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元吸血鬼の魔道士生活(休息中)

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天浪島編
  S級魔導士昇格試験

 
前書き
今回長くなります 

 
・・・・・・・・・・
ショウブは一月前ギルドに入り、平和な日々を過ごしていた。家に関しては適当な場所に穴を掘って自給
自足生活をしている。女子寮の近くにあるためウェンディがよくおすそわけにくる。ちなみに女子寮に近
いのは、いい土地が女子寮付近にしかなかったからである。そんなことをしていると…

ルーシィ「……と言う訳なのよミラさん!!! カナってば理由も言わないし!!!」

ギルドのカウンター席で、慌てた様子でミラに訴えるルーシィがいた。先日、自宅でシャワーを浴びてい
たのだが、浴槽にはいつの間にか、同年代の中では一番の古株であるカナ・アルベローナが浸かっていた。
最初は驚いたが、ナツたちの度重なる不法侵入ですっかり慣れてしまった為、すぐに落ち着きを取り戻し、
そのまま一緒に風呂に入ったのだ。だがその際のカナは元気がなく、どうしたのかとルーシィが尋ねると…

カナ「私……ギルドをやめようと思うんだ」

言ったのであった。そして現在、ルーシィはその言葉の真意を確かめるためにミラに相談を持ちかけたの
である

ミラ「クス」


しかしミラは特に慌てた様子も無く、グラスを磨きながら微笑む。

ミラ「大丈夫よ。この時期になるとカナはいつもそうやって言い出すの」
ルーシィ「ええ!!?」

あの意味深な言葉が毎年の事とは思わず、驚愕と同時に少し安堵するルーシィ。すると…

ナツ「仕事仕事ォ~!!!」
ハッピー「あいさ~!!」
ルーシィ「ちょっと!! 仕事ならあたしも…」
ナツ「悪い!! この時期は1人で行くんだ!!!」

そう言って、ナツとハッピーは妙に張り切りながら仕事へと出かけていったするとそんなナツと入れ替り
で、グレイが仕事から帰ってきた

グレイ「ただいまァ!!!」
ルーシィ「おかえり! グレイ服は?」
グレイ「それどころじゃねえ!! 次の仕事だ!!!」


今さっき帰ってきたばかりだと言うのに、グレイはさっさと次の仕事に出かけてしまった。上半身裸で。

「仕事仕事~!!」

「うおおおっ!!!」

「オイてめえ、それはオレが先に…」

「知るかよ!!」

「どけやたわけがっ!」

「「チームシャドウ・ギアはこの時期解散だぁ!!!」」


すると仕事の受注の為に受付係であるミラジェーンのもとに多くのギルドメンバー殺到する。その全員が、
何やら鬼気迫るような顔付きをしていた

ルーシィ「何事なの~~?」
ミラ「時期にわかるわよ」

戸惑うルーシィにそう言いながら、ミラジェーンは受付の仕事を進めていた。ショウブも密かに楽しみにす
るのであった


・・・・・・・・・・
ルーシィ「うわ……すごい人数」
ショウブ「ギルドメンバーのほとんどが集まってるな」
リリー「何の騒ぎだ?」
ガジル「さあな」
ウェンディ「マスターから何か重大発表があるんだって」
シャルル「興味ないわ」
ルーシィ「やっと秘密がわかる」
ジュビア「ジュビア、ドキドキします……グレイ様を見てると」
ルーシィ「あんたもう帰れば」


事情を知る者と知らない者、それぞれがそんな会話をしながらマスターからの重大発表を今か今かと待ち
望んでいる。すると、ステージに掛かっていた垂れ幕が落ち、そこにはマスターマカロフを中心として、
エルザ、ミラジェーン、ギルダーツが並んで立っていた。

「マスター!!!」
「待ってました~!」
「早く発表してくれー!」
「今年は誰なんだー!?」

ギルドメンバーたちが騒ぎ立てる中、マカロフはコホンっと小さく咳払いをして、ゆっくりと口を開く

マカロフ「妖精の尻尾古くからのしきたりにより、これより、S級魔導士昇格試験出場者を発表する」
『オオオオオオオオッ!!!!』
ルーシィ「S級魔導士昇格試験!!?」
ナツ「燃えてきたぞォーーーーー!!!!」

