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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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いやあれモグラじゃないでしょ?

 
前書き
現在連載しているアルバレス編のスプリガン12のジェイコブなんですが・・・ブランディッシュとカラコール島で接触した時のスプリガン12のシルエットの中に、彼がいない気がするのは気のせいでしょうか?
まだ出てきていない残りの二人を勝手に想像しようとシルエットを見直した時にあれ?と思いましたので・・・ 

 
次の日の朝・・・

「どうしたんですか?グレイさん」
「いや・・・なんでもねぇ」

今日はギルドに帰ることになっていたので、朝食を食べるとすぐに馬車の停留所まで徒歩で向かうことになった。それはいいのだが、なぜかグレイさんがアクビを連発しており、眠そうなのである。何があったのか聞いても答えてくれないし、何があったのかな?

「ここから一番近い停留所はどこなんですか?」
「ドロマーズの村にある停留所だな」

前を歩くウェンディとエルザさんが馬車の停留所の場所についての話をしている。

「ね~、昨日から聞きたかったんだけどさ~」
「ドロマーズの村って何なの?」

彼女たちの後ろを歩いていたセシリーとシャルルが質問をぶつける。俺も気になってたんだよな。聞いたことない村の名前だし。

「ドロマーズの村は周囲を自然に囲まれた村でな。農作業が盛んだと聞いたことがある」

今俺たちが歩いているのは森の中。周囲を見回してみても全然都会って感じはしないし、まさしく自然!!って感じのところである。ドロマーズの村もきっとこんな感じなのだろうか。

「ここがドロマーズの村だ。停留所までもう少しだぞ」

エルザさんがそう言い俺たちは村を見る。すると、そこには目を疑う光景が広がっていた。なぜならそこは村というより、ドロ沼といった感じだったのだから。

「な・・・何コレ!?」
「村・・・なんですか?」

俺とウェンディがその光景を見て足を止める。グレイさんたちも同じように足を止め、村の方を見下ろしている。

「ん?あれは・・・」

すると、エルザさんが何かに気付いた。そこにいたのはドロまみれになっている男の人と女の人と一匹の猫。

「ナツ!!ルーシィ!!ハッピー!!」

それは俺たちと同じギルドに所属する、ナツさんたちだった。

「皆さ~ん!!どうしたんですか?」
「そんなところでドロコ遊びか?」
「また何か壊したんですか?」

なぜ彼らが泥まみれになっているのかさっぱり理解できない。またナツさんが何かして村をこんな風にしたのかとも思ったけど、さすがのナツさんでもここまではできないだろう。レオンとかならできそうだけど。

「みんな!!」

ハッピーに持ち上げられているルーシィさんは俺たちを見て嬉しそうな表情をする。一体何があったのか聞くために、俺たちは彼らの元まで降りていくことにした。





















地下水が湧き出ており、それが地面を溶かして泥沼と化している村。俺たちはその中にある一件の屋根の上で、ナツさんたちから話を聞いている。

「―――ということなのよ」
「なるほど」

簡単に説明すると、これはギルドに来た依頼だったらしい。村に出てきた巨大モグラが穴を掘りまくったせいで地下水に当たり、村を浸水しているのだとか。だから巨大モグラを退治して、村を元通りにしてほしいというのが、今回の依頼らしい。

「話はわかった。そういうことなら、我々も手を貸してやろう」
「ただし、報酬の分け前はいただくがな」

事情を聞いたエルザさんとグレイさんはナツさんたちに協力することで一致したらしい。もちろん俺たちも手伝うけどね。

「やった!!エルザたちがいてくれればモグラに勝てるよ!!」
「だから、あれって本当にモグラなの?」
「さぁな」

俺たちが手を貸すというとハッピーは大喜びし、ルーシィさんは自分たちを泥まみれにした相手の正体に疑問を持っているようだった。

「そっちは仕事の帰りか?」
「はい!!泊まりがけで山賊退治にいってたんです」
「軽く蹴散らしてきましたよ!!」

ナツさんの問いにウェンディと俺が答える。てかあれ本当に山賊だったのかな?ただのヤンキーぶってる兄ちゃんたちのようにも見えたぞ?

