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新オズの腹ペコタイガー

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第十幕その十

 皆は背中から降りてです、そのうえでクォックスと手を振ってお別れをしました。クォックスはお空に飛び立ってあっという間に姿が見えなくなりました。
 クォックスと別れてです、トロットは皆に言いました。
「さて、それじゃあね」
「うん、今からだね」
「ウーガブーの国にお邪魔しましょう」
 腹ペコタイガーに応えて言うのでした。
「これからね」
「それじゃあね」
「おや、今から入ろうと思ったら」
 ここでモジャボロが皆に言いました、ウーガブーの国の方を見て。
「あっちから来たよ」
「アン王女だよ」
 見れば本当にです、アン=アレヤコレヤがこちらに来ています。髪型は普段のままですが服装はです。
 青いつなぎの作業服です、その格好で皆のところに来て言うのでした。
「トロットじゃない、それにモジャボロさん達も」
「どうして来たのかっていうのね」
「ええ、どうして来たの?」
 実際にです、アンはトロットに尋ねました。
「また急に」
「実はね」
 トロットはアンに事情をお話しました、その事情を聞いてです。
 アンはすぐにです、トロットに答えました。
「わかったわ、じゃあ黄金の林檎を持って行くといいわ」
「やっぱりその林檎なのね」
「オズの国で最も美味しい林檎といったら」
 それこそというのです。
「あれよ」
「黄金の林檎よね」
「このウーガブーの国で採れるね」
「やっぱりあれよね」
「そう、だからね」
 アンもトロットに言うのでした。
「あれを持って行ったらいいわ」
「持って行っていいのね」
「何言ってるのよ、オズマのお願いならね」
 それこそというのです。
「私が断る筈ないでしょ」
「貴女もオズマの友達だから」
「そうよ、だからこそね」
 それでというのです。
「私も遠慮なくよ」
「持って行っていいのね」
「好きなだけね」
 にこりと笑ってです、アンはトロットに言うのでした。
 ですがここで、です。トトはアンに聞きました。
「黄金の林檎のことはわかったけれど」
「何かしら」
「王女さん今どうして作業服なの?」
 アンが作業服を着ていることについて尋ねるのでした。
「それはどうしてなのかな」
「だってお仕事中だから」
「そういえば」
 ここでトトはお鼻をくんくんとさせました、そうしてすぐに言うのでした。
「王女さん林檎の匂いが凄いよ」
「確かに。ジャムの匂いがするね」
 腹ペコタイガーもくんくんとさせて言います。
「とても美味しそうだね」
「食べないでね」
「そんなことは僕の良心が許さないよ」 
 腹ペコタイガーはこうアンに返しました。
「絶対にね」
「そうよね、まあ実際にジャムもね」
「作ってるんだ」
「そうしてるのよ、今ね」
「それで林檎の匂いがして」
「そうなのよ」
「そういうことだね、それでその時になんだね」
 お仕事中にというのです。
「僕達の姿を見て」
「そう、たまたまお外に林檎を箱に入れて運んでいたら」
 まさにその時にというのです。 
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