ギルドメンバーは歓声を上げ、事情を知らないルーシィ達は驚愕した。

マカロフ「今年の試験会場は、天狼島。我がギルドの聖地じゃ」

再びギルドメンバーからと歓声が上がる。それを聞きながら、ルーシィは近くにいたメンバーたちに問い
掛けた

ルーシィ「試験って何するの?」
「それはもちろん毎年違うけど」
「ハードな事には変わりあらへんな」
「なんせ合格者はS級魔導士に昇格だからな!」

ルーシィの問い掛けに答えたメンバーもやる気に満ち溢れていた

マカロフ「各々の力…心…魂……ワシはこの1年見極めてきた。参加者は8名」

「ナツ・ドラグニル」

ナツ「おっしゃあ!!!!」
ハッピー「やったねナツ!!」

「グレイ・フルバスター」
グレイ「やっとこの時が来た」

「ジュビア・ロクサー」
ジュビア「え? ジュビアが?」

「エルフマン」
エルフマン「漢たるもの、S級になるべし!!!!」
リサーナ「頑張ってエルフ兄ちゃん!」

『カナ・アルベローナ』
カナ「……………」

「フリード・ジャスティーン」
フリード「ラクサスの後を継ぐのは……」

「レビィ・マクガーデン」
れビィ「私……とうとう」
「「レビィがキター!!!」」

「メスト・グライダー」
「メストだ!!」
「昨年は惜しかったよなー」


以上……8名の参加者が発表された。

ルーシィ「そっか……このメンバーに選ばれたいから、みんな自分をアピールしてたのね」
ウェンディ「うわぁ♪ みんながんばれー!」

ようやく先日の慌しい仕事ラッシュに合点がいって納得したルーシィと、選ばれたメンバーに声援を送る
ウェンディ

ショウブ「くそ~、そうだと知ってたら仕事に行ってたのに~」
ウェンディ「来年がありますから、えっと、気を落とさなくてもいいと思いますよ」
ガジル「な…なぜオレが入ってねえんだ……ジュビアが入ってんのに……」


マカロフ「今回はこの中から合格者を1名だけとする。試験は一週間後、各自体調を整えておけい」
「1人だけ!!?」
「本命はフリードか!?」
「メストだろ」
「ナツとグレイもいんぞ」

マカロフの言葉に、再びメンバーたちがざわつく。

マカロフ「初めての者もおるからのう、ルールを説明しておく」

ミラが試験のルール説明を始めた。


ミラ「選ばれた8人のみんなは、準備期間の1週間以内にパートナーを1人決めてください」
「パートナー!!?」
「2人1組のチーム戦って事だろ」
「仲間との絆、それも試験で試されることの1つなのさ」
エルザ「パートナー選択のルールは2つ。1つ、妖精の尻尾フェアリーテイルのメンバーである事。
2つ、S級魔導士はパートナーにできない」
リリー「つまり、エルザやミラジェーン、ギルダーツとはチームを組めないという訳か」
ウェンディ「エルザさんと一緒なら最強すぎるもんね」

エルザの説明に、リリーとウェンディが納得の声を上げる。

マカロフ「試験内容の詳細は天狼島についてから発表するが、今回もエルザが貴様等の道を塞ぐ」
『ええ~~~っ!』
ミラ「今回は私も、みんなの邪魔する係やりまーす♪」
『えええ~~~~っ!』
ギルダーツ「ブーブー言うな。S級魔導士になる奴ァみんな通ってきた道だ」
「にゃっ!? ちょっと待って…」
「まさか…」
「ギルダーツも参加するのか!!?」
エルザ「さらに、ショウブの実力はギルダーツにも勝る、よってこの瞬間ショウブをS級魔導士にし、今
回の試験管を勤めさせてもらう」
『えええ~~~~~~っ!』



