中止だとゴブ郎は告げた。今日は新たに装備を作成しようと俺に話を持ち掛けてきた。洞窟には黒曜石もどきが沢山あるので、それで解体用のナイフを作ろうと言ってきたのだ。ゴブ郎一コブだけでやらせるの気まずいので、俺も普通に手伝った。

その瞬間に俺の脳内からアナウンスが流れた。

『ゴブ八は生産スキル<作成>を発動した』

そこからは俺は無心で作業を続けると、気がつけば黒曜石もどきで作ったナイフもどきが四本完成していた。あと、作成したナイフから情報を読み取るが出来た。

『石の解体ナイフ』

制作評価 通常

石で出来た解体用のナイフ。原始的で切れ味も悪いが、弱小個体のモンスターなら問題なく解体する事が可能。


他の三コブがポカンとした表情で俺を見ていたが、ゴブ郎曰く話しかける事が躊躇されるくらいに職人顔で作業していたとのこと。てか、生まれて七日しか経過してないのに職人という言葉を知ってる時点でお前も異常だよと思う俺だが、あんまり気にしないでおこう。ゴブ郎は三本ほど俺と同じ『石の解体ナイフ』を作成して合わせて合計七本の作成に成功した。

作成は昼には終了して、雨が止む気配もないのでゴブ郎がフォーメーションについて話し合う事になった。俺とゴブ美はゴブ郎の話についてはこれるが、ゴブ吉はそれほど理解してないらしく話に参加してもコクコクと頷くだけであった。

改めて思うと、ゴブ郎は同期のゴブリンの中で頭一つ飛びぬけた個体なのだと理解させられる。ゴブ郎のような個体は極めて希少だと俺に教えてくれたのは、このゴブリンコミュニティーのご意見番である最年長のゴブリンであるゴブ爺である。ゴブ郎やゴブ八といった俺達の名付け親でもある爺さんゴブリンだ。最年長といっても二十年しか生きていないが、ゴブリンは基本的に短命であるため二十年も生きていれば長生きに分類される。

ちなみに俺が『石に解体ナイフ』を作るときに使ったMMORPGのような生産系スキルは、本来はゴブリンには持ち合わせてはいないらしい。どの種族にも共通することらしいが、本来の種族が持ち合わせてないスキルを所持しているケースは稀だが存在するとのこと。これもゴブ爺から教えてもらった事だ。

説明を終えたゴブ爺は、下にパンチしている物を隠そうともせずにニコニコとした表情で洞窟の奥に向かった。そこから人間の女性の生々しい声を聞く羽目になる。今は価値観がゴブリンに偏っているため、そこまで人間に対して罪悪感も感じないが、俺の前世の人間としての価値観の残りかすがあるため、若干だが人間に同情してしまう部分もある。今の俺は洞窟の中で地位も低い下っ端ゴブリンであるため助ける事はできない。勘弁してくれ。

八日目

昨日は狩りに出かける事が出来なかったので、木の棒や一角獣の角以外の装備を充実させるために、俺とゴブ郎で四コブの装備を充実させた。ゴブ吉には太い木の棒を加工して作った棍棒と、石の解体ナイフでガリガリに削って作った木の胴鎧だ。

ゴブ美には、最初はスタッフスリングという案もあったが、弓の弦となる材料があるため俺がクロスボウを作成できるよとゴブ郎に伝えると、だったらクロスボウの作成をよろしくと頼まれた。人間サイズで扱うクロスボウは小型のゴブリンには扱いずらいので、俺は小型のクロスボウを作成することにする。弦を引く力もゴブ美の腕力を想定して作成して無事に完成した。

『小型クロスボウレベル1』

制作評価 通常

弦以外の材料が木だけで制作した単純な構造をしたクロスボウ。その使用耐久力も高い。ただし、弦の力が通常のクロスボウより低い為に、大型モンスターを仕留めるには不向き。依存の弓矢の使用は出来ずに専用の弓矢が必要。

『木の矢』

制作評価 通常

戦端を削りだしただけの木の弓矢。威力はそこまで高くない。


まあ、こんなものだ。棍棒と胴鎧も含めて現状だと、ここが俺の腕の限界だ。作成するにも俺のレベルだと、鉄製の武器を作成しようにも制作できない。どうしても原始的な武器の作成が限界であり、レベルの高い武器はそれ相応の環境がなければ作る事は不可能だ。それでも俺の生産スキルのレベルが現状は低いので、失敗する確率が高い。例え成功しても本来の性能を下回る粗悪品しか作れないのが現状。ゴブ爺曰く、俺のスキルは人間だけが持つ職業に近い性質らしく、何度も制作すれば作れる精度も高くなり、俺のような生産スキル持ちは、所持していない個体が作った装備と比べて本来の性能を上回る物が作成できるとのこと。