「それに比べてお前はモグラに苦戦中か。大魔闘演武優勝ギルドの名が泣くぞ」
「うっせー!!グダグダ言うなら帰れ!!」
「手伝ってやるってのにそんな言い方あるか!!」
「俺が頼んだわけじゃねぇ!!」

例によってケンカを始めてしまいそうな二人の青年。だが、エルザさんが一睨みすると、彼らはそれに怖じ気づき、静かになるのだった。

「でも、地面がこんなにドロドロだと、そのモグラがどこにいるのかわかりませんね」

ウェンディの言う通り、地面はドロドロで何も見えない状態。とてもじゃないがこの中から何かを敵を見つけるのなんてできるわけがない。普通の人ならね。

「任せて!!こういうのは俺の得意分野だから!!」

敵がどこにいるのかわからないならそれを探り当てる能力を使えばいい。俺の目はいかなるものでも見通すことができる。例えこれだけ濁っている泥の中のものであろうと、それを探すことなど造作もない!!

「モグラモグラ・・・」

建物を中心としてターゲットである巨大モグラを探す俺。すると、何やら巨大生物を発見する。

「おっ!?」
「見つけたの?」

ウェンディが俺が何かに気付いたのことにいち早く反応してそばにやってくる。俺はその巨大生物をよりよく見てみる。だが、隅々まで見てみるとあることに気付いた。

「いやあれモグラじゃないでしょ?」

恐らく・・・俺が今見ているものが今回の依頼の対象であることは間違いない。だけど、なんか違うような気がする。モグラがどんなものか見たことがないからわからないけど、あれは本当にモグラなのだろうか?

「何でもいい!!どこにいんだ!?」
「あそこです!!」

そう言って俺がモグラ?の居場所を指さす。ただしモグラは泥の中。どうやって引きずり出せばいいのか・・・

「俺に任せな。アイスメイク・・・釣竿!!」

グレイさんは氷の釣竿を作るとモグラのいる場所へと投げ込む。すると、それに釣られたモグラが姿を現した。

「釣れたぁ!!」
「デカ~!!」
「いくぞ!!全員で攻撃だ!!」

予想外の大きさに初めてそれを見たものは全員驚いている。だが、エルザさんの指示で正気を取り戻すと、すぐさま全員で一斉に攻撃をする。

「天竜の咆哮!!」
「水竜の咆哮!!」
「アイスメイク槍騎兵(ランス)!!」
「火竜の咆哮!!」

エルザさんとルーシィさんを除いた全員での攻撃。だが、それをモグラは泥の中へと潜って回避してしまう。

「クソッ!!どこいった!?」
「今探してます!!」

潜ったモグラを探すために泥の中をもう一度目を使って探る俺。だが、視界に移るところには見当たらない。

「ここの下か?」

屋根の縁にまで降りていき建物の下を覗き見る。すると、俺が顔を見せたのと同じタイミングでモグラが目の前に飛び出してきた。

「どわぁぁぁぁ!!」

不意を突かれてしまい思わずふらついてしまう。その結果足を滑らせ、泥の中に落ちそうになった。

「危ない!!」

落ちそうになった俺を咄嗟に掴んだのはウェンディ。しかし、彼女の力だけでは落ちそうになる俺を支えることができず、彼女も一緒に落ちそうになってしまう。

「くっ!!」
「捕まれ!!」

そんな俺たちにグレイさんとエルザさんが手を伸ばす。俺とウェンディはそれぞれ相手の手を取り、落ちる寸前で止まることができた。

「モグ?」

ま、すぐに落ちたけどね。

「「どわぁぁぁぁ!!」」

いきなり目の前にモグラが現れたことで驚いた二人の妖精。そのせいで彼は掴んでいた手を離してしまい、落ちる俺たちをもう一度掴もうと身を乗り出したのだが、届くはずもなく、無理に上体を投げ出した彼らも落ちるはめになってしまった。

「こんにゃろう!!」

それを見たナツさんが捨て身でモグラへと飛び乗ろうとする。だが、頭がいいモグラはすぐに泥へと入っていき、目標を失ったナツさんは、泥沼へと落っこちたグレイさんと衝突していた。

