八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十六話 花火が終わってその二
「家の仕事には就かないで」
「お医者さんになったか」
「それで今はイタリアにいます」
「一族の中では浮いていると見受けるが」
「そうですね、一族でお医者さんは親父だけです」
実際にだ。
「病院を経営しているので医師免許を持っている人は結構いますが」
「メスを執る人はいないな」
「親父だけです」
現場で動いている人はだ。
「それも自分でお金を稼ぐ人も」
「君のお父上だけだな」
「そうです」
「そうだな」
「そうした意味でも変わってます」
うちの親父はだ。
「自分で稼ぐ方が稼げるし現場が楽しいって言って」
「ブラックジャックの様にか」
「自分でも言ってますし」
自称でだ。
「ブラックジャックだって」
「それだけの自信家か」
「そうなんです、親父は」
他のことでもそうだけれど特に医術のことではだ。
「だから貰う報酬も破格なんです」
「そのままブラックジャックだな」
「それで稼いだお金で遊んでいます」
このことはブラックジャックとは違う、あの人は稼いだお金で環境を保護する様なことをしている実は凄くいい人だったが。
「まあ義理人情はありますけれど」
「お金は稼いでもだな」
「本当に困っている人から手術を頼まれたら」
それでもお金がない人がいてもだ。
「断らないです」
「それで無償で手術もか」
「してます、それで失敗したことは」
そうしたことはだ、僕の知っている限り。
「ないです」
「ふむ。そうなのだな」
「ですから一族の中で確かに遊び人でそのことを言われますが」
それでもなのだ。
「皆根っこでは悪く言ってませんね」
「そうなのだな」
「悪人でも腐ってもいないですから」
本当にだ、息子の僕も保証することだ。
「絶対に」
「それはいいことだな」
「そう思います」
息子の僕にしてもだ。
「本当に」
「それはいいことだな」
「ええ、まあそれでうちの親父は」
僕はまた親父のことを話した。
「お金についてはです」
「ご本家とは関係がないか」
「ご本家にはよく怒られていますし」
「その暮らしからか」
「はい、お酒と女の人はです」
本当にだ、いつもだ。
「いい加減にする様にと」
「それは誰もが言うな」
「やっぱりそうですよね」
「ご本家も言わずにはだ」
それこそというのだ。
「いられないのだ」
「ですよね、やっぱり」
「そうした生活はよくはない」
親父みたいな生活はというのだ。
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