要するにRPGでいうレベルと同じで、俺は現状では鉄製の武器を作成するには相応しいレベルには達してないようだ。これもいくつか作成してレベルを上げれば作れる範囲も高くなるだろう。武器の充実は俺のような最弱種族にとっては弱さを補えるものなので、この持って生まれた生産スキルは嬉しいものだ。

そして話は狩りに進むと、狩りの成果は装備を充実&フォーメーションが上手くいった為に大成功といってもよかった。黒い鱗が特徴の毒蛇ナイトバイパーが四体。七色の色を翼に備えているカラフルな色が特徴なコウモリであるナナイロコウモリが三体。背部が固い甲殻で覆った狸。ヨロイタヌキが三体。そして毎度おなじみの獲物であるホーンラビットが三体という成果だ。

ここで役に立つのが、俺とゴブ郎で作成した石の解体ナイフである。使える部分を武器や防具としての材料とする作業に入るのだが、そこで問題が生じた。ゴブ吉とゴブ美が作業中の俺達の後ろでよだれをダラダラと垂らして仕留めた獲物をガン見してくるのだ。早く食べたいオーラを充満させる二コブに、どうも不憫で仕方ないのだが、それに気がついたゴブ郎が仕留めたホーンラビット二体を「先に食べていいよ」と言って渡した。

その時の笑顔が印象的で、どんだげ早く食いたかったんだよと思った。それでも俺はゴブ郎の解体作業を手伝う。やっぱり鉄製でない石のナイフであるため、獲物の毛皮を削り出すのには苦労はするが、それでも問題なく無事に解体する事に成功した。

新しい獲物であるヨロイタヌキは、甲殻がゴブ郎が装備している一角獣の角でも貫通できない程の頑丈な甲殻で覆われている。そいつ解体するのに役に立つのが、あの石の解体ナイフだ。これで無理矢理毛皮ごと引き裂くと、無事に解体が終了した。

「ゴブ八は甲殻獣の甲殻を手に入れた」

「ゴブ八は甲殻獣の皮付き甲殻を手に入れた」

またアナウンスが流れた。特に害もないので気にしないでおこう。他の獲物であるナナイロコウモリは、牙と羽を解体した。派手な色だが、そこまで高い防御力を有してなさそうだが、服や装飾品を作るのに使えそうだなと思った。

ナイトバイパーの皮は、意外にも頑丈であったので解体には時間がかかったが、俺の作成したナイフでどうにか無事に解体が終了したが、ゴブ郎が作成した石の解体ナイフだと若干欠けたようだ。この事実にゴブ郎は少し悔しそうな表情をしたが、俺の場合はスキル持ちで作成したものだからとゴブ郎に伝えて矛先が向かないようにする。ゴブ郎はそこまで、気の小さい雄ゴブリンではないが、やっぱり一緒に行動するにあたって少しでも不和があると面倒な事になると判断している。


解体が終わった獲物から食べる事になって、ヨロイタヌキはコリコリとした触感で噛み応えがあった。ナナイロコウモリはやらかい肉であり、俺としては少し微妙な肉だなと思った。そして最後の獲物であるナイトバイパーは、これまで狩った獲物よりもはるかにうまい肉だと思った。これで焼き肉で食ったらうまいだろうなと思って、そこに白いご飯が欲しいと思った。いくらゴブリンに生まれ変わっても、やっぱり前世は人間で、しかも日本人だったので、どうしても米が欲しくなります。

そう思って今回の豊富な獲物の数に満足したのだった。なお、ナイトバイパーの牙には毒があるので頭を食う事はやめたほうがいいとゴブ郎が伝えたが、お前はどうして平気で食えるんだとツッコんでしまったが、気まずそうな表情のゴブ郎だったが、あんまり気にしてないので、平気ならそれでいいと俺は言った。

色々な種類の肉が食えて、二日ぶりに腹いっぱい食えて俺は満足だ。ナイトバイパーの頭を食って若干羨ましいそうな表情のゴブ吉とゴブ美を除いて
 
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