「いてぇなこの野郎!!」
「おめぇこそこんなとこいんな!!」

胸ぐらを掴み怒り心頭のグレイさんと両手をバタバタとさせて文句を言うナツさん。

「ケンカしてる場合じゃありません」
「あの二人には無理な話だけどね」

ウェンディと俺、それにエルザさんとルーシィさんは四人揃って泥まみれになりながらケンカしている二人を頭を抱えながら見ている。もう止めませんよ。絶対に無駄だから。

「モグラはどこだ?」

エルザさんがそういい、全員でモグラの居場所を突き止めようとする。だが、そんな必要はなかった。なぜなら・・・

「モグ」

目の前にそいつはいたのだから。

「「「きゃああああああ!!」」」
「「「うわああああああ!!」」」

かなりの至近距離に巨大モグラがいて叫ぶ俺たち。敵の手から逃れようと全員で泥の中を泳いで逃げようとする。

「要するに、上がれる場所があればいいんだろ!!」

泳いで逃げ切るには無理があると悟ったグレイさん。彼は自らの造形魔法で巨大な氷の島を作り出す。

「みんな!!上に上がれ!!」

目の前の驚異から逃れるために必死に氷の壁をよじ登る。

「ツルツル滑って上がれません!!」
「ウェンディ!!掴まって!!」

島全てが氷でできているため、登るところが滑る滑る。俺はなかなか上がれないウェンディの手を掴み、出っ張っている箇所を器用に使ってよじ登っていく。

「シリル!!手ぇ出せ!!」
「どうも!!」

先に上りきっていたナツさんの手を掴み、引っ張りあげてもらう俺とウェンディ。おかげで、迫ってきていたモグラから間一髪逃げることができた。

「助かりました」
「ひどい目にあった」

ここならモグラに襲われる心配もないし、一安心といった感じで座り込む面々。

「うぅ・・・寒い、お尻が冷たい」
「贅沢言うな」

座っている部分が氷のため、ルーシィさんが震えながらそう言葉を漏らす。でもグレイさんがいてくれて良かった。他の人の魔法じゃどうしようもないし。

「今度はどっから出てくる?」
「せめてこちらの思い通りの場所に誘き出せれば、待ち伏せもできるのだが・・・」

モグラがどこから出てくるかキョロキョロと辺りを見回すナツさんと、愚痴にも似た言葉を述べるエルザさん。

「みんな!!気を付けて!!」
「下にいるわ!!」
「真下にいるよ~!!」

ハッピーたちがモグラがどこにいるのか気づいたらしく、言われたように下を向く。するとそこには、確かにモグラが俺たちのことを覗き見るように存在していた。

「こんなところに!?」

ルーシィさんがあまりにも予想の斜め上をいくモグラの居場所に驚愕している。だけどこんなところにいるなら、何も危害は加えることはできないだろうし、じっくりと作戦を練ってから―――

「火竜の鉄拳!!」

なんてことを考えていると、ナツさんがいきなり俺たちのいる氷の足場をぶん殴る。当然彼のパンチにただの氷の島が持ちこたえられるはずもなく、俺たちは再び泥の中へと落ちてしまった。

「ちょっとは考えろ!!」
「つい手が出たんだ!!」

何も考えずに行動する彼にグレイさんが激怒し、怒鳴られた彼は逆ギレしている。

「モグ」
「「「「「!!」」」」」

彼らが口論していると、こちらをじっと見ているモグラ。彼?俺たちを見回したあと、ある一人の女性のところでその視線を止める。

「またあたし!?」

ルーシィさんを見つけたと同時に彼女を追いかけ始めるモグラ。だが、運よくルーシィさんの目の前には木があり、彼女は普段では決して見れない機敏な動きでその木を登っていく。

「みんな!!ルーシィがモグラを引き付けているうちに」

ルーシィさんが木に登るとモグラがそれを倒し、エトワールフルーグで次の木に登るとまたモグラがそれを倒すのを繰り返す。ルーシィさんがそれと追いかけっこをしている間に、俺たちは建物の屋根の上に避難する。

「楽しいそうだなぁ、俺もやりてぇ」
「遊んでるんじゃなぁい!!」

腕組みをしてのんきにそんなことを言っているナツさんに突っ込むルーシィさん。そろそろヤバくなってきた彼女を見て、ハッピーとシャルルとセシリーが救援に向かう。
三人のエクシードによって持ち上げられたルーシィさん。だが、それを見たモグラは彼女たちを殴り飛ばす。

