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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十五話 夏の花火その七

「今では完全に定着していますわ」
「嫌な定着ね」
「確かそのマスコットっテ」
「あのインドみたいな服の子あるな」
 ジューンさんと水蓮さんも言って来た。
「あれはないネ」
「気持ち悪いある」
「否定出来ませんわ。奈良県民としましては」
 円香さんは暗い顔のまま話していく。
「他のゆるキャラの方がよかったですわ」
「他にもあるわよね、そういえば」
「千ではなく万になったものや仏なのでなーむとなっていたり」
「そっちの方がいいわよね」
「妖怪ではないですから」
 まことに、という口調での言葉だった。
「それで御の字ですわ」
「そうよね」
「ですが」
「それでもマスコットは」
「あれですわ」 
 とても嫌そうな言葉だった、実際に。
「困っていますわ」
「難儀な話ね」
「まことに」
「ううん、奈良県も大変ね」
「とてもいい場所なのですが」
「奈良県って過ごしやすいっていうわね」
「はい、しかも景色は奇麗ですわ」
 ただ過ごしやすいだけでなく、というのだ。
「しかも歴史もありまして」
「東大寺とか」
「春日神宮もそうですし」
「あと明日香ね」
「あそこは全体がです」
 明日香村という場所そのものがというのだ。
「そうした場所の集まりです」
「そうよね」
「奈良の子供は皆行きます」
「学校で、よね」
「はい、遠足とかで」
「そうなのね」
「聖徳太子ゆかりの場所もありますが」
 ここでだ、円香さんは聖徳太子についてこう言った・
「あの方は実在されていなかったとか」
「そんな話出てるわね」
「私は実在しておられたと思いますが」
「その辺りどうなのかしらね」
「さて、ただ」
「貴女はなのね」
「そう思っています」
 聖徳太子は実在しているとだ、円香さんは信じているというのだ。
「その様に」
「そうなのね」
「はい、とにかく明日香村もありますし吉野もあります」
「県全体が歴史ね」
「そう言うべき場所ですわ」
「それが凄いと思うわ」
 しみじみとしてだ、詩織さんは言った。
「県全体がそうってね」
「よく言われますわ」
「そうでしょ、奈良凄いわよ」
 それこそというのだ。
「羨ましいわ」
「そう言われますと」
「駄目?」
「恥かしいですわ」
 実際にそうした顔での言葉だった。 
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