ギルダーツも妨害役として参戦すると聞き、選ばれたメンバーたち(ナツ以外)は戦慄する。

「選出された8名とそのパートナーは、1週間後にハルジオン港に集合じゃ。以上!!!!」

最後にマカロフがそう締めくくり、その場は解散となったのであった。


・・・・・・・・・・
その後、選出されたメンバーであるナツ、グレイ、エルフマン、ジュビアに加え、ルーシィ、ハッピー、
ウェンディ、シャルル、リサーナ、ショウブが1つのテーブルに集まっていた

グレイ「今年はえらくハードルが高ェな」
ナツ「オレは燃えてきた!!! 絶対S級になってやる!!!」
シャルル「意外ね、アンタたちみんな初挑戦なんて」
ウェンディ「ショウブさんが試験管なんてびっくりしました」
ショウブ「おいおい、敬語はよせって」
エルフマン「ぬぉぉ、漢エルフマン!! S級への道が遠ざかる」
リサーナ「みんな頑張ってね!」
ルーシィ「そういえば、みんなもうパートナーって決まってるの?」
ナツ「オレはもちろんハッピーだ」
ハッピー「あい」
エルフマン「ハッピーはズリィだろ!! もし試験内容がレースだったら、空飛べるなんて勝負にならねえ」
リサーナ「別にいいんじゃない?」
ハッピー「オイラは絶対ナツをS級魔導士にするんだ!!!!」
ナツ「こればかりは仲間といえど、絶対ぜってーゆずれねえ!!!!」
ナツ「こうしちゃいられねえー!! 修行だー!!」
ハッピー「あいさー!!」

そう言って意気揚々とギルドを出て行くナツとハッピーを見送ったあと、リサーナが口を開く。

リサーナ「私がいない2年の間に、ナツがS級の試験に参加するようになってるなんてね。ナツはね、一人前
の魔導士になれば、イグニールに会えると思ってるの。」
ルーシィ「そっか……がんばれ、ナツ
ジュビア「あの、ジュビアはこの試験を辞退したい」
ウェンディ「ええ!?なんで!?」
ジュビア「だって………様の…パートナーに…なり…たい……」
グレイ「何だって?」
ジュビア「だから…あの……ジュビアは……「グレイとパートナーがいいだとよ」
グレイ「ア?」
ジュビア「ショ…ショウブさん!!?」
グレイ「悪ィがオレのパートナーは決まってる」
「久しぶりだね、みんな」
ルーシィ「ロキ!!?」

そこに現れたのはルーシィの所有する星霊の1人である、獅子宮のレオこと、ロキであった

グレイ「昨年からの約束でな」
ロキ「ルーシィ、悪いけど試験期間中は契約を解除させてもらうよ。心配はいらない、僕は自分の魔力で門
をくぐってきた。だから君の魔法は使えなくなったりしないよ」
ルーシィ「なんて勝手な星霊なの?」
リサーナ「私がジュビアと組むわ」
エルフマン「本気かリサーナ!」
リサーナ「私エドラスじゃジュビアと仲良かったのよ。それにこっちのジュビア……なんか可愛いんだもん」
ジュビア「リサーナさん…」
リサーナ「決定ね!!」
エルフマン「ちょっと待てよリサーナ!! それじゃオレパートナーがいねーじゃねーか!!!」
リサーナ「そう? さっきから熱い視線を送ってる人がいるわよ」
エルフマン「へ?」

そう言ってリサーナが指差す先には、カウンター席からエルフマンの方をジッと見ているエバーグリーンの
姿があった

エルフマン「エバーグリーン……」
リサーナ「フリードがパートナーにビックスローを選んだ事でむくれてるみたいね」
エルフマン「熱い……ってより、石にされそうな視線じゃねーか!!!」

何はともあれ、こうしてエルフマンのもう1人のパートナーはエバーグリーンに決定したのであった。


・・・・・・・・・・
ジェット「レビィが選ばれたーー!!」
ドロイ「すげーぞ!! S級魔導士になれるかもしれねぇ!!」
「「オレたちのレビィがS級にー!!!」」
ジェット「で!! もちろんパートナーはオレだよな!!?」
ドロイ「何言ってんだ!!レビィのパートナーは俺だ!!」
レビィ「……はあ」