「火竜の咆哮!!」
「アイスメイク槍騎兵(ランス)!!」
「水竜の咆哮!!」
「天竜の咆哮!!」

モグラを追い払おうと一斉に攻撃をする。案の定モグラには逃げられたけど、ひとまずルーシィさんたちの無事は確保できたからよしとするか。

「お~い、大丈夫か?」
「全然大丈夫じゃないわ」
「口の中がジャリジャリする」
「僕たちまでドロドロに・・・」

泥沼の中に浮かんでいる四人に声をかけるナツさん。見た感じ大丈夫そうじゃないのはわかる。シャルルに至っては何も言おうとすらしないし。

「もうやだ・・・なんであたしばかり追いかけられるのよ・・・」

涙ながらにそういうルーシィさん。これには何か理由がある。そう考えた俺たちは、依頼主である村長さんのところに、話を聞きにいくことにした。























「話せば長くなりますが、あのモグラは村の住民が飼っていたペットだったのです」
「「「「「ペット!?」」」」」

村長さんのところであの巨大モグラについての話を聞いている俺たち。なんでもあのモグラは、元々は小さなモグラだったらしい。だが、彼を飼っていた住民が遠くに引っ越すことになり、村へと置いていった結果、捨てられたと思い込んだあれはぐれてしまい、野生化してあれほどまでの巨体になってしまったとか・・・
そして村へと帰ってきたモグラは、人間に復讐するためにこんなことをしているのだとか。

「そういうことだったのか」
「てゆーか、あくまでモグラって主張するのね?」
「もうどっちでもいいです」

あれがモグラではないとは思っているけど、だからといって何なのか問われると答えることができない。もう何でもいいですというのが正直な俺の気持ち。

「事情がわかってみると、モグラさんが気の毒ですね」

モグラの過去について同情するウェンディ。その気持ちは痛いほどわかる。だって彼は悪くないのだから。

「しかし、なぜルーシィばかり追いかけるのだ?」

顎に手を当て、もっともな疑問に頭を悩ませるエルザさん。その質問に村長が答える。

「今はモグラの繁殖期、恋の季節です。だから若い女性であるルーシィさんに引き付けられるのでしょう」
「つまりルーシィと結婚したがってるんだ!!」
「冗談じゃないわよ!!」

衝撃の事実発覚!!あのモグラはルーシィさんに一目惚れしているため、彼女を追いかけ回していたらしい。しかし、それを聞いたエルザさんがささやかな疑問をぶつける。

「私も若い女性だぞ?なぜモグラは私を狙わない」

不満そうな表情のエルザさん。彼女はモグラに追いかけ回されたいのだろうか?それともルーシィさんに負けているのが気にくわないのだろうか、かなり怒っているように見える。

「エルザさんは鎧を着ています。男か女か見分けがつかなかったのでしょう」

それを聞くと彼女は納得したように数回うなずく。だが、それに対してこの少女が疑問を感じた。

「あの~・・・私も一応若い女の子なんですけど・・・」

遠慮気味に村長さんにそう言ったのは天空の巫女。彼女は可愛いし、狙われたっていいはず。別にルーシィさんが追いかけられてウェンディが追いかけられないのが不服なんじゃない。ただ、気になっただけだ。

「あのモグラは胸の大きな女性が好きらしいのです。ので、ちょっと・・・」
「ガーン!!」

まさかの展開に大号泣のウェンディ。崩れ落ちそうになる彼女を慰めながら、俺は黙って彼女を支える。

「女の子は胸だけじゃないのに・・・」

涙を流すウェンディの隣でちょっと膨れて見せる。あのモグラ・・・許すまじ。

「でもいいこと聞いたね~!!」
「そうね。そういうことなら作戦も立てられるわ」
「うん!!モグラを誘き出すいい手があるよ」

セシリーたちが今の話を聞いてある作戦を思い付いたようだ。俺も同じことを考えたし、皆さんもきっとそのはず。なので全員、この作戦のキーマンである女性に視線を集中させていた。

「え・・・えぇ?どういうこと・・・?」

冷や汗を流すルーシィさん。もうこうなったらこれしかない。ウェンディを泣かせたモグラを退治するため、俺たちは作戦の準備へと取りかかった。




















「こういうことか・・・」

純白のドレスに身を包み、小さな船に一人乗っているルーシィさん。俺たちは彼女を見ることができる家の屋根の上に集合している。

「ルーシィさん素敵です」
「似合ってますよ、ルーシィさん」
「これならモグラも、喜んで誘き出されてくれるだろう」

今回の作戦は簡単。ウエディングドレスを着ているルーシィさんを見てモグラが現れたところを全員で捕まえる。シンプルいずベスト。ゆえに成功率も高いはず。

「モグ」

すると、いきなりモグラはルーシィさんの目の前へと姿を現した。

「開け!!処女宮の扉!!バルゴ!!」


先制攻撃を放つためにバルゴさんを召喚するルーシィさん。だが、召喚された場所が悪かった。呼び出されたバルゴさんは、船の上ではなく、泥沼の上に出てきていたため、その中へと一瞬で落ちてしまっていた。

