八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第六十四話 綿菓子その十三
「それ駄目ヨ」
「とても見せられないあるよ」
「ですからお気をつけ下さい」
また言った円香さんだった。
「本当に」
「わかったヨ、じゃあね」
「気をつけるある」
「そういうことで」
「しかし。最近は誰もが穿くな」
井上さんは今も花火を観つつ言った。
「浴衣の下に」
「下着ヲ?」
「それをあるか」
「本来は穿かないのだがな」
「そのこと畑中さんの奥さんにも言われたヨ」
「浴衣の下は何も穿かなかったあるな」
「下着のラインが出るかラ」
「それでだったあるな」
二人で言う、このことは着物全体がそうだ。
「今は違うにしてモ」
「そうだったらしいあるな」
「褌は穿いていた」
「あの日本の下着ネ」
「男が穿いていたあるな」
「それを女性も穿いていたのだ」
かつてはというのだ。
「日本ではな」
「何と、そうだったノ」
「女の子も褌だったるか」
「日本凄いネ」
「それはまた大胆ある」
二人はその話を聞いて驚いていた、話を聞いている僕も実ははじめてその話を学校の先生に授業中聞いて仰天した。
「あの下着は凄いヨ」
「普通のショーツより遥かに刺激が強いある」
「それを浴衣の下に着るなんテ」
「物凄いあるな」
「あと下着は襦袢や湯文字もあった」
そうした服もというのだ。
「湯文字は腰に巻く布だが」
「けれどショーツみたいなものはなイ」
「そうだったあるな」
「そうだ、だから穿かなかったのだ」
浴衣、そして着物の時はというのだ。
「本来はな、だが時代は変わった」
「最近はです」
円香さんも話す。
「下もですわね」
「そうなったな」
「袴の時は違いますが」
「あの、ちょっと」
僕は話を進める二人に横から言った。
「僕がいますので」
「むっ、そうだった」
「義和さんがおられるので」
「こうした話はな」
「慎むべきですわね」
「それでお願いします」
「ではな、とにかくだ」
あらためてだ、井上さんは話した。
「飲み過ぎてしかも浴衣を着ている」
「そのことをなのネ」
「いつもと違うということあるか」
「不覚を取ることになる」
その深くはもう話していた、これまで何度も。
「そうしてくれ、いいな」
「沙耶香がそこまで言うのならネ」
「わかったあるよ」
二人も井上さんの言葉に頷いてだった、そのうえで。
花火を見続けていた、そのうちに。
ふとだ、誰か気がした。それで花火の合間に周りを見回すと。
詩織さんがいた、青の浴衣に紫の朝顔と緑の蔦がある。帯は群青色で黒髪を後ろで束ねてそのうえで団子にしている。
その詩織さんを見てだ、僕は尋ねた。
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