パートナーのことで喧嘩を始める2人に、小さくため息を漏らすレビィ。すると……

ガジル「本気でS級になりてぇんなら、オレが手を貸してやる」
レビィ「ガジル!! 」

いつの間にかレビィの背後に立っていたガジルが、そう言い放った

ガジル「試験中は気に入らねぇ奴ぶっとばしてもいいんだろ」

しかしレビィは暗い顔で俯く

レビィ「私…体も小っちゃいし、何にも取り柄ないから、すぐ負けちゃうかもしれないよ」
ガジル「やる前からそんな弱気でどーすんだよ」
レビィ「あっ、やだ……おろして~」

そう言ってガジルはレビィの襟首を軽々と持ち上げる。

レビィ「オレがお前をでかくしてやるよ」
レビィ「……………」

そして力強くそう言い放つガジルの言葉を聞いて、レビィは淡く頬を朱に染めたのであった。その様子を見て
いたジェットとドロイはしおしおと落胆し、リリーは笑みを浮かべていたのであった。


・・・・・・・・・・
ギルドから自宅への帰路を歩いているウェンディとショウブ、そしてシャルルの姿があった。
ウェンディ「どうしたのシャルル、朝からずっとおとなしいね」
ショウブ「具合でも悪いか?」
シャルル「ちょっとね。何かイヤな予感がするのよ…この試験とかいうやつ……ショウブは無理としても、
絶対参加しちゃダメだからね」
ウェンディ「それに私なんかパートナーにする人いないし、大丈夫だよ」
「それはどうかな? 天空の巫女」
「「!!」」


ショウブ達の前に、選出されたメンバーの1人であるメストが現れる。
ウェンディ「あ…えーと……」
ショウブ「……」
「オレはメスト。ミストガンの弟子だった」

結果的にウェンディはメストと組むことになった。ショウブは気をつけろと注意をして自宅?への道へ進ん
で行った


・・・・・・・・・・
雪の降るマグノリアを歩いているルーシィ。あのあとギルドから自宅に帰ろうとしているのだ
ルーシィ「ん?あれって……」
ルーシィは何かに気がつき、横道にあった狭い路地をよく見る。そこには……泥酔して酒瓶や酒樽と共に地面
に転がっているカナの姿があった。

ルーシィ「どこで泥酔してんのよォォ!!!!!」

そんなルーシィのツッコミが、その場に響き渡ったのであった。
その後、さすがにそのままにはしておけず、ルーシィはカナを自宅へと運んだのであった

カナ「いやぁ助かったよ。誰にも気づかれなかったら死んでたね」
ルーシィ「もう! 最近ずっと様子おかしいよカナ」
カナ「どうせミラから聞いてるんだろ? S級試験ノイローゼみたいなモンだよ」
ルーシィ「そう言えば、試験の時期になると決まってギルドをやめるとかどうとか言ってたわね」
カナ「実はさ、もう5回目なんだ。4回も落選した期待ハズレな魔導士なのさ、私は」
ルーシィ「何だぁ、そんな事かぁ。別に何回落ちてもいいじゃない」
カナ「4回も落ちてるのは私だけだよ。だから今回で最後にする。これでS級になれなかったら、妖精の尻尾フェアリーテイルを抜ける」
ルーシィ「ちょっと……そんなにS級にこだわらなくても」
カナ「私はS級にならなきゃいけないんだっ!!!!……S級にならなきゃ、あの人に会う資格はない。私は…」

そう言うと、カナはどうしてもS級にならなければならない理由を話した。涙を流しながら語るカナの話に、
言葉を失いつつも……カナの話に耳を傾けた

カナ「…という訳だ。今回S級になれなかったら、私はギルドを抜ける。もう決めたんだ」

その言葉を最後に、話を締めくくるカナ。すると、ルーシィとは決心したような顔付きで頷き合うと、カナ
に向かって叫ぶ。

ルーシィ「あたしがカナのパートナーになる!!!!絶対にギルドをやめさせたりはしない!!!!必ずカナをS級魔導
士にするから!!!!!」」
カナ「ルーシィ…」

そして……ついにS級魔導士昇格試験の日がやってきたのであった。



 
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