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新オズの腹ペコタイガー

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第十幕その九

「そうさせてもらいたいよ」
「そうなのね、ただね」
「遠慮したいの?」
「お礼って言われても」
 それでもというのです。
「あまりね」
「乗り気じゃないんだ、君は」
「何か悪いから」
「だからいいんだよ」
 クォックスは恵梨香に笑顔を向けて言いました。
「遠慮はね」
「そこまで言ってくれるなら」
「そうでしょ」
 トロットがその恵梨香に応えます。
「折角だからね」
「受けないとですね」
「かえって悪いわ」
「うん、だからね」
 モジャボロも言います。
「ここは乗せていってもらおう」
「そうすべきですね」
「これからね」
「わかりました」
 恵梨香も遂に頷きました、こうしてでした。
 皆でクォックスの背中に乗せてもらってでした。そしてクォックスが飛び立つとまさに一瞬で、でした。
 ウーガブーの国の前に来ました、恵梨香はクォックスの背中からそのウーガブーの国を見て言いました。
「本当に一瞬で」
「僕の言った通りだね」
「まるで木挽の馬さんに乗って来たみたい」
「いやいや、もっと速いよ」
「お空を飛んでいるから」
「ドラゴンの飛ぶ速さはね」 
 それこそというのです。
「風より速いから」
「そうなのね」
「そう、あそこからここに来るのも」 
 それこそというのです。
「一瞬なんだよ」
「貴方が言った通りに」
「ドラゴンは嘘を言わないよ」 
 このことはです、クォックスは胸を張って言いました。
「絶対にね」
「そう、絶対になの」
「だって誇り高い生きものだからね」
 その誇り故にというのです。
「嘘は言わないんだ」
「ネイティブの人達と一緒ね」
「あの人達も誇り高いからね」
「だから嘘を言わないのね」
「それは僕達も同じだよ」
「ドラゴンさん達も」
「長く生きていて由緒正しいものがあるからね」
 ドラゴンにはというのです。
「そして色々なことをしっていて強い力を持っている」
「そうした種族だから」
「ドラゴンは嘘を言わないんだ」
 絶対にというのです。
「だから僕もだよ」
「嘘を言わないのね」
「そうなの、それとね」
「それと?」
「君達はここで降りるんだよね」
 クォックスは恵梨香達にこのことを確認しました。
「そうだよね」
「ええ、そうよ」
「それじゃあね」
 それならと言ったクォックスでした。
「ここでお別れだね」
「そうね、とりあえずはね」
「縁があったらまた会おう」
「ええ、そしてその時はね」
「また楽しい時間を過ごそうね」
「一緒にね」
 にこりと笑ってです、恵梨香は自分にお顔を向けているクォックスとお話をしました。そしてなのでした。 
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