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役職?召喚魔術師ですがなにか?

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初めての決闘はダンジョンで

 
前書き
お気に入り件数が嘗て無いほどにある事に気づきまして、正直予想外でした。
完全に自己満足で書いていたのに対して、義務感の様なものが涌き出てしまいます。
大変喜ばしく思いながらも、これから頑張っていこうと思いますので、どうぞ暖かく見守ってやってください。 

 
「テメェ、雑魚の癖にこんなところに突っ立ってんじゃねぇぞ」

こんな言葉から始まる今日と言う一日。
現在ダンジョン41階層に位置する岩山の上に乗って、団体さんと怪物の戦いを見物しておりましたところ、犬耳の男に絡まれております。
つーか犬耳の男とか誰特?しかも声がアセロラな感じだし。

「君は、誰かな?」

何故か小さい少年までいる。
ダンジョンに子供を連れてきても…いやまてよ?
確かリリは小人族(パルゥム)とか言う種族で、大人でも背が低いのが当たり前だとか言っていた筈だ。
見たところこの少年?は装備が充実してるし、立ち住まいも凛々しく見える。

「通りすがりの決闘者(デュエリスト)ですね」

「決闘者だあ?嘗めてんのかテメェ…」

「嘗めたら汚いぞ」

「そう言う意味じゃねぇ!ぶち殺すぞ!」

「ほらほら、そんなすぐ死ねとか殺すとか言わない。殺すぞ?」

「君も言っているね…」

何かこの方々は面白そうな雰囲気を纏ってらっしゃる。

「僕たちはロキ・ファミリアの団員で、団長のフィン・ディムナだ。
こっちはベート・ローガ。君は?」

「タケル・オオモト。さっきもいった通りで決闘者だ。
主神にソーマ様を崇める、良心的なファミリアの団長だよ」

「ソーマだと?まさかとは思うがテメェ、俺達に怪物進呈しようとか思ってんじゃねぇだろうな?」

いつの話をしているのか?
ソーマ・ファミリアのお掃除回なら2ヵ月くらい前に終わってるはずなんだけど。

「んなことするわけがない。
そんなことしてる暇があったら魔石拾って換金してくるわ」

「俺達は眼中にねぇってか?」

「話聞いてたか?俺は見学してただけ。
終わったら先に進もうとしてたんたろうが」

「つまり俺達をだしに使って先に進もうとしてたんたろうが。
流石はソーマ・ファミリアだな。汚ねぇ手を使いやがる」

「そうだね。正直誉められた行動ではないよ」

話を聞かない連中だな…。
本当にこいつらは何を言っているのだろうか?
ソーマ・ファミリアが犯罪集団だったのは2ヵ月も前のことだ。
今ではそれなりの商業系ファミリアとして動いているし、アストレアの方々の協力である程度信用回復をしてきた。
それなのにこいつらは知らないという。

「俺が見ていた理由は、最強を唱うファミリアなのになんであんなに遅いのか、って見てたんだけど?
正直そろそろ行こうかなーって思ってたと頃なんですけどねぇ?」

「それは、君の方が僕らより早く殲滅出来たような言い方だね」

「その通りですが何か?」

別に慢心する訳じゃないけどね。

「イライラする話し方しやがって…雑魚が調子にのってんじゃねぇぞ」

「雑魚?ああ、最強のファミリアは他者を見下す傾向にある、と。
これは怖い。弱く見える相手に強気で攻める言動、近寄りたくはないな」

「…それは、どう言うことなのかな?
僕らはこれでも最強を担う一角のファミリアだ。
新人冒険者には気を使い、育成も手掛けている。
貶したことなんて、あるはずがないだろう」

「いやいや、現在進行形でけなしてるでしょうが。
足元見て、こいつはソーマ・ファミリアだから驚異足り得ないと踏んでんでしょうが」

実際問題、生きることのアドバンテージは情報が絡んでくる。
ロキ・ファミリアは犯罪集団だった頃のソーマ・ファミリアしか知らない。
となると、必然的に自分達の情報以外必要ないと決めつけているような小さい集まりだと言うことに他ならないのではないだろうか?

「雑魚を雑魚と言って何が悪い。
弱い癖にこんなところまでノコノコ着いて来やがってよぉ。
さっさとホームに戻ってガタガタ震えてりゃ良いんじゃねぇのか?ああ?」

「はいはい。駄犬は黙ってようね?
躾がなってないんじゃないの?
こんなにキャンキャン吠えるとか、放し飼いの限度があるよ?」

「テメェ…喧嘩売ってんのか?」

「いやいや、売ってるんじゃない、売り返してるんだ」

「やめなよベート。僕らは今遠征中だ。余計な体力は使う余裕がない」

余裕があったらやるんですかね?

「まぁ、そろそろ先に進むことにしよう。
開拓頑張ってください。それでは」

「待ちやがれテメェ!」

弱冠めんどくさくなってきたので、早々に立ち去ろうとしたら駄犬が突っかかってきた。
これはもう相手をするしかないのだろうか?

