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『最低な女』

作者:零那
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『別居の意味』



別居が始まり、別居の初日から蒼は元の家で弟と夜中じゅうゲームをする。
確かに綺麗に片付いてはいない。
けれど、寝る部屋は綺麗に出来ている。
布団も新しいのを買ってあるし敷いてある。

何がそんなに気に入らない?

そんなに自分の家族が良いのか?
我が子より親や弟が好きなのか?

比べるものなのかどうか解らないけれど、未桜にとっては我が子以外に家族と呼べる人は居ないから。

蒼は違ったんだろう。
所詮ぬくぬくと温室で育った弱い人間だったんだろう。
自分の子供より、自分が子供で居たいということなんだろう。

他人からしたら大したこと無いことかもしれない。
未桜にとっては幻滅に値するくらいだということ。

我が子以上に大事なモノなど何ひとつ無いのだから。
未桜にとって娘は唯一無二の存在。
生きてく為には、娘はなくてはならない存在。
娘以上に大事な存在は居ない。

そんな現状の未桜には、蒼の行動の意味や考え、気持ちが解らない。
蒼は、未桜のことを、お金をくれる人、性欲処理してくれる人、娘の面倒見てくれる人...そういう風に思っているのだろうか。

自由にさせ過ぎたのだろうか。
ヤリたい時と小遣いねだりの時は猫なで声ですり寄ってくる。

元々、友達や弟が大好きだったので理解してきたつもりだった。
けれど、別居初日に別居しないってのは未桜にとっては有り得ないことだった。
全否定された気分だった。

話し合うべき事などもあると伝えていたのに...。
真剣な話が嫌いな蒼は逃げたのだ。
蒼自身の給与のことや支払いの件など、金銭的なことは大事。
自分の給与をどうされているか知っとくべきだと思った。
全部ちゃんと話し合おうと思っていたのに。

蒼の稼ぎで生活できるワケじゃないのも解っているのかいないのか...。
だからせめて家賃は蒼の給与から払って貰うという話だった。
タバコや酒、昼食代、その他仕事関係のモノなどのお金は出す。
お小遣いはチャントお小遣いとして、自分が自由に遣って良いものとして渡すと。

蒼にとって少しでも良いことが増えるようにと考えて別居も決めたことだった。
蒼の為にしたことだったのに。

すごく裏切られた気分で、一気に冷めたとはこんな感覚か?と思った。

こんなんだったら、わざわざデリをまた始めるんじゃなかった。
それは未桜が勝手にやったことだけど、未桜にはこれしかなかった。
面接も受からない。
バイトすら雇ってくれない。
デリしかなかった。

それでも蒼の為に...。
そう...蒼の為とか考えたのが間違いだった。
育児だけに集中していれば良かった...?


 
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