八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十四話 綿菓子その十五
「そうしたものの方がいいのではないのか」
「そういえば確かに」
「そうだな、夏祭りで飲むものはだ」
「サイダーかラムネなのですね」
「コーラもだがな、甘い炭酸飲料だ」
「そういうものですわね」
「そうも思うがお茶もだ」
こちらの飲みものもというのだ。
「確かにいい」
「小夜子さんがお茶でもと買いに行ったので」
「小林君次第か」
「そうなります」
「そうだな、ではな」
ここまで話してだ、そしてだった。
詩織さんも花火を見ていた、そのうえでこう言った。
「この花火は」
「どうかな」
「凄いわね」
こう僕にも答えた。
「奇麗だし量もね」
「どんどん上がってね」
「こんな凄い花火そうそうないわよ」
「八条グループがお金出してるんだ」
「義和君の実家の」
「そうなんだ、毎年このお祭りの花火はね」
「八条グループが出してるの」
「お金はね」
「そうなのね」
「もっと言えば花火を作っている会社も」
そちらもだ。
「八条グループだし」
「ああ、それじゃあ」
「全部やってるんだ」
この花火のそれはだ。
「うちのグループでね」
「職人さんもよね」
「勿論だよ」
「つまり全部グループでしてるのね」
「花火のことはね」
「どうしてそうしてるの?」
「神社への献納なんだ」
それでとだ、僕は詩織さんに答えた。
「八条神社へのね」
「花火自体が」
「そうなんだ、勿論神社自体にも色々しているけれどね」
お金を献納したりだ、八条家はこの町に拠点があって全世界に展開している。その町の神社の中でもとりわけ大きくてお寺やキリスト教や天理教の教会も含めて町のあらゆる宗教団体のまとめ役でもあるこの神社にはだ。
「寄進とかね」
「そういうこともしてるのね」
「そうなんだ」
「それはしないといけないの?」
「強制でも義務でもないけれど」
それでもとだ、僕は答えた。
「やっぱりそうしたことはしないと」
「駄目なのね」
「資産があると」
このことは紛れもない事実だからだ、八条家自体が。
「そうしたこともしないとね」
「社会的義務っていうか」
「そうなることだからね」
「だから花火も全部しているのね」
「献納でね」
「わかったわ、じゃあその花火をね」
「今もね」
「観させてもらうわ」
「そうしようね」
こうした話をしながらだった、僕達は花火を観続けた。そうしたことを話している間に小夜子さんがこちらに来ていた。
第六十四話 完
2015・10・17
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