「なんだよ駄犬。
こっちは資金稼ぎに忙しいんだけど?」

「殺すぞ雑魚が…」

「こらこら。そんなすぐ死ねとか殺すとか言わない。殺すぞ?」

「君が言っているんだけどね…」

揚げ足とらないでくれよ。
それはともかくとして、だ。

「ああ、なるほど。
流石は上位派閥の方々。探索系ファミリアはやっぱり違う。
脳筋の集まりは問題が起きてもすぐ暴力に走るんだろうなぁ」

「調子のんなよ雑魚がぁ!」

―――罠、威嚇する咆哮。

突如、室内に響き渡る凶悪な咆哮。
その声に威圧され、ロキ・ファミリアの全員が硬直した。

「さて、改めて自己紹介と警告を。
俺は大元剛。ソーマ・ファミリアの団長にして、決闘者(デュエリスト)だ。
これから先、俺に攻撃したら死ぬことになるから気を付けてね?
その場合皆を巻き込むかも?
ほら、連帯責任って言うじゃん?
まぁ俺に攻撃するならその瞬間に消し飛ばされる覚悟を持ってくれよ?」

いきなり響いた咆哮で、俺の存在に気づいた奴等が襲いかかるのは明白。
さてさて、何を使うことにしようか。

「ぶち殺す!」

硬直が解けたのか、ベートが一直線に俺へと向かってくる。

「くぁ―――」

そして俺に触れる数ミリ前で、ベートは呆気なく飛び散った。
そのすぐ後方にいたフィンに、ベートの鮮血がふりかかる。

「貴様ああああ!!」

「よくもベートを!」

「死ねぇええええ!!」

「あああああああ!!」

なるほど、これが最終突撃命令か。
壮観と言うか、圧倒されるね。

直後に状況を理解したロキ・ファミリアの団員たちが襲い掛かってくる。
全員が全員怒気を孕ませており、濃厚な殺意が俺へと向けられる。

「まぁ、全部無駄なんだけど。
魔法、強制転移」

ロキ・ファミリアの最後尾にいた男と俺の位置を入れ換える。
その直後に、俺に襲いかかったフィン達に切り刻まれる男。

「うわ、仲間を斬るとか、上位派閥ってこんなこともあるんだ。怖いな」

「コルト!」

斬ってしまったフィン一同は状況をつかめずに唖然とし、エルフの女性は斬られた男の名前を呼ぶ。
事切れた男を抱き抱え、俺を睨み付けるエルフさん。

「えー、その人斬ったのあんた達じゃん。
大人として、責任転嫁は良くないよ?」

「全員、撤退だ…」

フィンがかすれる声でそう言った。

「団長!?」
「フィン!」

「撤退だ!早くしろ!」

怒鳴るフィンの声に、慌てて撤退をしていくロキ・ファミリアの冒険者たち。
最後の一人が出口に続く洞穴を潜ったのを確認して、後ろを振り替える。

「あんたは行かないのか?」

何故か動かないフィンに言葉を投げ掛ける。

「…僕はこれでも勇者(ブレイバー)と呼ばれていてね。
殿と、仲間の敵くらいは取らないと皆に顔向けなんて出来ないのさ」
そしてみんなを撤退させたのは、僕が全力を出すため。
僕には君の突破口が見えている」

フィンは体勢を低くし、前方に寄りかかるように槍構えた。

「突破口ね…」

「団員として、敵として…君を殺す」

「あっそう。じゃあ―――決闘(デュエル)!」

「行―――何!?」

俺の宣言と同時に走り出そうとしたフィンは、何かに束縛されたようにその場に固定され、身動きが取れないことに驚く。

「おいおい、先行は俺だぜ?
魔法、光の護封剣」

フィンを包み込むように無数の光の剣が降り注ぐ。

「さっきあんたは全力を出すとか言ってたが、俺も全力を出したかったんだよ。
ぶっちゃけて言えばその先でやろうとしてた実験だったんだけど、まぁあんたで代用することにしよう」

俺の実験。
それはモンスターの連続召喚である。
今日までに召喚したモンスターと言えば、青目の白竜やピケル等だが、それでも1体しか出したことはなかった。
この世界でのモンスターゾーンの最大数を調べるため、可能な限り召喚来てみようと思う。

「召喚、ロード・オブ・ドラゴンードラゴンの支配者ー」

地面に魔方陣が現れ、竜の骨を兜にした胡散臭い魔導師が出現。

「続けて魔法、ドラゴンを呼ぶ笛。
召喚、青眼(ブルーアイズ)白竜(ホワイトドラゴン)真紅眼(レッドアイズ)黒龍(ブラックドラゴン)

ロードが笛を吹くと、その両側に魔方陣が形成され、白と黒の竜が召喚された。

「ドラゴン…だって……!」

見たこともない二匹の竜に戦慄し驚愕を露にするフィン。

「魔法、未来融合(フューチャーヒュージョン)。
白き霊竜、巨神龍フェルグラント、レッドアイズ・ダークネス・メタルドラゴン、アークブレイブドラゴン、光と闇の龍を墓地へ。
続けて龍の鏡。召喚、ファイブゴッドドラゴン」

ここが広くて良かった。
取り合えずでかいの一言につきる五首のドラゴンが現れ、咆哮をあげる。

「…」

フィン、涙眼。

「魔法、異次元からの帰還……っ。
対象を全て選択し、召喚」

そして現れるドラゴンたち。
うん。フィンが気絶している。

流石に上級から上のドラゴン達の威圧に耐えられるわけがなかったな。
とは言えこれでわかった。
モンスターの召喚制限はなく、ただ魔力が少なくなっていくだけのようだ。

「ふむ、取り合えず―――」

死者蘇生で。

いそいそとドラゴン達が見守るなか、ベートと巻き込んだ男を生き返らせるのだった。 
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