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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第六十四話 綿菓子その八

「それを一升は」
「飲めたのだがな」
「その飲んだ後ですね」
「お酒はそれもあるからな」
「井上さん頭の中には」
「その時は入れていなかった」
 それで、というのだ。
「死にそうになった」
「ですか」
「うむ、だから今はだ」
「二日酔いにですね」
「気をつけている」
「そうですよね、やっぱり」
「お酒には気をつけないとな」
 くれぐれもという口調での言葉だった。
 そうした話もしてだった、僕達は色々買ってだった。
 僕が案内して花火がよく見える空き地に出た、神社の境内の外れだ。
 そこに案内してだ、僕は皆に言った。
「ここがいいんだ」
「ここからだな」
「はい、花火がよく見えます」
 こう井上さんにも答えた。
「とても」
「そうなのだな、そういえば」
「人多いですよね、今は」
「普段はあまりだ」
 井上さんは周りを見回しつつ僕に話した。
「人は来ないな」
「はい、そうですけれど」
「今はだな」
「花火を観る為に来ます」
「そうなのだな」
「皆知ってますから」
 地元の人はだ。
「ですから」
「そういうことか、ではだ」
「では?」
「もう少し来るのが遅かったなら」
「もうここ一杯になってますね」
「それで私達が座るどころではなくなっていたな」
「多分そうなってましたね」
 僕も答えた。
「実際あと少しで混みますから」
「そうだな、ではな」
「はい、それじゃあ今からここに敷きものを敷いて」
「座って飲んで食べながらだな」
「花火を観ましょう」
「それではな」
「では早速ですわね」 
 円香さんも言って来た。
「敷いて」
「皆で観よう」
「花火をネ」
「観るあるな」
 ジューンさんと水蓮さんも応えてだった、そうして。
 僕達は五人全員で敷きものを敷いてそこに座った、そしてそこでだった。
 まずはたい焼きとか甘いものを食べた、ジューンさんはそのたい焼きを一口食べてからそのうえで言った。
「これ美味しいネ」
「気に入ってくれた?」
「こんなお菓子ないヨ、ステイツにハ」
「うん、アメリカにはないだろうね」
 僕も井上さんのその言葉に頷いて答えた。
「餡子がね」
「アジア系のお店にはあるヨ、けれどネ」
「たい焼きはないんだ」
「ないネ」
 首を傾げさせながらとてもという口調でだ、ジューンさんは答えた。
「不思議なお菓子ネ」
「それでいて美味しいある」
 水蓮さんもはじめて食べる顔で言う。 
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