「シャワーを浴びに帰りたいのですが」
「出てきたばっかでしょうが!!」

テンションがた落ちのバルゴさん。だが、そんなことなどお構い無しにモグラはルーシィさんに突撃する。

「バルゴ!!モグラを泥の中から追い出して!!あんたなら、地面を掘るの得意でしょ」
「わかりました。ですが、まずは姫を安全な場所にお連れします」

船の上に立っているルーシィさんの手を掴むと、泥の中を猛スピードで泳ぎ始めるバルゴさん。彼女に引っ張られているルーシィさんは、泥の表面をバウンディングしながら悲鳴を上げている。

「デッカイのに早ぇ!!」
「バルゴのスピードに負けてないよ!!」
「できる」

妙に冷静にことの次第を見守っている俺たち。モグラが泥の中から出ないことには何もできないし、彼女たちにしばらく任せることにしようか。
そのまま状況を見ていると、モグラは一度潜水して体勢を整えようとする。だが、それに気付いたバルゴさんも泥の中へと潜っていき、次の瞬間、空中に巨大な体が浮き上がった。

「みんな!!今よ!!」

ルーシィさんのその声で一斉に魔法を放つ妖精たち。それは身動きの取れないモグラを見事に捉え、待ち伏せしていたエルザさんの元へと飛ばされていく。

「いったぞエルザ!!」
「仕上げは私だ!!ハァァッ!!」

無限時計の時に実は実はの人から授けられたハンマーを使い、モグラの頭を叩くエルザさん。まともに攻撃を受けた彼は、涙を流しながら地面に飛ばされ、倒れていた。

「峰打ちだ。ケガはさせていない」

ドヤ顔で仁王立ちするエルザさん。どう見てもかなりの痛手を負っているようにも見えるが、気にしたら負けだ。突っ込んでもダメだぞ。
俺たちは意識を失っているモグラに網を被せて身動きを完全に封じる。

「さて、捉えたはいいが、こいつをどうしたものかな」
「何かしようにも」
「悪いのはモグラさんを捨てた飼い主ですし」
「といって、見逃したらまた迷惑かけるでしょうしねぇ」
「難しいところだね~」

捕まえたその後について話し合う俺たち。事情を聞いた感じ、このモグラに何かをするのは気が引ける。かといって何もしないわけにもいかないし、悩み所である。

「おいモグラ。お前そんなに嫁さんがほしいのか?」

ナツさんの問いにうなずくモグラ。だが、ルーシィさんに断られてしまった彼は、ガックリ肩を落としている。

「姫、ただいま戻りました」

すると、そこにモグラを打ち上げたバルゴさんが戻ってきた。謎の巨大生物を連れて。

「「「「「うわっ!!」」」」」

ド迫力の巨大生物に後ずさりした俺たち。何あれ?エビ?

「地面の中を探して、メスのモグラを見つけてきました。仲間がいれば癒され、村に迷惑をかけるのもやめるのではないかと」
「モグラでもないし、同じ生き物でもないし・・・」

バルゴさんの見つけてきたのは俺たちが捉えたモグラとは別の生き物。なのだが、二匹は互いを見つめ合うと、目をハートにしている。

「オオッ!!うまくいきそうだぞ!!」
「ロマンスの予感ですね!!」
「そ・・・そうだね」

いい雰囲気の二匹のモグラ(でいいよもう)オスのモグラは自分を捕らえていた網から抜け出ると、メスのモグラの手を取る。
そのまま手を取り合い泥の中へと向かっていくモグラたち。だが、ここでアクシデントが俺たちを襲う。

「やべぇ!!」
「引っ張られてる!!」

オスを捕らえていた網がなんと尻尾に絡まっており、逃げないようにそれを掴んでいた俺たちも一緒に引きずっているのだ。

「「「「「うわあああああ!!」」」」」

そのまま泥の中へとダイブする二匹のモグラ。当然の如く、俺たちも泥の中へと引きずり込まれてしまった。

「姫のお役に立てて、嬉しく思います」
「私は嬉しくな~い!!」

能天気なバルゴさんと泣きながら叫ぶルーシィさん。ペットの扱いには、絶対に注意しなければと思ったこの日の依頼であった。












 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
モグラの奴、ウェンディを泣かせるとは万死に値します。
それはさておき、次はまさかのグラシアン視点でストーリーをやろうと思います。そう言うと何をやるのかおおよそ検討がつきますね。そうです、可愛いあいつの物語です。 
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